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百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!  作者: 無色
日出処嫁編

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2-41.待っててね

「リコリスもリコリスだけど、あの人たちも大概すぎる」

「みんな揃っていい女だろ! でも今は走れ! 迷宮(ダンジョン)の入り口はすぐそこだ!」

「だからなんで私まで……」


 変に裏道や屋根の上を走るより、大通りを行く方が時間が稼げる。

 あいつら相手に熟考して時間をロスするなんて愚策だ。

 迷宮(ダンジョン)に入りさえすれば大丈夫。

 あの中は各国が干渉し合う絶対不可侵地帯。

 どんな理由があっても争いごとはご法度だ。


「絶対逃げ切ってヒノカミノ国に行ってやるからなぁ!」




 ――――――――




「絶対逃げ切ってヒノカミノ国に行ってやるからなぁ!」


 元気がよろしいことで。


「と、大層な様子で意気込みながら、サクラさんと共に中央通りを爆進しています」

『そうですか』

「あのまま行かせてあげては?」

『シキを思う気持ちは尊長しましょう。ですが、リコの何が腹が立つと……仕事に対して不真面目なのは今に始まったことじゃないのでさておき、シキを追うのにかこつけて……』


 電話越しにアルティさんはわなわなと怒りに震えた。


「そんで……麗しの妖怪のお姉さんたちにお酌してもらうんだーーーー!♡ ワカメ酒ひゃっほーーーーう!♡」

『ちゃっかりヒノカミノ国を満喫しようとしているところです!!』


 鼓膜が……


『いいですねシャーリー!! あれはほとんど不死身なので五体満足は問いません!! 首をもいででもあのバカを止めなさい!!』

「とても奥さんの台詞(セリフ)とは思えませんが……やるだけやってみましょう」


 とはいえ力比べは望ましくない。

 愛しいリコリスさんを故意に傷付けるのは憚れますし、ここは私らしく。

 元暗殺者の手練手管を披露してみましょう。


「あなたは参加しないのですか? ユウカさん」

「いつものことでしょ、あいつが不真面目なのは。私は傍観を決めさせてもらうわ」

「結果アルティさんの怒りを鎮めることになりかねませんよ?」

「もう手遅れでしょ」

「クスクス、それもそうですね。では」


 影に融けて。

 さて、あの方は足を止めるでしょうか。




 ――――――――




「あともうちょい! あともうちょいで脱出だ! 待ってて美女たちー!♡」


 何ならもうお姉さんたちの甘い匂いがしてきたまである。

 ん? いや、なんだこの匂い。

 香水?


「きゃっ」

「おっと!」


 気を取られてお姉さんにぶつかっちゃうなんて一生の不覚。


「失礼レディ。お怪我はありませんか? もしよろしければそこの宿で手厚い介抱を」

「謝罪と欲望の解消を同時にこなそうとするプロのクズ」

「うるせえ。さあ、手を」

「親切な方。いえ、それには及びません」

「ッ?!」


 何かが腕に巻き付いて……糸?!


「……にゃろう!」

「化粧も仕草も骨格も、癖も匂いも声色も、意図して変えられるのが一流なんですよ」

「お前が超一流の美女なのはとっくに知ってるってんだよシャーリー!」

「は? シャーリーって……顔が全然……」

「スキルじゃないな。特殊メイクってやつか。私がこの距離でもわからないなんて」

「フフ、化かし合いならまだまだ引けを取りませんよ。これはあなたが欲してくれた技ですから」

「その顔もステキだけど、やっぱいつもの顔のが好きだ……よっ!」

「糸が……」

「ナメんなよ糸切りくらい素手で出来るわ」

「ミスリル製の糸なんですけどね」


 手元から可視ギリギリの糸が射出されるけど、見えてれば避けられる。

 こっちから糸の先を掴んで、逆にシャーリーをぐるぐる巻きにしてやった。


「んっ、ああっ」

「エッッッ!! 鼻血でちゃう!!」

「ダメですぅ……リコリスさぁん……」

「はっ、ま、まさか……まさかシャーリー……反撃を読んで自分からハニトラに持って行ったのか……!! くそぉぉぉ! なんて手強いんだ! 糸が食い込んだっぱいから目が離せないぃ!! うおおおおお!!」

