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2-15.焼き飯っておいしいよね

 剣魔祭(カーニバル)

 テスタロッサさん主催の祭の開催は一週間後。

 それまではわりかし自由な時間。

 取り立ててやることっていったら…ヤることしかねぇよなぁ。


「ふぅ、よかったよドロシー君。今日の分のお小遣いだ。受け取りたまえ」

「最低に輪をかけて最低じゃない」

「いやーヘッヘッヘ。どう?孕んだ?」

「もう少し品のある言い方ってあるでしょ」


 種付け出来た?とかですかね。


「あんたなら百発百中で着床出来ると思ってたんだけど」

「さすがにそんなとこまでスキル使ったりしねーよ。ドロシーにも、産まれてくる子どもにも失礼だろ」

「なんでそういうとこ真摯なのあんたって」

「本気で好きだから、じゃね?」

「……ムカつく。こういうとき、本当に好きなんだって思い知らされる」

「え?もう五年以上一緒にいるのに?今さら?」

「好きが更新されてんのよ」


 そういうのサラッと言っちゃうドロシーめっかわ。

 乳は無いけど可愛すぎてつらい。


「そういえば聞こうと思ってたんだけど、テスタロッサのこと。なんでわかったの?アタシ全然気付かなかったのに」

「いや、わかるだろ。私の女好きは度を越してるし、ただでさえお前らみたいは美女に囲まれて目が肥えてんだぞ。その人が男か女かくらいわかるわ」

「とんでもない説得力で武装するじゃないこいつ…。あんた的になんだっけ?男の娘?は、守備範囲じゃないの?いつだったかしら、カリオストロで盗賊たちが性別反転したことがあったじゃない。あのときは一応外見には反応してたと思うけど」

「あったなーそんなこと」


 その辺について、改めて公言しておくのも悪くない。

 まず大前提として、私は女の子が好きだ。

 そこに貴賤は無い。

 では身体が女の子なら男でも好きかと問われると、これはNO(いいえ)だ。

 外見(ガワ)だけ女の子でも、心が女の子じゃないならそれは女の子とは呼べないというのが私の理念。

 性別転換や男の娘の存在意義を否定はしなくとも、女の子として好きになることは間違ってもありえない。


「ゆーて男の娘見たのが初めてじゃないってのもあるんだけどな」

「あんたそういう特殊性癖持ちの知り合い多そうだもんね」

「悪質な風評被害やめろや。じゃなくて、お前も会ってるだろ。ていうか遭遇?」

「?」


 あれ、今の今まで話したことなかったか?


「アイナモアナでヒナちゃんが襲われたことあったじゃん」

「ああ、シャーリーが仲間になるきっかけの?」

「そのときシエラって暗殺者いたの覚えてない?あの子も男の娘だよ」

「…………嘘でしょ?!!」


 だから私も手出ししづらかったんだろーが。


「世界って神秘…」

「まーまー。心配しなくても、私はお前たちに一途だよ♡」

「――――――――」

「絶句するほどか」

「だってあんた男の娘がどうとか以前に、百合の楽園(うち)以外で何人と寝てんのよ」

「何人って…お前今までに食べたパンの枚数覚えてんの?」

「クソゴミクズ」

「冗談だって。人妻と幼女と行きずりには手出してないから」

「その言い分だと顔見知りはだいたい抱いたみたいに聞こえるけど。あんたまさかうちの騎士連中とか手出したりしてないでしょうね」

「ドロシーだって知ってるだろ。私が抱くのは、私のことが大好きな人だけだって。ドロシーを敬愛してるアウラやクルーエルたちを抱いたりしないよ。メロシーさんとは寝たけどね!」

「身内のそういう話キツい。って、あいつらが抱いてってねだってきたら、そのときはそうしてくれて構わないんだけど」

「マジかよ!!」


 そうなるとドロシーを含めて6P…

 女皇と騎士で、くっ!やめろ!女皇陛下の前で辱めを…へ、陛下!見ないで…見ないでください!みたいなこと出来るってことか…


「じゅるり。ウヘヘ、いいですねぇ。みんなのお尻並べてパンパンピチャピチャしちゃったりねぇ。あーでもアウラたちが揃ってドロシーに奉仕してるのを眺めるだけもアリだな。いや、待てよ?ドロシーがアウラたちに奉仕を強制されてるのも……くぅぅぅぅ〜!!ちょっ、滾ってきたからもっかいシよ」

「あんたって奴は…」

「ね、ドロシー。いいでしょ?」

「上目遣い…っあーもう!!顔良いの本当ムカつく!!いくらでも相手してあげるわよ!!」


 やったぜ☆




 ――――――――




 イライラ…イライラ…


「チッ!」


 なんッッッで私が人がヤり終わるの待ってなきゃなんないの?!

 意味わかんない死ね!

 ホテルだから隣の部屋から喘ぎ声聞こえるし…マジキモい!!

 しかもドロシーの連れも一緒で気まずいし…あーイライラヤバい無理。

 

「どうだ?その後」


 話しかけてくるし…

 えっと、たしか…アウラ、だったっけ?


