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日帰り異世界は夢の向こう 〜聖女の守り手〜  作者: 扶桑かつみ
第五部 『帝国』編

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488 「空からの襲来(2)」

 魔物どもに対して、こちらは上空には疾風の騎士4、竜騎兵8。

 この空中戦力で、当面はボスキャラ以外の全ての魔物付き飛行生物を相手にしてもらう。

 ボクっ娘とノヴァ組全員がSランクなので、大型龍がいなければ楽勝レベルの筈だった。


 だから地表に降りた約80体と、ボスキャラの相手をオレ達地上組が相手にする事になる。


 地上に布陣しているのは、『帝国』軍の兵士が300、騎士団100、魔法使いは10人ほど。このうち100名ほどは船の防衛担当になる。

 うちSランク級に超強いのは、マーレス第二皇子以外だと側近の近衛騎士のアーバスさんくらい。他Bランクが10人ほど。

 けどBランクなら下級悪魔とタメなので、『ダブル』基準でもかなり強い部類だ。


 まるで怪獣映画での怪獣と自衛隊の戦いだ。


 けど怪獣映画と違うのは、他の魔物を多数連れている事だ。竜騎兵も2騎付き従っている。

 何しろ魔物の集団の正面は暗黒龍とでも言えそうな、どす黒い大型龍。その背には魔将クラスの青鬼が乗っている。

 会った事はないけど、もはや魔王クラスの戦闘力だろう。


 しかも大型龍と取り巻きの竜騎兵2騎は、降り立った魔物の群れを置き去りにして、そのまま低空飛行でオレの居る少し奥まった場所へと飛んでくる。

 そしてこちらの飛行戦力は、魔物を降ろした数騎の竜騎兵以下、約30騎が阻止していて何もできない。

 左右に散った友軍に対しても、約80体の魔物を10騎程度の獅子鷲が援護している。

 思ったより、集団での戦い方を知ってる動きだ。


 そして大型龍の口元で一気に魔力が増す。

 ブレスの放射だ。

 その場にいるのはオレと、キューブ3つ。

 一応物陰に隠れてる振りをしていたけど、ちゃんと見つけてくれたようだ。


 そして特定箇所にブレスを放射するとき、飛龍タイプのドラゴンはその場でほぼ滞空する状態になるか、地表近い場合は降り立って体の安定を確保する事が多い。

 雷龍のライムがそうだし、エルブルスの大型龍も変わりはない。大型龍との戦い方に関しては、悠里様様だ。

 長らく一緒にいたホランさんも、ドラゴン自体の戦い方はそれほど詳しくはなかったので、悠里がいなければもっと間抜けな戦いをこちらは仕掛けていただろう。

 もっとも、当の悠里は空中戦の真っ最中だ。


 けど敵というか青鬼も、馬鹿ではなかった。

 何かの魔法を構築したと思うと周囲に放つ。

 そうすると、幻影の魔法で隠れていたシズさん、ハルカさん、トモエさん、それにシズさんの側にいたレイ博士も露わとなる。シズさんの側にはアイが、レイ博士の側にはスミレさんもいる。


「そうそう、同じ手を何度も食うと思うな!」


 青鬼が叫びつつ、大型龍の首が目オレから大型龍から見て右斜め前に居るシズさんの方へ向く。

 けど、オレから見て右斜め前のシズさん達、左斜め前のハルカさん達は、すでに魔法陣5つを構築し、今まで溜め込んだ上に領地やレイ博士の館からも持ち出した、アホほどある魔石、龍石を全開に使った豪勢な大魔法が完成していた。

 あとは放つだけで、そのタイミングを図るべく魔法の構築継続をするべく、レイ博士やトモエさんがサポートしていた。

 だからシズさんも涼しい顔だ。


「そうかな? 『核爆陣』」


「キターーっ!究極奥義!!」


 構築を手伝っているレイ博士の方がテンションマックスだ。多分、恐怖による感情の高まりが、絶叫させたんだろう。

 そして二人の言葉の瞬間、大型龍の真下から大爆発が発生する。

 この魔法のために大量に買い込んであった触媒を、ちょうどその場所に埋め込み隠していたのだ。


 そしてこの魔法は、大量の触媒が必要なので、こうしてどこかに設置しておくのが一番なのだそうだ。

 ついでに言えば、こんな使い方をする魔法ではない。普通は城壁や頑丈な大規模構造物の破壊などに使う。


 けど、策は見事に嵌った。

 魔法使いの方角から何かが飛んでくると考えていたのであろう大型龍と青鬼は、真下からの爆発発生に完全な不意打ちだ。

 そもそも魔法とは魔法使いの周囲から投射されるもので、遠隔発動は殆どない。


 それを今回、レイ博士のサポート、アイの圧倒的な魔力操作と収集、大量の魔石、そして地面に埋め込むように描いた多数の簡易魔法陣で実現した。

 城や要塞のシステムを簡易的に再現したものだけど、こんな何もない場所でしかも短時間のうちに普通再現できるものではない。

 この図案作成には、シズさんの記憶力に加えて、リョウさんの情景を切り取ったように覚える記憶力が大いに活用されていた。


 しかも同時に、右側からハルカさんの言葉も聞こえる。

 青鬼は、ハルカさんにこそ最初の一撃を見舞うべきだっただろう。

 けどそれを半ば見越して、スミレさんとアイをそのまま二人につかせていた。

 つまり青鬼がシズさんに気付かなくても、そちらに関心を向ける前提で幻術という隠れ蓑を用意していたのだ。


「行け、『神槍撃』!」


 そして爆発が広がるより早く、まさに神速で強く輝く無数の槍が、どす黒い大型龍の全身に、四方八方から突き刺さっていく。

 そしてその突き刺さるのを見届けるかどうかのタイミングで、大爆発が広がる。


 この爆発を予期して、オレ達は十分な間隔をとって布陣していた。周りに友軍も置いていない。

 さらに、直前にシズさんの耐熱魔法とハルカさんの防御魔法も全員に施してあった。


 耐熱と防御はブレス対策も兼ねていたけど、大型龍が放射寸前だった炎のブレスは、地面からの爆発で首が上を向いたらしく中途半端な状態で上空に向けて放たれた。

 しかも哀れなことに、配下の竜騎兵がその流れ弾を食らっている。

 残りの竜騎兵も、なまじ密集して突撃してきていたので、魔法の爆発に巻き込まれていった。

 完全に決まったと思える一撃だけど、お約束の言葉でフラグを立てたりしない。


 シズさんとハルカさんは、すぐにも次の魔法の構築を開始。

 レイ博士が慌てるように退避していくのはご愛敬だろう。怖いのを我慢して、よく頑張ってくれたと思う。

 そしてオレとトモエさんは、敵にとどめを刺すべく一気に間合いを詰める。

 クロ、ミカンも一緒だ。

 戦闘力のないキイロだけが、レイ博士のように逃げに入る。


 そしてまだ爆煙が続く中から、青鬼がオレの方向に砲弾のように飛び出してきた。

 どうやら青鬼はまだまだ元気らしい。


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