114.クリスマスの奇跡(1)
晴れ間が王都を覆った日。
とうとう迎えたクリスマスに、私たちは朝から色めき立っていた。
「夜は迷宮でクリパするから、それまでには戻ってこいよみんな」
自分を増やしてみんなとデート…字面は意味がわからないけど、これもみんなを愛するため。
延いては私が楽しむため!
よーしイチャイチャしてくよー♡
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って初っ端から意気込んではみたものの。
「あ、あの…メロシーさん?」
「なんですか?」
「いや、あの…なんで私は膝枕されながら頭を撫でられてるんでしょう」
「だってリコリスさん、いつも頑張ってて偉いから。今日くらいは甘やかしてあげないとって」
ぼ、母性〜!!♡
太ももムチムチでいい匂いするンゴ〜!!♡
おっぱいデカすぎて顔見えんけど!
「将来はわたくしの義妹になるみたいだし」
「ウッヘッヘ、そのときはよろしくお願いしますお義姉さん。なんならドロシーと一緒に私と結婚してくれてもいいんですよっ♡」
「フフフ、それもいいわね」
「ほぇ?」
「もしわたくしが何百年も独り身だったら、そのときはもらってね」
「はへぁ…」
姉妹揃って言うときは言うんだよなぁ…
そんなとこが好きなんだけどさ。
それはそれとして実現するとしたら幸せすぎるな!
皇族姉妹とロイヤルおセッ――――――――
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また屋敷の別の部屋では。
「予想はしてたけど、お前は相変わらずだなシロン」
「んー」
こんな日まで部屋でグダグダ。
出会ったときは、そりゃあ突撃されたもんだけど。
「すっかり怠け者に育ったな」
「そんなボクも可愛いだろ」
「おう。めっちゃ可愛い。けどいいの?みんなみたく遊びに行かないで」
「いいんだよ。特別な日にお前を独り占めにして一緒にお昼寝する。こんな贅沢は他にないだろ?」
たしかになと頷くと、シロンは細い身体で私を抱きしめた。
「めいっぱい堕落させてやる。覚悟しろよリコリス」
「ニシシ、お手柔らかに」
たまにキスをして、たまに耳を甘噛みして。
私たちは一緒になって微睡みに落ちていった。
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聖夜祭ということで、街はとにかく賑わっている。
あちこちから行商人やら旅芸人やらが集まっているんだけど、私とトト、それにゲイルは観劇目的にホールにやって来ていた。
リズベルタ歌劇団という、その名の通り歌って踊ってお客さんを楽しませる劇団だ。
新進気鋭。最近話題になってるらしく、話の種にとチケットを取ったんだけど。
「宝塚だなこれ」
男役のお姉様方のイケメてることよ。
歌も踊りも上手いし。これは魅入るね。
「花婿さん、キラキラしててキレイだね」
「そうだね。けど二人は一緒でよかったの?」
「うん。いい。本当は主様と一緒がよかったけど、主様は主様で楽しみたいだろうから」
「うんっ。それに私たちも花婿さんと一緒は楽しいし」
ご主人思いだね。
それを抜きにしても、劇を楽しめてるようでよかった。
ミュージカルってのは観てて飽きないねぇ。
まぁ、
「私は天蓋を斬り裂く剣!我が姫ジャンヌ様を襲う悪漢無頼の徒よ!一木一草塵となって消え失せるがいい!」
「リコリス様!」
劇そのものっていうか、劇に出演することになった私とジャンヌから目が離せないってのがあるんだけどさ。
夏真っ盛りの時期にクリスマスの話…
まあいいか!百合ですしね!
次回はジャンヌ、ミオ、プラン、ルドナを予定しております!
お楽しみに!
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