122.ぬくもり
前ページの後書きに記載したプロフィールに、モナの項を追記しました!
さらっと加入していますが、彼女も百合の楽園の一員です!
王都出発から約一週間。
ラジアータ号を快速に飛ばしても未だ道のりは半ば。
現在地はドラグーン王国とサヴァーラニア獣帝国とを分かつ山並み、ナルブシェーク山脈を尾根伝いに下り、そろそろ国境を越えるぞというところ。
私たち一行は、
「あーこりゃ完全にスタックしてんね」
「そんなデバッグ間に合わんかったゲームみたいなノリで言われても」
絶賛立ち往生していた。
なんか急にエンジンの調子が悪くなっちゃったんだよね。
「何が原因なの?」
「姫の魔力の出力が強すんぎでラジアータ号がオーバーヒートしたっぽい」
「じゃあリコリスのせいじゃないの」
「違いますー!」
「自分が作ったの壊れるのガン萎えでヤバ〜。姫に合わせてちょいちょいメンテナンスしてたんだけどなぁ〜」
「私の進化し続ける魅力を受け止めきれなかったか、すまん我が愛機よ」
「やーん♡リコリスちゃんカッコいいよぉ♡」
「でしょでしょ?♡ちゃはっ♡」
「バカ言ってんじゃないわよどいつもこいつも。どうなのルウリ?直りそう?」
「ちょっとキツい。メインの回路が焼き切れてるから、部品作って修理するのに日にち欲しい」
「どのくらい?」
「一週間」
一週間か…そのくらいなら、このままサヴァーラニアを目指した方が早いな。
「幸い修理が必要なのはバイクの部分だけで、荷馬車の方は平気みたいだし、リコリスに引かせれば何の問題も無いわね」
「よっしゃ任せろヒヒーン♡じゃねーんだよバカ。私の人権が損なわれんだよ」
「人…権…?」
「おいやめろあんたにそんなの有ったの?って目やめろ」
ともかく!
ドロシーの言うとおりトレーラー部分は無事だし、キャンプする分には不便は無い。
「暗くなってきたし、今日のところはここでビバークだな」
「花婿さんの魔法なら王都に戻れるのに?」
「いや、ラジアータ号壊れたからちょっと戻ってきたってなんかダサくない?」
「ほんそれ。うーさむさむ。とりまお風呂で。あ、姫〜あたし鍋焼きうどん食べたい」
「今からうどんこねろってか、いいけどさ。マリア、ジャンヌ、そろそろ戻ろう」
ふと見ると、二人ともある方向に目を向けてる。
サヴァーラニアの方角だ。
もうすぐ故郷に戻ることを考えて、やっぱりナーバスになってるのかもしれない。
「二人と――――」
もう一度呼びかけようとするのを、モナが唇に指を当てて止めた。
「マリアちゃんっ♡ジャンヌちゃんっ♡」
「わっ!」
「モナお姉ちゃん?」
ガバっと後ろから抱きついて、冷えた頬に自分の頬を当てる。
「今日はリコリスちゃんがおいしいご飯を作ってくれるんだって♡楽しみだね♡モナお腹すいちゃったから、はやく中に入ろう♡ねっ?♡」
「うんっ」
「はいっ」
「いい子いい子♡その前にみんなでお風呂入ろうね♡モナが背中流してあげる〜♡」
「じゃあ私もモナ姉の背中洗ってあげる!」
「私も私も!」
「やーん♡嬉しい〜♡」
さっきまでの暗い雰囲気は何処へやら。
二人はモナと一緒に馬車の中に戻っていった。
「さすがモナモナ」
「うん、めっちゃ助かる」
「リコリスが人の心に寄り添うのが上手いなら、モナは人の心に入り込むのが巧いって感じね。あれは悪魔ならではかしら。あの物腰で魔王だっていうんだから感覚がおかしくなるわ。つくづく個性的な女を近くに置くわね、あんたって女は」
「それな」
「ニシシ、いいだろ」
正直、どんな風に言葉を掛けたらいいのか迷っていた。
半神だなんだといっても、まだまだ私は未熟だと思い知らされた。
猛省じゃないにしてもさ、身の程を知るのは大事なんだと。
「しっかりしろよ私」
「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい。だよ姫」
「んぁ?それ誰の言葉だっけ?」
「ガッちゃん」
ガンジーをそんなフランクに呼んでんの歴史上お前だけだぞ。
さてさて、それでは本日のリクエスト。
うどんを作っていこうと思います。
小学校の授業参観でやったなーうどん作り。
「ざるで振るった小麦粉に、塩を溶かした水。これをよく混ぜて、ぼそぼそになってきたらこねる」
えっとこの後は、たしか袋に入れて足で踏んでたっけ?
