はじまり 2
そうして、ハワイでのんびり暮らしていた鳥たちは捕まり、日本とい国のペットショップに並んでいる。
『どうしてこんなとこに連れて来られた…? 俺を此処から出しやがれ!』
よくわからない内に、個別のケージに入れられ、鳥やうさぎやモモンガなど、いろいろな動物が並んでいる場所へと連れてこられた。
その文鳥は、ブルー文鳥と呼ばれる色味で、一風変わった文鳥だった。
一見すると桜文鳥のようにも見える色合いなのに、彼らに紛れると薄く見える。濃い目のグレーな頭。少し青味がかって見える胴体の羽。
何事も無ければ、人の姿に变化し、普段は野生のスズメや文鳥に紛れて暮らしていた。
元々、日本にいたらしいが、碧は、物心ついた頃には、ハワイにいた。
どうしてまたどうやってたどり着いたかは記憶にないが、ずっとかの地で暮らしていくつもりだったのだ。
無理矢理、連れてこられて、文句の一つや二つ言った所で、納得できるわけがない。
『そんなに喚いたって無駄さ。大人しく誰かが、迎えてくれるのを待つしかない…』
そんな事をうさぎが言う。
『お兄ちゃん、わたし達だってパパやママがいなくて、淋しいの我慢してるのに…』
セキセイインコの雛が言う。
お前らはいいさ…、元々人に囚われ、その生き方を享受してきたのだろう?
自由に飛びたいときに飛び、生きてきた俺にとっては、ここはただの牢獄だ…。
毎日、餌が貰えればいい? 俺らの世話してる奴らに構って貰えたら幸せ?
ふざけるな。そんな生き方誰も望んでねぇんだよ。 誰も頼んでねぇんだよ! お前らの尺度で測るんじゃねぇよ。胸くそ悪ぃ…。
不満の渦中に、碧という名の妖はいた。
店に2人連れの人間が来た。覗き込んでくる、親子らしき二人は色々な動物を見てまわる。
『他の連中が媚売ったって、俺はお前らに媚たりしない…』
2人連れは、ブルー文鳥にもう一度目をやると、頷き店員に言った。
「この子を下さい」と。
絶対にこいつらから逃げてやる。
そうしている内にワシっと掴まれ、小さな紙の箱に詰められた。小さな穴から覗くと、何やら書き込んでいるようだった。
「しばらく、揺れるかもしれないけど、我慢してね…?」
「あまり揺らさないように、気をつけてあげてね?」
「はぁい」
娘が箱を手にしているのか、母親らしきものから、声をかけられていた。
『俺は絶対に屈しねぇ。とことんまで歯向かってやる…』
外国で捕まり、勝手に見知らぬ土地へと連れてこられた憤り。
碧という妖には、その考えしかなかった。いつかこの2人の人間の隙をみて逃げ出す。その考えで頭がいっぱいだった。