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日帰り異世界は夢の向こう 〜聖女の守り手〜  作者: 扶桑かつみ
第五部 『帝国』編

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482 「それぞれの願い?(2)」

「それでボクが関われるとしたら、こっちで眠り姫なハルカさんについてって事ね」


「そう。まあこっちで人数が必要な場合とか、本当に限られていると思うけどな」


「そうだな。でも話してくれて有難う。何だか、今の方がショウ達の仲間になれた気がするよ」


「それは何より。でも、向こうの件でも一応聞いとくことがあるんだけど、いいか?」


「ん? ボクはもう無関係だろ」


 タクミが首を傾げる。

 それに対して、今度はシズさんが手にしていたカップを置いて話し始めた。


「神々の塔は、私達『ダブル』を現実世界から『夢』の向こう側、もしくはあっちの世界に呼び出している神々なり『世界』なりの最大の拠点だと考えて良いだろう。

 だから、可能性はゼロか低いだろうが、私達の要望や意見を聞き届けたり、場合によっては叶えてくれるのではと、私は淡い期待を抱いている」


 その言葉にタクミがハッとした。


「あの、それってボクをもう一度あの世界に呼べないかって頼んでくれるんですか?」


「まあ、タクミ君だけじゃないかもしれないけどね」


 柔らかく微笑むシズさんに、タクミが少し複雑な表情を向けた後、少し考え込む。

 そしてすぐに少し下げていた顔を上げた。


「前は感情的にチャンスを棒に振ったけど、叶うのならお願いしてもらって良いですか?」


「勿論。叶えば、私もタクミ君に少しは恩を返せるからな」


「恩とかはいいですよ。でも行けるのなら、お願いします。……それで皆さんは、色々と願いなり要望が受け入られるなら、ハルカさんを復活させるんですね。でも、こっちの世界で魔法とか奇跡みたいな事って可能なんでしょうか?」


「私らの魂とかをこの世界から呼んでる時点で、世界か神々がこの世界に干渉する力とか能力があるのは確定でしょ。

 それに契約魔法がこっちの世界でも有効って事は、魔法の効果も影響するって何よりの証拠。

 あと、これは今のところオフレコでお願いだけど、今玲奈の体には向こうから流れ込んだ魔力があって、それで魔法が使えるのも立証してるんだ」


 トモエさんの言葉に、タクミが目を丸くしてる。

 そこで掻い摘んで玲奈の二重人格の話などを追加で話した。


「……もう、驚きの連続だよ。なんか麻痺しそう。て言うかさ、ショウって色々背負い込むタイプの主人公だったんだな」


「その言葉、前に誰かに言われた事あるな。でも、全部偶然だよ。いや、シズさんの件は、こっちから首突っ込んだのか」


「まあ、そうだな」


 流石のシズさんも苦笑気味だ。


「それに私や悠里ちゃんみたいに、普通の女の子もいるよ。ねー」


「ですね。それで言いそびれてたんですけど、今日私が呼ばれたのって、タクミさんに色々秘密と話す為の付き添いとかじゃないですよね」


 言いたかった事を言えて少しホッとてる悠里の言葉に、シズさんが頷く。


「神々の塔へ行く前に、そこでタクミ君の件のような願いか要望をまとめておこうと思ってな。向こうでコソコソ話すのも、悪いだろ」


「あー、そうですね。けど私、別に何もないですよ。仮に私の分のお願い枠とかあるんだったら、全部ハルカさんに回して下さい」


「みんな基本的にはそうだと思うが、恐らく相手はあの世界そのものの代表だ。色々聞いてくれるかもしれないだろ」


 少し冗談めかしているせいか、妹様は怪訝な表情だ。

 そこでオレは、玲奈に一度視線を向けて了解を得てから、口を開いた。


「向こうのレナは、こっちの玲奈と任意で入れ替われるようにお願いしたいみたいだぞ。たまに文明を味わいたいって」


「そっかー、レナはそうだよなあ。私、どうしよう。トモエさんは?」


「私はシズと合わせて獣人なりたいかなあ。身体能力も上がるんでしょ?」


「トモエさん、どんだけ強くなりたいんですか?」


 みんな苦笑気味だけど、代表してオレが突っ込んだ。

 それに対してトモエさんは事も無げに返す。


「えーっ、強いに越した事ないでしょ。危険も多いし。私、ずっとあっちに居たいからね」


「それはオレもです。だからオレは、死ぬ以外でドロップアウトしないように頼みたいですね」


「ショウならそうだろうな」


「ハイ。ハルカさんがこっちで復活したとしても、オレにはそうする責任ありますからね」


「わ、私達が決めた事に、ショウ君に責任ないよ」


 玲奈の手に手を重ねつつ言葉にした。


「オレも決めたから一緒だよ。それに、ずっと別れてた方がいいだろ?」


「そ、それはそうかもだけど」


「あのさ、そう言うのは一応二人きりの時にお願いできる?」


 妹様のちょっと申し訳なさそうな顔。

 向こうでは玲奈に、こっちではハルカさんとボクっ娘に義理立てするのは、我が妹ながら実にえらい。

 タクミも突っ込むか悩んでたのだろう、かなりの苦笑気味だ。

 そして「ショウの切り替えの凄さを垣間見たよ」とコメントが添えられた。

 そんな気は全然なく、その時目の前にいる人に全力を尽くそうと思っているだけだけど、なかなか理解してもらないらしい。


 もっとも、トモエさんがニコニコしてる。しかも表裏なしの全部わかってる的なニコニコ顔だ。

 こっちとしてはシズさんくらいクールな方がやりやすいけど、確かに大人数の前ですることでも無かった。

 ここは誤魔化し笑いで切り抜けれそうにもないので、強引に事を運ぶ事にした。


「えっと、だいたいそれぞれの方向性とか方針は決まった、でいいのか?」


「まあ、そうだな。悠里ちゃんは、その時、まあその時があるのかすら分からないが、それまでに決めておいて」


「はーい」


 妹様はオレにジト目しながらだけど、場を取り繕ってくれたシズさんの言葉に返す。

 とそこに、タクミが小さく挙手する。


「あの、それでいつ神々の塔へ?」


「まだ話して無かったっけ?」


「今週は講演会なしだったし、ショウのメモ書きに書いてなかったぞ」


「そっか。えーっと」


「予定では11月11日だな」


 先にシズさんに答えられてしまった。

 しかしその日に多くの事が分かる可能性がある。

 そしてそうなれば良いと全員が感じた。


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