表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

仲良くなれるのか? 4

 なんだかよくわからないうちに、(あお)という名前のせいもあり、帰国子女の…ホームステイという、設定が決まったようだった。


「オバサンとか、呼ばれるのはまだヤだし、千聖(ちさと)さんとでも呼んでね。ちょっと忘れ物したから出てくるわ。(めい)ちゃんとの、お留守番よろしくね~」


 そう言うと、帰ってきてあまり時間も経たないのに、(めい)の母親改め、千聖(ちさと)さんが慌ただしく、出かけていった。


 仕方なく(あお)は、(めい)の眠る部屋へと向かうと、ベッドの脇へと座り込んだ。


「マジか……」


 千聖(ちさと)の対応が、信じられなかったせいで、思わずといったように口から漏れた言葉。


 出ていく覚悟はしてたけれど、その後どう生きて行くかはわからない…。


 それでも、出ていくつもりでいたのだ。拍子抜けした様な、複雑な気分を味わう(あお)


 けれど、泣きつかれて眠る(めい)を見ると、不思議ではあるけれど、もう少しそばにいて、励ましてやりたい。力になってやりたい様にも感じられる。


「俺もお人好しが過ぎるだろ…。この家の奴らもだが…」



 相変わらず、(めい)は眠りについたままだ。


 しばらくして、千聖(ちさと)さんが帰って来た。やる事もないし、なんか手伝える事はあるかと聞く。


 すると、まるで関係ないことを千聖(ちさと)さんに聞かれた。


「服装は着替えられるのか」と。


「まぁ……、着替えられるけど…」


 そう答えると、喜々として服を大量に渡された。



 手渡された服は、アロハシャツ……。黄色い生地にハイビスカスの花をあしらったものや、白地に派手なピンクで花がプリントされたもの。

 ヤシの木の柄やフラミンゴの柄まである。

 比較的地味なデザインにみえた、薄いデニム生地に、白い糸で花をかたどった刺繍のされているシャツを着てみる。


 用意されていた姿見を見てみるも、まぁ悪くはないかもしれない。


 元々身につけていた、黒みがかったウォッシュデニムとも、褐色の肌にも思いの外合っている気がする。


「はい、これも!」


 そう言うと千聖(ちさと)さんが、深い色合いのウクレレを手渡してくる。


「……まさかと思いますけど、このためだけに出かけてたなんて事は……」


 ないですよね? (あお)が言いかけたその時に、言葉を遮られた。


「合わせる為に決まってるじゃない!」


 呆れた様にウクレレを見つつ、(あお)は言った。


「俺、文鳥なんでこんなの渡されても、弾けませんよ……」


「ポーズでも、イケメンが楽器持ってたら様にならない?」


「……」


 (あお)は、千聖(ちさと)さんはこんな人か……。とことんマイペースだな……。そんな事を、遠い目をしつつ思った。


 (めい)が気になるとはいえ、小鳥遊(たかなし)家にお世話になるのは早まっただろうか…。


 そんな事を、つい考えてしまう(あお)だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