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百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!  作者: 無色
無職透名編

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2-106.彼女のやりたいこと

 騒動。

 その言葉が仰々しいなら、ただの珍事だったリコリスの追放。

 終わってみればただの笑い話ってことで丸く収まった。


「ウハハハハハ!」


 収まったのも束の間。

 それまで抑圧されていた反動で、しばらくの間リコリスはとにかく喧しかった。

 

「オラオラぁ! リコリスさんのご帰還じゃい! 女体風呂の用意せんかい! 率先しておっぱいで背中流さんかい! はい遅いー! 行動は迅速にー! 舐めてんのか、あァん? おうおう並べ並べお前ら喝入れてやっからよー! ほらほら一列に並べ! もみもみ! うーん合格! あとで部屋に来なさい!」

「は、はい……」

「もみもみ! よーし合格だ! ナイスおっぱい!」

「ういー」

「もみもみ! ハッ、笑止!」

「干涸らびさせるぞうつけ者」


 暴君というか、やってることはただのバカなんだけど。

 追放に加担した負い目があった様子で、百合の楽園(リリーレガリア)のメンバーもそれに付き合った。


「みんなバニーコス着てくれぇい! なんでって? 私が見たいからー!!♡」


 これでもかと欲望を解放して、真っ昼間からバニーガールだらけの空間でお酒を楽しむ始末。


「うっひょぉぉぉい!♡ これこれこれこれぇ!♡ ふぉぉぉぉぉう!!♡」


 あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~……って言いそう。

 

「ゴッキュゴッキュ……ぷはーサイコー!!♡ ヘイそこのバニーちゃん!♡ その可愛いお口でリコリスさんにフルーツを食べさせておくれ!♡」

「いいよー♡ んーチュ♡」

「甘ァァァァい!!♡ ジュースィー!!♡」

「べつにいーんだけど、なんで姫もバニー着てんの?」

「似合うだろ?♡」

「バチイケてる」


 甘すぎじゃない?


「この歳で肌を露出するん、ちょっと恥ずかしいんやけど……」

「なーに言ってんだシキお前コノヤロー! そんなけしからんおっぺぇしやがって! こっち来い谷間にシャンパン注いでやる! 誰が飲むのって? わ、た、しー!!♡ ジュルジュルジュルー!♡」