みんなに踏んでもらう…あ、お風呂行ってるか。
美少女たちが踏んだうどんとか資産価値ヤバそう。
なんて冗談はともかく、ここは【重力魔法】で一発よ。
「生地を休ませるのも魔法で時間加速…っと」
台に打ち粉して麺棒で伸ばして…こんなもんかな。
あとは切ってと。
うん、いい感じいい感じ。
あとは鍋に昆布とかつおぶしで出汁を引いて、醤油、みりん、砂糖を加えたつゆに具材をぶち込んでいく。
玉子を落としてプリップリのえび天を贅沢に乗せたら…はいっ出来上がり。
「へいお待ちー!リコリスさん印の鍋焼きうどんだー!」
「おいしそー!」
「いい匂い!」
「熱いから火傷しないようにね。それじゃ手を合わせて、いたーだきーます!」
「いただきまーす♡ふーふー、ちゅるっ、はちちっ、ちゅるちゅる……んーーーー♡」
「これおいしいわね。って、何回アタシはあんたの料理に感動するのかしら」
何回でもしたらええんやで♡
「っあ〜…沁みる〜。うどんうんまぁ〜♡」
「寒いと格別だよな」
つるつるシコシコとしたうどんが歯を押し返す感触。
出汁の風味が相まった甘めのつゆの落ち着きは抜群で、そのつゆを吸ってボテッとなりながらも程良いサクサク感を残したえび天の、メインたる堂々とした存在感。
濃いめの味付けをしたあげ、かまぼこ、肉団子、ほうれん草、白菜、白ねぎ、卵焼きの名脇役たちもいい仕事をしてる。
そして火が通って半生になった玉子の絶妙な具合ときたら、美味に思わず笑みを溢しちゃう。
「私ね私ね、玉子は最後まで取っておいて一口で食べちゃうよ!」
「トト、違う。途中で割るから、まろやかおいしい」
「姫〜七味欲しい〜」
「アタシ最後ご飯入れたい」
好きにお食べなされや。
うどんってうまいよね。
「ふぃ〜眠い眠い」
洗い物も終わったし、さっさと寝ちゃうかってベッドに入ろうとしたとき、部屋の扉が叩かれた。
「はいはーい?ん、マリア?ジャンヌ?」
「ゴメンねお姉。こんな時間に」
「ゴメンなさい」
「んーん。どうした?眠れない?」
「ん…」
「…ニシシ、ちょうどよかった。私も寒くて寝られないなぁって思ってたんだ〜。もしよかったら、今日は一緒に寝てくれない?お願いっ」
「ぁ…うん!一緒に寝る!」
「お邪魔します!」
一緒に寝るのも久しぶりだな。
二人を迎えたばっかりの頃は、よくこうして間に挟まれて眠ったっけうひょーーーー妹たちの体温あったけーーーー!!♡
いい匂いに程良く膨らんだお胸ぴとってしてくーーーーったまらーーーーーーーーん!!!♡
「でゅふふ〜♡」
「お姉」
「は、はい!なんだい?!」
よだれ出そうだったわ危ねえ危ねえ。
いつもの癖がね、ちょっとね。
「…………」
両隣の二人は微かに震えていた。
「やっぱり怖い?」
「ちょっとだけ…」
「みんな、私たちのこと忘れてたら…どうしよう…」
「そんなわけない。絶対に。ほら、二人とももっとこっちおいで。お姉ちゃんが二人に魔法をかけてあげよう。どんなときも一緒だよって、勇気の魔法だ」
「お姉…」
「お姉ちゃん…」
「大丈夫。マリアもジャンヌも強い子だから」
ある意味、それは私自身にも言い聞かせた言葉だった。
もしも本当に二人のことを忘れているのだとしたら、私はその人たちを許せなくなってしまうから。
そうして三日をかけて山を下り、国境を越えて更に三日。
氷に閉ざされた湖の畔の小さな村に到着した。
二人の故郷、ヨック村へ。
《簡易プロフィール》
名前:リコリス=ラプラスハート
種族:人間
性別:女性
誕生日:9月23日
年齢:19歳
出身:ドラグーン王国
趣味:女の子とイチャイチャすること
好きなもの:女の子、グラタン、楽しいことなんでも
嫌いなもの:キノコ、人殺し
座右の銘:全ての女の子を愛したいし全ての女の子に愛されたい
名前:アルティ=クローバー
種族:人間
性別:女性
誕生日:2月25日
年齢:18歳
出身:ドラグーン王国
趣味:魔法、チェス
好きなもの:リコリス、シチュー、氷菓
嫌いなもの:軽薄な人、夏の熱気
座右の銘:氷姿雪魄
名前:ドロシー(真名:ドゥ=ラ=メール=ロストアイ)
種族:ハーフエルフ
性別:女性
誕生日:5月7日
年齢:130歳
出身:ロストアイ皇国
趣味:新薬開発、薬物調合
好きなもの:リコリス、メロシー、森の匂い
嫌いなもの:巨乳、貧乳いじり、自然に敬意を払わない人
座右の銘:自分を好きになれない人は相手も好きになれない
名前:マリア
種族:獣人族
性別:女性
誕生日:6月8日
年齢:10歳
出身:サヴァーラニア獣帝国
趣味:追いかけっこ、日向ぼっこ
好きなもの:リコリス、ジャンヌ、優しい人、お肉
嫌いなもの:怖い人、生野菜
座右の銘:座右の銘?よくわからないけど、お姉ちゃんたちのことは大好き!
