表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

仲良くなれるのか? 2

 

「なんだか人は怖い。何考えてるかわからないし、疲れちゃうね」


 (めい)が、らしくもなく、そんなことを言った。 


「きっかけはね、わかるんだ…。あの人達が投げた消しゴム…。なんかあたったなって思ったけど、寝ちゃったの…、それからなんだ…」


 (めい)は、ポツリと言った。


「なんか迷惑かけたかなぁ? なんか…、傷つけることしたかなぁ? やだよ。心痛いよぉ…。蹴られなきゃならない程、何をって思うけど、あの人達は遊びの一環なんじゃないかなぁ…」


 大粒の涙が頬を伝う。

 どれだけの言葉や、それ以外も暴力を受けたのだろう…。 


「机を蹴りつけるから、痛いわけない? そんなわけないじゃない…。もうやだよ……、学校なんて行きたくない…」


 そんな泣きじゃくる(めい)は、初めて見た。


「本当はね、辛くて悲しい…。でも、笑ってそんな事する人達より…、痛い思いした私の方が…、人の痛みわかるんじゃないかって。痛い思いした分…、してない人よりは…って思おうとしたけど…。私に言い聞かせていたけど……、やっぱり…、痛いよ…、辛いよ……」


『チッ…』


 舌打ちすると、人型になって(めい)をギュッと、泣き止む様にと願う様に抱きしめる。


 急に日焼けした肌の男性が現れて驚く(めい)


「大丈夫だ…。大丈夫…」


 黒よりほんのりと淡い色合いの髪。


 急に現れた男性は、青みがかったシャツに、ジーンズを身に着け、すごく高い体温の身体で、抱きしめてくる。


「文鳥さん……なの…? なんかお兄ちゃんが出来たみたい……、温かい…。夢でも嬉しいな……」


 目から大粒の涙を零しつつ、(めい)は言う。


 そう経たない内に、出て行くつもりだとは、口に出来なかった。


(あお)……、俺の名は(あお)っての。 普通の鳥じゃなくて悪かったな…」


 気まずそうにそう口にする(あお)


「今は泣きたいだけ、泣いて休めばいい…。ついててやるから…」


 驚いた様子の(めい)だったが、これが現実だとは思えていないようだった。


「夢なのだろうけど……。目醒めた時に……、(あお)お兄ちゃんにいて欲しいな…」


 その言葉を聞きながら、頭を撫ぜつつ頷く(あお)


 安心したのか、まだ頬に涙は残っていたけれど、眠りについてしまった様子の(めい)


 でも彼女の母親にも正体がバレたら、有無を言わさず追い出されるだろうと思った。


 意を決して、彼女の母親にも正体を話そう。


 そして、出来るのであれば、彼女の望みを叶えさせて貰えないだろうかと、願うつもりでいた。


 そうしたら、彼女を元気づけられたら、心置きなくここから出て行こう。


 買ってくれたのに、悪いとは思うが、元々ペットとして育てられたわけではない。


 最初から、無理があったのだ。正体を明かすつもりはなかったのに…。(あお)は、きちんと事情を話して、ここから出ていくことを決めた…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