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ニーナ、屋台の準備をする

予告なく修正することがあります。

Sep-20-2020、一部変更。

 ニーナ達はいつもの型の練習に加えて、木偶との模擬戦が加わった。年少組は木剣を使っているが、ギルスとエレンは真剣を使い始めていた。


「緊張感が半端ないな。」

「殺気が無いので、戦い辛いが、追えない速度ではないな。」

「ライトヒール。」


 傷ついたギルスとエレンをミリアンが治癒魔法で治療した。


「おいらも真剣にするかな。」

「まだ早い。」


 全員に否定され、ロロは項垂れた。ゼンが声を掛けると、ニーナ達は食堂に集まり、ハンバーガーを食べた。


「もうすぐ、大漁祭りなのじゃ。ゼンはここずっと、何処かへ行っておるの。何処へ行っておるのじゃ。」

「屋台を出す。」

「何の屋台なのじゃ。ゼンが作るなら美味しいに決まっておるのじゃ。」

「焼きそば。」

「どれくらい集まったの。」

「充分。」

「五日間もあるのよ。ずっと、屋台を出すの。」

「一日?二日?」

「何故、聞くのじゃ。もう少し、詳しく言って貰わねば判らんのじゃ。」


 キキが苦笑してゼンが大漁祭りの間、焼きそばの屋台を出すことを計画していると話した。そのために、ゼンはファイヤーボアや海岸に向かいお化け蟹等の百年種を討伐していたことを教えた。

