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一回目

「冬。午後3時頃。紅葉紅葉(もみじこうよう)は自室のイスに座り、机と向き合い勉強をしていた。現在学習しているのは数学。紅葉は冬休み前のテストで数学が赤点とまではいかないもののかなり危ういラインまで落ちてしまったのだ。それを挽回すべく、彼は熱心に課題の問題集を解き進めている。しかし難しい問題にあたってしまったのか頭を抱えだした。冬休み明けには軽いテストもあるのにこの調子で大丈夫なのだろうか。」

「…………あのな氷月(ひょうげつ)。お前の言う通り俺は今勉強中なんだから静かにしていてくれないか。それと頭を抱えだしたのはお前がウザ絡みしてきたからなんだよ!」

「唐突に大声を出す紅葉。」

「地の文を想像して喋るな!!それにセリフなんだから最後に『。』はつけない方がいいんだよ!!」

 急に始まり、まともな説明も無いまま展開を続けてしまってすまなかった。

 俺は紅葉紅葉(もみじこうよう)、こんな名前だが作者はしっかりと考えてつけたらしい。高校一年生。

「一方で紅葉紅葉の周囲に浮かんでいる白髪色白ストレートの美少女は氷月(ひょうげつ)、紅葉に憑いている精霊である。」

「地の文語るんだったら主観とか抜きにしろよ…」

「そんな戯れ言には耳を塞いで」

「塞ぐな!ちゃんと向き合えよ!?」

「この作品は一人の男と一体の精霊がただただぐだぐだ駄弁るだけの小説です。バトル展開とか無いしファンタジー要素もほとんど皆無だけど、これからの冗長に付き合ってくれる人はぜひ、楽しんでいってね」

「普通に『。』無しで喋れるじゃん……」



「して、マスター」

「何だ?」

「記念すべき一回目は何を話せばいいのだろう」

「………決めとけよ。あと俺は勉強してるから構ってやれないからな」

「えーいいじゃないか。たまにはそんな勉強なんてほっぽり出しても。

 そう言いながら紅葉の上を旋回する氷月。」

「セリフの途中で地の文に切り替えるな。あーそれにこれも言わせてもらうけどな、この作品一応俺視点で進むんだよ。お前があんまり地の文を言いすぎると俺心情しか語れなくなっちゃうんだよ」

「はたしてこの男の主観にどれほどの価値があるのだろうか。」

「お前実は地の文にカモフラージュして言いたい事言ってるだけだろ!主観に価値を見出し始めたら大体のラノベが無価値になっちゃうよ!」

「それは(すなわ)ち、大体のラノベは無価値な主人公の戯言(たわごと)のみで構成されているという事だろうか。さすがはボクの主君だ。罵倒のレベルが一段上だ」

「そういうことじゃねえっての!敵が増えるような言い方をするな!」

「まあまあ、ひとまず落ち着きたまえよご主人。頭に血が上っていては、勝てる試合にも勝てないぞよ?」

「いつの時代の人間なんだよその言葉遣いは。それに頭に血を上らせたのはお前だし、試合をするつもりも無い」

「嘘だろマイロード。我とダブルスでマツオカップを目指すんじゃなかったのかよ」

「なんだその松岡の松岡による松岡のためのテニス大会みたいなのは!!てゆーか、お前の発言地の文じゃなくても一々ツッコミ所が多すぎて並列の接続詞を使い尽くす勢いなんだよ!!もっと抑えろ!!」

「この場合並列してツッコミたかったのは拙僧の一人称に関してでござるな。でもオイラ無設定の精霊だからキャラの固定とか出来ないでてやんでい」

「キャラの固定が出来なくても語尾に違和感を無くす努力くらいはしろよ!!なんだ『出来ないでてやんでい』って!!」

 先程も氷月が言ったように、彼女は「設定の無い」精霊である。

 それがどういう事を示すのかは聞いてもよく解らなかったのだが、どうやら世間一般的に知られる精霊というのは「大地の精霊」、「剣の精霊」、「音の精霊」など「~に宿る」という設定が付けられているそうだが氷月にはその設定が存在しない、というのが大まかな解説、だと思う。