「やんっお姉様のえっち」

「えちちコンロ点火ー!!♡」

「お姉全開だなー」

「姉さんのこういう感じ、なんだか久しぶりです」

「おーっと可愛い子ウサギちゃんたちはっけーん!♡ はぁはぁ♡ おじさんがチップあげようねへへぇ♡ 魅惑の鼠径部にねぇ、金貨挟んじゃおうカナ?♡ カナ?♡」


 衛兵呼んじゃおうカナ。


「えーどうせなら大金貨欲しいー」

「私、湖の畔に白い屋根の別荘欲しいですー」

「あげたら何してくれるのかにゃー?♡」

「お姉のしてほしいこと♡」

「なーんでも♡」

「んー全財産あげちゃうンゴー!!♡」


 まあ、みんなも楽しんでるっぽいからいいか。

 それにしてもマリアとジャンヌ。

 リコリスの扱い方を心得てるっていうか、自分の武器を知ってるっていうか。

 あれでまだ未成年とか末恐ろしすぎる。


「リコリスさん、お酒は足りていますか?」

「足りてねーのはお前だー! シャーリー飲んでなくないウォウウォウ!」

「うぉ、うぉううぉう……?」

「コールすんのうぜーw」

「二十歳超えてするノリじゃない」

「まーまー。楽しいしいーじゃんサッキュン。あーいなーに持ってんの!」

「なーに持ってんの!♡ 揉み足りないから揉んでんの!♡ 揉ーんで揉んで揉んで揉ーんで揉んで揉んで!♡ 揉んで!!♡」

「キメーw」


 ほんっとに1から10まで全部キモい。

 シラフでいるのキツすぎ。


「よっし盛り上がってきたしリコリスさんゲームしようかー! リコリスさんの言うことはー?!」

「ぜったーい♡」

「くじとか引かぬのか」

「ただの絶対王政じゃない」

「リコリスさんルーレット開始ー! ドゥルルルルル、でんっ! 師匠(せんせい)がエヴァのほっぺにチューするー!」

「ふぇっ?!」

「クソしょうもない茶番なんじゃが。まぁよいわ。ほれ、こっちへ来いエヴァ。ちぅ」

「は、はわわ……!」

「キターーーー!!♡ この瞬間のために生きてるー!!♡」


 自分が混ざるのも好きで、眺めるのも好きなタイプの女。


「次イこう次!! リコリスさんはディープキスを所望するー!!♡ 目の前であっちぃやつしてー!!♡」

「はぁ。シキ」

「どうしたのアルティちゃんんん?!!」


 ちゅ、クチュ……レロ。


「プハ……これで満足ですか?」

「ふぉぉぉぉう!!♡ いーねいーねいーねぇぇぇ!!♡」

「あーアルティちゃん浮気だー♡」

「おいおーいいいの姫ー?w」

「私は一向にかまわんッッッ!!」


 本当……救いようが無いってこのことか。

 もっかい転生すればいい。





 そんなバカ騒ぎの空間に疲れて、一人で外で涼んでたら。


「お疲れ様です」


 後を追ってきたらしいアルティに声をかけられた。

 ご丁寧にジュース入りのグラスを持って。


「ありがと」


 庭のベンチに二人。端と端。

 噴水のせせらぎがやけに大きく聞こえる。

 アルティと二人きりって、なんか珍しい気がする。

 バニー姿なのだけキショいからやめてほしい。


「毎度毎度あなたには苦労をかけます、サクラ」

「べつに。あいつの傍が安全なのは確かだし」

「随分と慣れたようで何よりです」

「ていうか慣れさせられた」


 この世界に来て約四ヶ月。

 来たばかりの頃より変わったという自負がある。

 普通に生きてた頃よりツッコミが増えた。

 丸くもなった。

 ……体型的な話じゃない。

 あと何より死にたいと思わなくなった。

 

「女嫌いは相変わらずだけど、ここの居心地は不思議と悪くない」


 って、私は冷たいジュースと一緒にその言葉を喉の奥へ流し込んだ。

 言ってやるのはなんだか癪だったから。


「苦労っていうならそっちの方が大変そうだったでしょ」

「正直いつものことですから。たまにああいう機会が必要なんです。諭し、諌め、叱り、正す。リコが道を踏み外さないよう」

「わりと結構人の道は歩いてない気がするけど」

「そうですね。けれどそれでいいんです。どんな道だろうと傍らに寄り添い、身を捧げて支える。それが私たちの役目ですから」

「献身ってやつ?」

「あなたの目には滑稽に映るかもしれませんが」

「珍妙ではある」

「珍妙……フフッ、的を得ていますね」


 酔いが回ったのか、アルティは楽しそうに笑った。

 一人の女をたくさんの女が愛してて、けど誰かしらが険悪になるわけでも、誰かしらが一人除け者になるわけでもなくて、むしろ尊敬してる。

 序列も順位も優先度も無い関係の名前を私は知らない。

 

「けど、それが心地いいんですから仕方ありません」

「あっそ」

「これからもよろしくお願いします。サクラ」

「何改まってんのキモい」


 よろしくも何も、まだやりたいことも定まってないのに。

 ふと、あることが頭を過ぎった。


「そういえば、リコリスはこの世界で何をしようとしてるの?」


 女を侍らせてキャーキャー騒いでるだけじゃなくて、一応は仕事してる時もあるし。

 生きるために稼いでるって考えれば、それはそうなんなけど。


「聞いたことありませんでしたか? リコはそういうところ抜けていますから。まぁ、それが可愛いんですけど」

「ノロケんなウザい」

「リコは」

「っおーい! リコリスさんのこと放置してなーにやってんだお前らはー!」

「声デカいウザいキモい死ね」

「はやく戻ってこいよー! 今から誰のケツが一番いい音するか選手権開催するんだからさー! ケツより可愛い鳴き声でリコリスさんのリコリスさんがリコリスさんしちゃうかもしれねーけどなぁ!!♡ ウェッヘッヘ!!♡」

「あんまり調子に乗ると抱き潰しますよ」

「ひぃんゴメンなさい!!」

「ふぅ、そろそろ戻りましょうか」

「ん」


 アルティは立ち上がってから、さっきの言葉の続きをいたずらっぽく口にした。


「リコが何をしようとしているのか、でしたっけ。世界征服……らしいですよ」


 私はしばらくフリーズした。

 世界征服。

 その響きが、あまりに幼稚で魅惑的だったから。


「はへぁ……?」

 

 以上、無職透命編は終了となります。

 今回は完全に日常回でしたね。

 書いてて、こういうのでいいんだよこういうので感は出ましたが、やっぱり戦ってる女の子って好きなんでね。

 またシリアスするときは書きたいと思います。


 次回は何を書きましょうか。

 また次の更新の際は、お付き合いくださいますよう。


 今日も今日とて皆様に感謝を込めて。


 高評価、ブックマーク、感想、レビューにて応援いただけましたら幸いですm(_ _)m



 なお、リコリスとアルティのバニーイラスト(AI、全年齢対象)

 をpixivにて掲載しております。

 興味がありましたら百合チートタグから飛んでご確認ください。

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