Re:prologue
始まりました、第二部!!
そして最終章に向けての物語!!
今回はプロローグで短編の投稿ですが、今後に繋がる話としてどうかお楽しみください!!
「ひぃやっはぁぁぁ!」
「きゃあああ!」
春の日差しが穏やかなとある日。
数人の男が少女を一人囲んでいた。
「へっへっへ、お嬢さんお一人なんだぜぇ?」
「よかったらおれたちとお茶してほしいんだぜぇ!」
「向こうにケーキがおいしい店があるんだぜぇ!ひゃっはぁぁぁ!」
どこぞの田舎から出てきたばかりなのだろう、垢抜けない様子の少女。
男に囲まれる経験は無く、どうしたらいいのかわからずに足を竦ませてしまっている。
「いっいや!やめてください…!」
「さぁ行こうぜぇ!こちらへどうぞなんだぜぇ!」
いたいけな少女に手が伸びかけたそのとき。
「あ、あの…」
「ああ?」
「ひ、人に…めっ、迷惑かけちゃダメ…です」
背後からやって来たその女性が男の腕を掴むと、男の身体は重力を失ったようにふわりと宙を舞い、気付いたときには地面に倒れ空を見上げていた。
「あんまり…悪いこと、すると…食べちゃいますよ」
男の放心は一瞬。
垂れた髪の奥。顔の右半分が赤目と牙の異形に変わったのを見るなり、すぐさま飛び起きて恐怖に顔を引き攣らせた。
「す、すみませんなんだぜぇぇぇ!!」
女性は走り去って行く男たちから少女へと視線を移した。
「だい、大丈夫…でしっ、でしゅか…?…………ううう」
「噛んだ…あ、だ、大丈夫です!助けていただいて、どうもありがとうございます!」
「いっいえ…。冒険者…の、方ですか?」
「はいっ!私、百合の楽園に憧れて田舎から出てきたんです!お姉さんも強いし、もしかして冒険者ですか?じゃあ知ってますか?百合の楽園!」
「あ、は、はい…」
「会ったこととかありますか?強くてカッコよくて、全女性の憧れ!私も百合の楽園みたいな冒険者に…なんて、魔物の討伐経験なんてほとんど無いんですけどね、エヘヘ」
少女は頭を掻いて苦笑いするが、女性はたどたどしくも励ましの言葉を贈った。
「き、きっと、なれますよ。誰だって…何かにとっての特別、ですから」
「…!はい!」
「冒険者ギルドは、こ、この道をまっすぐ…行った先、です。そ、それじゃ…」
「ありがとうございます!あの、私ルカって言います!お姉さん"ユリホ"持ってますか?もしよかったら、その、連絡先とか交換してもらえないかな〜なんて。お姉さん経験豊富そうだし、いろいろ教えてほしいなって」
「あっ、は、はい…。私でよければ…」
二人は薄い板のようなものを取り出すと、それを重ね合った。
「エヘヘ、ありがとうございます」
「い、いえ…ヘヘ」
「あーいたいた。おーいエヴァ姉ー」
「マ、マリア、さん」
「もうっ、ちょっと買い物してくるから待っててって言ったのに。むー」
「ごっゴメンなさい…」
「いーいーよ。それよりお腹すいちゃった。何か食べて帰ろうよ」
「はい…で、では、またいつか」
金髪が眩しい猫耳の少女に手を引かれ、女性は少女に別れを告げた。
「今の…マリアって…。それにエヴァって、もしかして…」
今しがた起きた幻のような奇跡に、目の前にあった美貌の余韻に浸るように少女は呆けた。
「神竜級冒険者パーティー…百合の楽園…」
場所は大陸の南。ドラグーン王国、王都ヴェスタリア。
世界の経済の中心。
五年の月日を経て高度な成長を遂げた街から、物語は再び紡がれる。
――――――――
「……めて。やめて……お母さん――――――――」
涙を伝わせて少女が手を伸ばすと、淡い木漏れ日が目に飛び込んだ。
どこまでも透き通った青に混乱しながら、身体を起こして腹を触る。
「私…なんで…。ここ、どこ…?」
衣服を染めた赤に不確かな現実を覚えて。
少女もまた物語を紡ぎ出す。
楽園に咲く、最後の一輪として。
舞台は五年後!!
はたしてそれぞれはどのような変化を遂げたのか!!
最終回はまだまだですが、どうか第一部同様また末永くお付き合いください!!
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