 ちなみに設定が存在しないのは精霊界ではそう珍しい事では無いらしく、生まれたてとか宿りたい物が無い精霊は設定が存在しないらしい。

 だがしかし、設定が存在しなければ一人称やら語尾やらの固定は出来ないとは言っていなかったのだが……。

「はっ、と何かを思い付いたように顔を上げる氷月。」

「……あー「ああまた氷月がろくでもない事を思い付いたと言いたそうな顔をする紅葉。」

「セリフを邪魔するな!慎みを覚えろ日本に生きているんだから!!」

「私の生き方は私が決める」

「幾度となく使い古されて尚かっこよさが色褪せない名言を安直に使うな!」

「で、話を戻すとだが」

「はいはい、なんだよ一体?」

「今回は私とあなたの関係の紹介をしていく、というのはどうだろうか」

「おお、珍しくまともな一人称で珍しくまともな提案をしたな。偉いぞ」

「ウチはどれだけ不真面目に見られとるんや」

「札幌の時計台ぐらい。じゃあ早速紹介をしていくか。俺とお前が出会ったのは、俺が中学二年生の頃だったな」

「お前って言わないでよ。熟年夫婦みたいじゃん」

「じゃあ何て言えばいいんだ?」

「ダーリン♡」

「何でだアァァぁぁああああ!!!お前から俺なら分かるが、俺からお前に何故その言葉をかけなければいけない!!」

「冗談だって本気にすんなよ。学校でもそのテンションだと浮くよ?」

「正論を口にするな!これはコメディなんだ!これくらいのテンションでやってかないと面白くなんないんだよ!!」

「あー、作者に文才が無いから」

作者「やめろォ!!」

「つーか、こんなボケ挟んでないで話を進めようぜ。読者に飽きられるぞ?」

「最初に『冗長に付き合ってくれる人は』って言ったから皆これくらい朝飯前だよ。世の中には人気の衰えない休載しっぱなしのマンガだってあるんだし」

「ああ、まあ、そうだな……」

「まあそれはそれとして話を戻しましょう」

「……そのマイペースさにはとっくの昔に慣れてんだけどさ、口調は統一しないか?読者が混乱するだろ」

「こんなクソ作品読む人なんていないでさー」

「悲しい事を言うな!」

(わたくし)と貴方様が出会ったのは立ち入り禁止の森の中でございましたね……。あの頃の虚勢張ってたあんたはいとうつくしうていたり。愛すべき中二病だった頃に戻らないかしら」

「やめろそこは掘り返さなくていい。俺がお年玉目当てで泊まった母方の祖父母の実家がある田舎で立ち入り禁止の立て看板に反発して森に入りお前を連れて帰ってきてしまったという黒歴史は語らなくていい」

「語るに落ちてますわ……あれ、さりげにおいどんディスられてるでごわすか?

 少しだけ氷月のテンションが下がる。」

「思い出したかのように地の文を語り始めるなお前は。………しかし、どうするよ?俺とお前との関係で語るべき事って、これくらいしか無いぞ?」

「えーいっぱいあるじゃないか。そなたが精霊の国の変身アイテムを使って魔法少年になり、朝7時もしくは8時の半かちょっきりに魔族たちと戦いを繰り広げていた一年の思い出とか」

「そんな事実は無いしそれは明らかナントカライダー枠じゃないか!!」

「いいや、ほにゃキュア枠だ」

「男なのに!?」

「男だからこそだよ。ほら、年々男の娘ブームは停滞の道を辿っているだろう?それを打開するためには、一度初心に戻り、単にかわいい男の子が女の子っぽくなってるという原点回帰が必要なんだ」

「言うほど停滞してるか?作者そういうの詳しくないのにそんな事言っちゃって指摘されないか?」

「大丈夫。こんな作品誰も見ないから」

作者「グボォハア!!」

「おい、それくらいにしてやれよ。今作者が奇声を上げながら死んだ音がしたぞ」

「問題無いよ。作者は本当は承認欲求が強いだけでメンタルフェニックスだから」

「承認欲求強くてメンタル再生とかめっちゃタチ悪いじゃん。いや、作家にはそれくらいが向いているのか?」

「なろうに投稿してる時点で作家として間違ってると思うけど」

「何でお前は各方面に喧嘩を売るような事を平然と言えるんだ!!『小説家になろう』なんだからどんな言い分があっても作家として間違ってなんかいないんだよ!なろう運営やらなろう発の作家さんに謝れ!!この話の文字数ぐらい土下座しろ!!」

「いくら何でも挽回の仕方が無理矢理すぎるよ……後ご主人の怒りをこれほど恐ろしく感じたのは初めてだよ

 ぶるり、と震える仕草をする氷月。」

 ……本当に、本当に今さらだが、俺はこいつに付き合っている場合ではないのだった。

 課題がたっぷり残っている上冬休みはあと五日しか無いのだ。

 そろそろ話を切り上げねば。

「というわけで氷月、俺は課題に集中するから、お前は黙っていてくれ。もしこの五日間黙っていてくれたなら、お菓子を買ってやろう」

「ミーはお菓子なんかで買収されるようなキャラじゃないのサ!!……でもまあ、言われなくても黙るけど

 深刻そうに顔を下に向ける氷月。」

「?何だよ、何か理由があんのか?そんな深刻な?」

「そろそろ一人称と二人称が辛い」

「なるほど」

「あと所々で地の文挟まなきゃいけないのも辛い。何を書けばええねん。それにこれ以上話したら二回目以降のネタが無くなる」

「メタいな……今に限った話じゃないが」


「と、いうわけで、もう終わるね!ここまで読んでくれた人サンキュ!次回もぜひぜひ、楽しみに待っててね」

「うおっ、誰だそのキャラ。……あー、まあ、これからがあればよろしく頼む。途中言った通り作者は承認欲求が強いので高く評価してくれたら助かる。次回は多分再来月くらいだから別に待たなくていい。待ってくれるのなら嬉しい。……あー、これどう終わればいいんだ?一本締めでもすればいいのか?とりまやっとくか……。えーそれでは皆さんお手を拝借。いよぉーっ」

「ぱんっ、と音が鳴った。」

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