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百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!  作者: 無色
百花繚乱編

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200/311

2-28.英雄と賢者たる所以

『ひいおじいちゃんもひいおばあちゃんも痛い……いや、若いなぁ……』

『ちょっと』

『っと、すみませんなんでもないです!! さ、さあここで謎の仮面の戦士と魔法使いが、世界の新星を相手に立ち阻かるー! 謎というベールに包まれた二人の実力は如何に!!』

『しかし、見ていて居た堪れないわね……』

『ほんとに……』




「【英雄王の光剣(アーサー)】!!」

「【賢者后の秘術(マーリン)】!!」


 実況には大いに頷くところだけど、痛い格好には相変わらずヒいた笑いが零れそうになるけど、それを差し引いてもなんだこの夫婦。

 強いのは知ってた。

 でもそんなの人間の枠組みに収まった話だろ。

 剣も魔法も一撃必殺。

 いや、存在そのものが最早必殺。

 天災がコスプレしてるみたいなもんだ。


「手加減はしなくていいんだぜリコリス!!」


 いちいちカチンとくる。

 挑発になんか乗るわけ……


「この程度でリーダー張ってられんなら、大したことねぇなぁ百合の楽園(リリーレガリア)!!」

氷獄の断罪(コキュートス)!! 冥府ヲ満タス血ノ剣アビスドゥームブラッド!!」

「おっと!!」

「上等だ!! 泣いて土下座させてやるクソお父さん!!」

「やれるもんならなぁ!! セーラーママ!!」

一等星の矢(シリウス)!!」


 一瞬前まで私の顔があった空間を光線が走る。


「初見でこの魔法を躱すなんて、さすがね」

「どーも」

「ならこれはどう? 黄道十二宮召喚(アストラルコール)星竜獅子(ライガ)!! 星毒戯蠍(スコルピアス)!!」


 星座の魔法陣からでっかいライオンとサソリ……幻獣……星獣か。

 何でもアリかこのお母さん。

 限られた期間だけど、アルティに魔法を教えてただけはある。

 それに何と言っても立ち回りが巧い。

 魔法の規模と威力が半端じゃないのに、私の動きを読んで罠を張ったり、主役級の力を持ってながらお父さんを立てることを忘れない。


 二体の星獣を斬って消滅させた私は、不意に口角を上げていた。

 

「すっごいな……私のお父さんとお母さんは!!」




 ――――――――




「すっかり蚊帳の外ですね」


 能面の人、ミオは刀の峰を肩に乗せた。

 剣聖リーゼとやり合うには興が削がれたと言わんばかり。


「除け者にされたみたいでおもしろくありません」

「大いに同意です。親子水入らずに水を差すのは野暮だとしても、咎められる道理はありません」


 そう言った次の瞬間には、二人は私の傍から消えていて、


「?!」


 両親の相手で手一杯のリコリスの背後を取った。


朧月(おぼろづき)!!」


 友だち、知り合い、容赦も手心も無し。

 刀が背中を斬りつけ、剣が胸を貫いた。

 

「っ!!」

「おいおい、横入りすんなよ」

「はいわかりましたと聞き分けが良いなら、再び戦場(ここ)に立とうとなどしませんよ」

「そりゃあ、そのとおりだな!!」

一等星の矢(シリウス)!!」


 至近距離から放たれた光速の矢がミオの顔を掠める。

 砕けた能面の向こうの、冷たいまでに妖しい水色の目が光り、刀が六本に分裂した。


霊刀解放(れいとうかいほう)!!」

南十字の星炎サザンクロスジャッジメント!!」

救世六刀流(ぐぜろくとうりゅう)阿修羅(あしゅら)否薙(いななき)!!」


 星が煌めく藍色の炎ごと、セーラーママことソフィアの身体が斬り裂かれる。

 それに声を荒げたのは、他ならぬタキシードパパことユージーンだ。


「セーラーママ!!」

「よそ見は厳禁ですパパ。無明の矛(テネブラリス)!!」


 世界最強の剣士。

 その剣が英雄の身体を大きく裂いた。


「ぐぉぉ!!」


 状況が二転三転したことに目まぐるしさを覚えるけど、次の瞬間にはリーゼの剣が折られ、ミオの刀が蹴り飛ばされていた。

 悔しいと、そう思った。

 赤い髪を靡かせたあいつに、私の目が釘付けにされていたことに。


「【聖竜の憤怒(サタン)】!! 【兎竜の怠惰(ベルフェゴール)】!!」


 四人に一斉に生まれたほんの僅かな隙。

 