「その後って、見ての通りだけど。毎日振り回されていい迷惑。あの人の周り女ばっかだし。最低」

「そうか。ならばよかった」

「はぁ?」

「環境はともかく、少なくとも城にいた頃よりは生き生きしているように見える」

「気のせいでしょ」

「わかるんだ。我々がそうだったから」


 ()()ってのは、きっと私が知らないリコリスとこの人たちにあったことを指してるんだろう。

 聞く必要は無い。

 でも、知らないものを知らないままでいるのもなんだか違う。

 そう思った。


「リコリスとあなたたちの関係って?」

森羅騎士団(わたしたち)は、以前とてつもない過ちを犯した。怒りに身を任せ、大切なものを見失った。それを正してくれたのが彼女、リコリスだ」

「恩人…ってこと?」

「ああ。それ以上に信頼している。あの人にならば、我らが主君を任せられると」

「誰彼構わずナンパするし、今現在ベッドインしてて人を待たせてる軽薄女でも?」

「……………………」


 すっごい苦い顔してる。

 美人が台無しになるくらい。


「信頼…は、している…。強く美しく、あの人以上にドロシー様を幸せに出来る者は無いと確信すら…。私ならば一途にドロシー様を愛せると何度思ったことかゲフンゲフン!!な、何にせよだ。あの人の影響力と求心力は凄まじいという、そういう話だ」

「人格と品性が著しく欠如してても、か」

「それでもあの人は、誰かを好いて誰かに好かれ続ける」

「結局…何が言いたかったの?」

「あの人に見初められたお前はきっと幸せになれる、と」


 適当なこと言う人だ。

 幸せなんて、そんなの人それぞれでしょ。


「くだらない。私は絶対に幸せになんてされてやらない。私の幸せは私が決める」


 絶対に。


「しからば陰ながら応援しよう。この世界で唯一、彼女に叛逆する者を。その信念がお前の行く末を決めることを祈っている」

「何様」


 やっぱり女ってどいつもこいつも意味わかんない。

 言われなくても私は私だ。

 何も変わらない。

 ただの私だ。




 ――――――――




「陛下、剣魔祭(カーニバル)参加者をリストに纏めましたのでご確認を」

「うむ」


 フェイから受け取った紙の束に目を落とし、獣帝レオナは愉快と呆然が入り混じった微妙な顔をした。


「奴はこの国を地図から消すつもりか。それとも祭と銘打ったただの国崩しか。とてもただの催し事で集っていいメンツではないな」

「僭越ながら、このくらいでなければ陛下が存分に御力を奮えないかと存じますピョン」

「そうなのですニャ」

「ただ強き者を決める闘い…皆力を持て余しているのは同じということか。願わくば戦いたい者もいるのだが、惜しむらくはそれが叶わぬことだな」

「リコリスさんのことですかニャー?」

「あれは模擬戦でも女には手を上げることをしないからな。大会自体参加しないだろう。残念ではあるが、他にも実力者は揃っている。せいぜい憂さは晴らさせてもらうさ」

 

 ああ、先に言っておこう。

 レオナは側近二人に意地悪い笑みを向けた。


「お前たちが相手でも手加減はしない。お前たちも私を潰しに来い。これは命令だ」


 フェイ=ラビルリードとコルルシェール=ルー。

 約束(やくそく)飢餓(きが)の大賢者たちは、揃って膝をついた。


「「獣帝陛下の御心のままに」」


 強さこそが己が証明である。

 獣人としての性質(さが)に準じて。




 ――――――――




「ふぃー♡」


 お肌も心もツヤッツヤ♡

 このひとときが私を私たらしめるってなもんよ♡


「結局夜だし…残業ってことで手当て付けてもらうから」

「いやーすまんねヘッヘッヘ。待たせた分、うまーいご飯作ってあげるから。アウラたちもおいで。ご飯はみんなで食べた方がうまいからね」

「ご相伴にあずからせていただく」

「腰痛い…」

「クソキモ色ボケ貧乳エルフ」

「誰が貧乳よ!!」

()った!!はぁ?!こいつ殴ったウザすぎ死ね!!」

「あだっ!!ちょっと!!女皇蹴るとか死罪にするわよ!!」

「うっわ靴汚れた最悪買い換えよ」

「あーアタシこいつ嫌いだわ!!よかったわね小娘アタシが穏健な女皇で!!もう少し若かったら百合の楽園(うち)から追放してるわよ!!」

「貧乳ロリババアってこと?キッツ」

「リコリスいいわよねこいつヤッちゃっても!!」

「いいわけねーだろ。みんなすべからく私の女だぞ」

「私は違うけど。括んないでくれるキモいから」


 うーん仲良くなる余地有りっ子どもめ。

 私の百合センサーがアレしちゃうだろ。


「はいはい、早く帰ってご飯にしよーな。何食べたい?」

「「焼き飯。あ?」」

「仲良しかよ」


 焼き飯ってたまに食べたいよね。

 焼き飯と炒飯の違いって玉子を入れるタイミングらしいよ。

 閑話休題。

 よしっ、リコリスさん特製のチャーシューも入れて、絶品の焼き飯を食べさせてやるか。


「ワタシも食べたいデース!」

「うおっ?!」


 びっっっくりした…


「テスタロッサさん…?」

「チャオ、リコリス。夕食でもと誘いに来たのデスが、ちょうどよかったデース。ワタシたちも一緒にお呼ばれしてもいいデースか?」

「ちょっともうっ。何よ急に走り出して…って、あら?」


 なんだあのゴリゴリおネエ。

 あとロボと…うひょっスーパーエグい美人妖怪さん♡

 この魔力(マナ)の感じ…まさか…


「ねっ、リコリスさん」

「はあ…」


 何この有無を言わせない感じ。

 え?ほんとにうちでご飯すんの?

 なんで?

 たまにはこんな時間に投稿しちゃいますよ!


 次回はご飯回になりそうです!

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[気になる点]  そう言えば百合の姫って肉体が男でも通用するのかな?
[良い点] すっげえ珍しい時間 寝る前に確認hnsらし新しいし話が出てびっくらこいた ドロシーちゃんの子供楽しみ〜 アウラさんたちとドロシーとリコリスで...なるほど6P...?ヤバすぎるな おい み…
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