「リコリスさん……このまま、襲ってくれてもいいんですよ……」

「ししし縛ららららシャシャシャシャーリーををををん?!! あーーーーりがとうごーざいーーーーます!!!」

「幽◯白書のオープニングを思わせる感謝うるさすぎる」

「けど、けど……ふええええん!!」


 語彙が消失するぅ!

 ゴメンねシャーリー!


「こんなにおいしいシチュエーションに背中を向けなきゃいけないなんてえ! ヒノカミノ国の美女全員侍らせるくらいじゃないとこの悲しみには釣り合わねぇよー!」

「走りながら泣くのやめて顔に飛んでくる汚い」


 そんなこと言ってる間に迷宮(ダンジョン)の入り口が見えた。

 けどその周りには人垣。

 迷宮(ダンジョン)に入る順番待ちをしてる人たちだ。


「どうするの? 割り込む?」

「もっかい我慢しろよサクラ」

「へ? は?」


 こんな人混みお姫様だっこで飛び越え余裕ですよ。


「ふぅ」

「人のこと抱きかかえてカッコつけんな死ね!!」


 バキッ




「強烈な右ストレートが顎を……」

「死ね」


 悪びれもせず追い打ちの罵声……悪くない。


「なにはともあれ迷宮(ダンジョン)に入れた。これであとはアイナモアナへの転移門(ゲート)を目指すだけっと」

「そうは問屋が」

「卸さないよぉリコリスちゃん♡」


 おっと、師匠(せんせい)魔王(モナ)の登場か。


「ラスボスってとこか」

「ラスボス? 勘違いしてもらっては困るのぉリコリスよ」

「そーだそーだー♡」

(わらわ)らが覇気でアルティに敵うわけあるまい……」

「うんうん」


 世界最強の二人を怖気づかせる我が妻っていったい……


「じゃあアルティに屈して私の邪魔をしに来たってことでいいんだな」


 私の権限で酒とエッチなこと全面禁止してやる。


「逸るでないわ愚か者。(わらわ)らが考え無しにやり合うと思ったら大間違いじゃ」

「んぁ?」

「アルティちゃんに怒られるのは嫌だけど〜どうせ怒られるなら楽しいこといっぱいしてから怒られる方がよくない?♡」

「というわけで……(わらわ)らも行くぞ! ヒノカミノ国!」

「ご飯にお酒に女の子〜♡ 楽しいことだーい好き〜♡」

「おお、おおお! 師匠(せんせい)! モナぁ!」


 ガシッ!


「愛してる! 一緒に楽しもうな! ヒノカミノ国!」

「ふぅーなのじゃー!」

「いぇー♡」

「シキのこと忘れてんじゃないのこの人たち。ていうか、ほんとに私も行くの?」

「細かいこと気にすんな! っしゃー出発だー! 待っててね妖艶な妖怪さんたちーーーー!♡」

 



 ――――――――




「案の定……ですか」


 アルティ姉こわ……

 リコリス姉たちが消えた転移門(ゲート)の前で佇んでるだけなのに。


「強行するだろうとは思っていました……それでも半分はマジメに仕事をこなす確率に賭けていたのですが……」


 魔力(マナ)の荒ぶりが尋常じゃない……

 普通の人なら気絶しちゃうよ……


「仕方ありませんね。終わらせましょう」

「し、仕事を……ですか?」

「いえ」


 うわ、鬼だ。


「リコリスという女の栄華をです」

 日常回のテンポの良さ半端ねえです


 皆様いつもありがとうございますm(_ _)m

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