「私をフリーにしてんじゃねえよ」


 口の中の血を粗野に吐き捨て、リコリスは地に伏せた四人を見下ろした。




 ――――――――




「あーしんど」


 みんな遠慮無く攻撃してきたもんな。


「服ボロボロじゃん。……なんか今の私ワイルドでえっちくない?! いやんリコリスさんの新たな魅力発見!」

「…………」

「おい中指立てんなサクラお前」

「みんな……寝てるの?」

「【聖竜の憤怒(サタン)】でブーストかけた【兎竜の怠惰(ベルフェゴール)】だからな。いくらみんなでも剣魔祭(カーニバル)が終わるまでは目が覚め……」

「っあぁ……効くぜチクショー」

「る……わけないんだから寝てろ化け物がよぉ」

「親に向かってなんだコラ」

「予め星祈乙女(ヴァルゴ)で魔法抵抗をかけてなかったら終わってたわね」


 くっそ抜け目無い。

 さすがに予想外だったけど、ミオさんとリーゼを倒せただけでも良しとしよう。


「おはようございます」

「よく寝ました」

「この……化け物揃いめ」

「眠気を斬るくらい剣聖(わたし)には造作もありませんから」

「あっそ……ミオさんは?」

「昔から眠りが浅いんですよ」


 体質で【兎竜の怠惰(ベルフェゴール)】を破られたって聞いたら、シロンが目を丸くしそうだな。


「第二ラウンドだ。来いよガキ共。大人の強さってやつを教えてやる」

「私は百を超えてるんですが」

「……父親の強さってやつを教えてやる」

「いちいち決まんないの何?」


 けどこれで強いんだからムカつく。

 今の私でも倒しきれないってなると……


「ったく、しょうがねーな」


 久しぶりに越えてみるか。

 限界ってやつを。




 ――――――――




「〜♪ いいデースねぇ、盛り上がってマースねー! どこもかしこも楽しそうで、どこから戦おうか迷ってしまいマース!」


 テスタロッサはエリア上空を飛びながら、各地の戦闘の様子を観察していた。

 ()の者の興味を引いているのは三箇所。

 帝都を中心に北に位置する草原の、親子三人と剣士二人の激闘。

 帝都より西の、錬金術師たちと屑鉄(くずてつ)の軍勢。

 そして帝都から真南に位置する山あいの村で起こった、小さな天災による混乱。

 

「ンーやはりリコリスさんと戦うのが一番楽しそうデースね。残り生存三十弱、そろそろメインディッシュの時間デース! ゴーゴー!」


 と、それはそれは愉快そうに、リコリスたちのいる草原へと急降下しようとしたとき。

 真っ黒な幕がそれを阻んだ。


夜天の尾(アンチテール)!!」

「!」


 雷が滞空する。

 目の前には影が二つ。

 さらに雷を挟んでもう二つ。


「やっと捕まえましたピョン」

「ハローなのですニャー。雷帝(らいてい)さん」

「オー……少々予想外デス。まさかこのメンツで、ワタシと遊びに来てくれるなんて」

「こちらにも事情があるもので。若輩者ではありますが、お相手のほどよろしくお願いいたします」


 シャルロット=リープ。

 エヴァ=ベリーディース。

 フェイ=ラビルリード。

 コルルシェール=ルー。

 四人は高度数千メートルの上空にて、テスタロッサ=メーラアドルナートに敵意を向けた。


「いいデースねー! 最高デース! でも油断ダメデースよ。どうやらゲストはまだいるようデスので」

「……! シャーリー、さん!」


 エヴァの声に反応して身を引いたシャーリーの肩から血が吹き出る。


「これは……!」

「助けに来てくれたんデースか? エマさん」

「そういうつもりじゃないのである……。影が薄すぎて誰にも相手にされなくて……。人はどんどん減っちゃうし……だからこうして混ざりに来たのである……」


 エマ=シトラスディースは、背中に生やした機械の翼をはためかせながら、剣に変えた右腕についた血を払った。


紫苑(しおん)さんまで、ですかニャ。他の大賢者が嫉妬しそうですニャー」

「何人増えたところででしょうピョン。やることは変わりませんピョン」

「そうですね。ここで潰させていただきます。リコリスさんの下へは行かせません」

「オーケー。レッツパーリー!!」

 …………え?200話?

 200話??!


 なげぇよ剣魔祭(カーニバル)!!

 でも戦ってる女の子好きぃ!!


 けど長いのは長いので、剣魔祭(カーニバル)編後半!!

 千遍万華編(せんぺんばんかへん)へ続きます!!!


 いつも御愛読いただいております読者様に多大なる感謝を込めて、これからも百合チート、盛り上げていきます!!!


 応援よろしくお願いします!!m(__)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 200話めでたいですね!!!!!!!!! この命ある限り 最後まで見守り応援しますよ!!! リコリスさんめっちゃ強い!!!横に立てるものはいないだろう!と思っていた人間なので リコリスさん…
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