7話 自称勇者ラン・サーイキの無謀な挑戦
ボクの名は、ラン・サイーキ。
年齢は、19歳。
身長は、175cm。
体重は、乙女の秘密だ。
スリーサイズは、バスト88cm、ウエスト60cm、ヒップ90cm。
母性溢れる安産型のナイスボディの待ち主だ。
お年頃の乙女らしく結婚に憧れるボクだが、恋人どころか男友達の1人も居ない。・・・
ボクが、マモルノ辺境伯領に、1人しか居ない2級冒険者である事を恐れて男達が近づかないのか、其れてもボクが、男勝りの大女である事が原因が、ボクに親しい男友達や恋人が居ないのかも知れない。
尚、ボクが拠点としているマモルノの街ではボクと同じ年頃の娘達の人気者だ。
ボクとしては、同年代の女性にモテても嬉しくは無い。・・・
ボクが、同年代の男性にモテ原因は、ボクが剣術や柔術の達人で或る事も原因なのかもしれない。
確かに、ボクに絡んだ流れ者のごろつき達を5人を素手で半死半生に痛めつけたが、正当防衛だ。
ごろつき達は、ビキニアーマー着ているボクに厭らしい目つきで眺め、卑猥な言葉をボク誘った。
ボクは、ごろつき達を無視してその場を立ち去ろうとしたが、無視されたごろつき達は激高して剣を抜いてボクに襲い掛かった。
ごろつき風情が、2級冒険者にして防御結界のスキルの持ち主して、剣術と柔術の達人であるボクに敵う筈もない。
ボクは、愛刀の灰色杖を抜く事無く素手で、ボクに襲い掛かった、ごろつき達を返り討ちにした。
愚かなごろつき達は、一生女を抱けぬ身体に成ってしまったが、ボクに殺されなかった事は、感謝して欲しい。
ボクに正当防衛で殺されても文句は言えないのだから。
命が助かった事には、感謝して欲しい。
其の事件後、街の男達から更に恐れられ避けられている。
誰一人、ビキニアーマーを纏うボクを厭らしい目つきで眺める酔っ払いの冒険者や、厭らしい言葉で誘うチンピラ居なくなった。
何故か、事件後は、同年代の娘達からは、以前に増して大人気になったが。・・・
解せない。・・・
事件後、街の男達はボクの事をビキニアーマーの殲滅者、痴女の冒険者と陰で呼んで恐れている。
美しく心優しいボクを恐れるとは・・・
解せない。・・・
女冒険者や女勇者が着る防具だとボクの育った、村の図書館の絵本には書いて有ったので、ボクは16歳の成人を迎えた日から、冒険者稼業を始め防具としてビキニアーマーを愛用している。
フルプレートアーマー等と比べると肌の露出は多くなるが、機動に優れ防御結界のスキルの待ち主であるボクとは、ビキニアーマーの相性は、抜群に良かった。
何故、ビキニアーマーを着たボクが、痴女の冒険者等と陰口を言われる。・・・解せない。
ボクとしては、勇者の防具としてビキニアーマーを着ているだけなのだが。
尚、ボクは自分の事を冒険者では、無く勇者だと思っている。
19歳の若さで、2級冒険者に上り詰めたボクには、冒険者より勇者の方が相応しい呼び名だと思う。
ビキニアーマーを纏う美貌の女勇者ラン・サイーキと。
※ ※ ※
国境の村を襲う、賞金首の山賊団を冒険者ギルドの依頼で討伐した帰り道に、ボクはダンジョンの入り口の前に立っている。
今回の依頼を引受けたのは、国境の丘にあるダンジョンの攻略に向かう為で、山賊団の討伐は、御負けにすぎない。
『帰らずのダンジョン』には、多くの美少女、美女、美男子が、ダンジョンマスターに捕らえられ監禁されていると噂されている。
噂を裏付ける様に、マモルノ辺境伯領や近辺の領地では、貴族の令息や令嬢、村娘達が、神隠しにあう不可解な事件が、177年前から、時折発生していた。
10日前もマモルノ辺境伯の1人息子が、突如として行方不明になった。
マモルノ辺境伯は、お抱えの騎士団に、世継ぎの息子の捜索を命じたが、令息の安否は騎士団の必死の捜索に関わらず掴めていない。
唯一捜索されていない場所は『帰らずのダンジョン』を残すのみとなった。
『帰らずのダンジョン』に探査に訪れた冒険者や探索者が、誰一人帰って来ないので何時しか、廃坑後に発生したダンジョンは、何時しか人々から『帰らずのダンジョン』と呼ばれる様になった。
天才冒険者にして美貌の女勇者(自称)のボクが、『帰らずのダンジョン』の探査にしてダンジョンマスターを倒し、捕らえられているマモルノ辺境伯令息を助け出す事する。
助け出した、マモルノ辺境伯令息とボクは、結ばれに違いない。
ボクが、手本にしている絵本にも、悪しき魔物に捕らえられたおお姫様や貴公子は、助け出した勇者や女勇者と結ばれ結婚するのが、運命だと書いてある。
ダンジョンの攻略に向かったボクの前には、リビングアーマーや、デュラハン、スケルトン等のアンデッドが、立ちはだかり襲ってきた。
4級冒険者や3級冒険者が、苦戦する リビングアーマーや、デュラハン、スケルトン、ゴーレム等のモンスターだが、マモルノ辺境伯唯一の2級冒険者にして勇者の僕には敵う筈も無く襲い来るアンデッド達を、魔法剣で倒しダンジョンの最深部に進んだ。
最深部でボクは『帰らずのダンジョン』のダンジョンマスターと対峙していた。
最凶最悪の全てのアンデッドの頂点に立つ伝説のアンデッドと不死王と。
アストラ霊体の不死王には、ドラゴンさえ一撃で倒すボクの必殺剣、雷神王の一撃さへ通用しなかった。
ボクは、成す術も無く不死王シ・カイト・オワーリに、命を奪われ、19歳の短い生涯を終えた。
一度は、結婚した・・・
※ ※ ※
の筈だった。
「闇の契約に従い、我が眷属、我が忠実な僕して、冥界より現世に黄泉がえり、我に従え」
不死王シ・カイト・オワーリの詠唱が、洞窟に響き渡る。
ボクの遺体には、シ・カイト様の闇の魔力が注がれ心臓が再び鼓動を打ち始めた。
そしてボクは、シ・カイト様の闇の魔力に、よりハイゾンビとして生前と変わらぬ姿で黄泉がえったのだ。
上位種アンデッドして黄泉がえったボクは、シ・カイト様に、魔法剣士兼夜伽婦として仕える事となった。