名前:ジャンヌ
種族:獣人族
性別:女性
誕生日:5月26日
年齢:10歳
出身:サヴァーラニア獣帝国
趣味:執筆、絵画
好きなもの:リコリス、マリア、優しい人、果物
嫌いなもの:怖い人、辛いもの
座右の銘:いつも心にありがとうを
名前:テルナ=ローグ=ブラッドメアリー
種族:吸血鬼
性別:女性
誕生日:12月15日
年齢:2000歳
出身:ヴェルザースター連邦国
趣味:酒
好きなもの:リコリス、美味な血、甘味
嫌いなもの:不味い血、太陽、船、虫
座右の銘:妾こそが唯一にして無二たる最強である
名前:シャーリー(シャルロット=リープ)
種族:人間
性別:女性
誕生日:7月7日
年齢:25歳
出身:トリスティナ王国
趣味:針仕事
好きなもの:リコリス、夜
嫌いなもの:リコリスに仇なす者
座右の銘:闇の中にこそ光在り
名前:エヴァ=ベリーディース
種族:半魔人
性別:女性
誕生日:3月7日
年齢:18歳
出身:オースグラード共和国
趣味:彫刻
好きなもの:リコリス、焼き立てのパン、静かな空間
嫌いなもの:大きな音、視線、他苦手なものが多すぎて記載不可
座右の銘:人生の主役は自分
名前:ルウリ=クラウチ=ディガーディアー
種族:自動人形
性別:女性
誕生日:12月21日
年齢:19歳
出身:技術国家ディガーディアー
趣味:発明、機械いじり
好きなもの:リコリス、ジャンクフード、目新しいもの
嫌いなもの:バナナ、こんにゃく、おばけ
座右の銘:アガってるときは楽しんで、サガってるときはもっと楽しもう。そしたら毎日ハッピーでしょ♪
名前:アリス=ラプラスハート=クローバー
種族:精霊竜王
性別:女性
誕生日:11月3日
年齢:0歳
出身:オースグラード共和国
趣味:???
好きなもの:ママ、おかーさん
嫌いなもの:???
座右の銘:???
名前:ユウカ=モノクロリス
種族:幽霊
性別:女性
誕生日:生前、??? 幽霊後、4月5日
年齢:500歳
出身:生前、??? 幽霊後、浮遊城カリオストロ
趣味:徘徊、読書、花の水やり
好きなもの:リコリス、本の匂い、小鳥の声
嫌いなもの:雨、寒いところ
座右の銘:無限の愛をこの胸に
名前:モナ=エクスヴァルヴァ=クトゥリス
種族:悪魔
性別:女性
誕生日:6月16日
年齢:2000歳
出身:魔界国イルミナ
趣味:食事、ギャンブル、セッ《ピーーーー》
好きなもの:リコリス、気持ちいいこと全般
嫌いなもの:何でも好き♡
座右の銘:セッ《ピーーーー》しよ♡
従魔
名前:リルム
種族:幻獣種・粘魔竜姫ベルゼビュートスライムロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:食事
好きなもの:リコリス、食事、おやつ、ひんやりした場所
嫌いなもの:いじめる人
座右の銘:おいしいものいっぱいは幸せ
名前:シロン
種族:幻獣種・眠兎竜姫ベルフェゴールラビットロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:睡眠
好きなもの:リコリス、睡眠、春の陽気
嫌いなもの:睡眠妨害、夏、冬
座右の銘:一日36時間睡眠くらいがちょうどいい
名前:ルドナ
種族:幻獣種・空鷹竜姫マモンホークロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:空中遊泳
好きなもの:リコリス、虫、麦
嫌いなもの:雨の日
座右の銘:空在るが故に果ては無く
名前:ウル
種族:幻獣種・黒狼竜姫ルシファーウルフロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:狩り
好きなもの:リコリス、肉
嫌いなもの:力量差がわからない愚か者
座右の銘:肉を喰らわば骨まで
名前:ゲイル
種族:幻獣種・翠甲竜姫アバドンビートルロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:森林浴
好きなもの:ドロシー、自然、蜂蜜、樹液
嫌いなもの:自然が無い場所
座右の銘:マモルタメニタタカウ
名前:トト
種族:幻獣種・月霊竜姫レヴィアムーンエレメンタルロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:人の頭の上でゴロゴロ
好きなもの:ドロシー、花婿さん(リコリス)、シチュー、クリームいっぱいのケーキ
嫌いなもの:悪い人
座右の銘:ドロシーの幸せが私の幸せ!
名前:プラン
種族:幻獣種・冀聖竜姫サタナエルドラゴンロード
契約者:リコリス=ラプラスハート
趣味:ご飯とお風呂
好きなもの:リコリス、天ぷら、日の光
嫌いなもの:暗くて狭いところ
座右の銘:弱肉強食