仲良くなれるのか? 3
ガチャリ。
そんなことを考えてる間に、母親らしき存在が、帰って来たみたいだ。
『きちんと挨拶して.,…、鳴の力になりたいと話さないと……』
などど、思考の海に捕らわれる碧。
そこに、思いがけず軽い声が響いた。
「あらあら~。鳴ちゃんったら、イケメン連れこんじゃって。思ったより鳴ちゃんも、進んでるわね~!」
「は?」
膝枕みたいにして、寝付いてる鳴を、起こさない様にと気遣いながらも、碧の口から小さく声が漏れる。
「いいのよ。いいの、ゆっくりしていってね♪」
完全に、番か何かと勘違いしているであろう母親に、誤解を解かねばと焦る碧。
「俺、文鳥の妖だし、そんなんじゃありません!」
「はい?」
突然と意味のわからない事を言われ、鳴の母親も思わずといった感じで声を漏らす。
そりゃ突然言われて信じられねーよな…そう思い直した碧…。
「彼女をベッドに寝かしたら、少し時間いただけませんか?」
碧は、そっと眠る鳴を抱き上げると、ベッドへと寝かしつける。
起きていないのを確認し、鳴の母親に、説明に向かう。
「あら? もういいの?」
何やら含みのある言われ方な気もしたが、誤解されても仕方ない共思う碧は、その言を甘んじて受け取る。
「なにか誤解されてるみたいなんで…、俺、文鳥なんです。 あなた達が先日連れてきた…」
そう言うと、小鳥の姿になる碧。
「この間連れて帰って来た小鳥さん? どうして……人の姿をしているの?」
普通は驚いたり、怖がったりするものでは? そう呆れつつも、碧は自身が異国にいた事、捕まった事、そして…、売りに出されたことを話した。
しかし、は普通は気持ち悪いだろうし、約束は守れそうもないな…。そう思いながら、碧は審判の時を待つ。
「あのね、家は早いうちに、パパが亡くなっているから男手がないの…。小鳥さんがいてくれたら、助かるわ。荷物運んだり手伝ってくれるかしら…」
碧は、すぐにここから、追い出されるだろうと思っていた。でも、違うみたいだった。碧自身が、鳴の力になりたいと思ったのは、嘘じゃない。それなら、ここにいさせてもらう為に、できる事をしようと思った。
「うーん。親戚の子を預かってることにでもしましょうか。それともホームステイの方がいいかしら…。それにしても男の子も育てて見たかったのよね~…。ふふ」
鳴の母親は、そう言うと笑顔を見せる。
「ありがとうございます。 出来ることで恩を返します!」
そう言って、頭を下げると「あらあら…」なんて頭を撫でられた。
ここの家の住人は、神経が図太いのか大物ばかりなのかもしれない……。
そんな失礼な事を痛感する碧だった。