 朝食後、ゼンはミリアンとロロを連れて、出かけて行った。

 キキは図書館に向かい、ニーナ達は市場に向かった。市場は大漁祭りの準備で、飾り付ける人々で賑わっていた。


「お嬢、商人ギルドに行って、ゼンさんの屋台を登録しておかないと。」

「そうじゃな。商人ギルドは初めてじゃ。」


 市場の中ほどに商人ギルドはあった。

 中には窓口が並び、人々が列を作っていた。右側は一時的な保管場所となっているのか、様々なものが積み上げられていた。


「屋台の登録は何処だ。」

「屋台の登録ですか。大漁祭りも近いので、大勢の人が来ています。ゴールドランク以上の方は、申込み用紙に記入するだけで、大丈夫です。」

「ゼンさんの商人クラスはゴールドだったぞ。」


 ニーナがゼンの名前を書いて、受付の横に設置された箱に入れた。

 夕方、ゼンが戻って来て夕食の準備を始め、匂いが漂いだすとニーナのお腹が鳴った。

 ミリアンとロロは自室に入って、ベッドに倒れ込んだ。


「何があったのじゃ。」

「問題ない。」

「お嬢、お腹の音はスルーしたな。」

「エレンも時折、鳴らしておるのじゃ。」

「き、今日は鳴っていない。」


 ニーナの質問にゼンは説明しなかった。エレンの冗談でうやむやになったとも言えた。


「うにゅにゅにゅ。ところで、ゼンよ。今日はなんじゃ。」

「焼きそばだ。」


 ララがミリアンとロロを連れてきて、食事が始まった。


「やはり、蟹は美味しいのじゃ。この白いのは何じゃ。」

「烏賊よ。歯応えもいいし、味もいいわね。」

「これも似ているが、周りが赤いな。」

「それは蛸ね。烏賊に似ているけど、違った味が面白いでしょ。」

「こっちのトロッとしたソースがかかった方も美味しい。」

「それは餡かけ焼きそばね。こっちは塩味ね、豚肉入りの普通のもあるのね。全部、出すの。」

「今夜の結果。」


 食べ終わったニーナ達は感想を出し合って、醤油と出汁の利いた中華風海鮮焼きそばが選ばれた。


 そして、夜が明けた。


 朝の練習を終えると、ニーナ達は町に繰り出した。


「おお、いつもより屋台の数が多いのじゃ。これは攻略するのに骨が折れるのじゃ。」

「お嬢、まさか、全部行く気か。」

「攻略せんでどうするのじゃ。」


 ララとロロも激しく上下に首を振る。どうやら、やる気満々のようだ。


「まあ、今日は一日、回ってみましょう。新しい食材が見つかるかもね。」


 キキの提案でニーナ達は屋台を巡り、港に近い市場に向かった。

 大漁祭りは獲れる魚が一番、多くなる季節に行われる祭りだった。

 多くの屋台が並び、露店にも様々な魚が並んでいた。


「ゼン、小さな蟹があるのじゃ。」

「お嬢ちゃん、小さいってこれは大きい方だよ。」

「妾より大きかったのじゃ。」

「それは百年種だろ。そんなもの、滅多に出てくることは無いぞ。」

「町はずれの岩場で、五体を狩ったのじゃ。あれは美味しかったが。」

「岩場?揚がって来たのか。今年はとんでもないことが起こりそうだな。」


 どうやら、ニーナ達が討伐した巨大蟹は珍しく、ギルスの手の平ぐらいの甲が標準らしかった。ゼンは通常大の蟹をあるだけ買い、他の露店を回った。


「ゼン、あれ。」


 キキが指差した露店では桶に入った、海老そっくりの生物がいた。


「おっ、旦那。肉喰らいがいるのかい。肥料にするのかい。」

「その海老、肉喰らいと言うのか。」

「海老。こいつの名前は海老と言うのか。いや、こいつらは群れで浅瀬にいて、入って来た動物を何でも喰らう。肉なら何でもだ。亜竜種でも喰らいやがる。人ならこれくらいの群れで五分とかからない。」


 店主は海老の入った大きな、三つの桶を指差して言った。


「そうだったのね。ドレイクの革で作ったブーツに穴を開けられたわ。」

「恐ろしいのじゃ。しかし、ゼン。肥料など、どうするつもりじゃ。」

「車海老そっくり。鑑定してみたけど、ほぼ同じ味らしいわ。こっちの方が、香りが少し薄いそうよ。」

「全部、貰おう。」

「おお、なら大銅貨五枚にしとくよ。」

「ゼン、伊勢海老よ。これも全部、お願い。」

「おっと、それは食用だ。もう予約も受けている。」

「なら、売れるだけ、買い取るわ。」


 ゼンは蟹に続いて、車海老をまとめてマジックバッグに入れ、伊勢海老の代金を支払らった。


「二匹なら、売れるよ。銀貨一枚と大銅貨四枚だ。他も回ってみなよ。伊勢海老って言うのか。アカウマって呼んでいた。赤い美味い奴と言う意味だけどな。みんなにも教えてやろう。蟹と言うのも食えるのか。どう料理する。」

「試してみればいい。」

「まあ、レシピは商人ギルドに登録して、人気が上がれば大儲けだからな。」


 商人ギルドではレシピも扱う。料理だけでなく調味料の製法、馬車の製作法、家の建築方法など幅広く取り扱っていた。魔法に関するものは魔法師ギルドが、罠の製法は盗賊ギルドが扱っていた。


「ゼン。あの気持ちの悪いのは何じゃ。」


 露店を見ているニーナが引き攣った表情になった。


「烏賊に蛸。」

「うにゅにゅにゅ、食べるのか、これを。」

「のじゃ姫は昨夜、食べたでしょ。焼きそばに入っていた、白いものよ。あれが烏賊。似て周りが赤かったものが、蛸よ。見た目はこんなに気味が悪いけど、味は良かったでしょ。」

「うにゅにゅにゅ、見た目より味が重要じゃ。ゼン、これも買って欲しいのじゃ。」

「たこ焼きが出来るわね。」


 ニーナが強請ると、ゼンは支払いを済ませるところだった。


「素早いのじゃ。」


 城塞都市では烏賊も蛸も食べる習慣は無いが、年少組は烏賊と蛸の串焼きを持っていた。


「よく、そんな串焼きが売っていたな。食べる習慣はなかっただろ。」

「大漁祭りは獲れたものを取り敢えず、焼いたり煮たりして屋台で売るらしい。」

「そうやって、新しい食材と調理法を見つけるようだ。食べる方は命懸けらしい。」


 ギルスとエレンが仕入れた情報を伝えた。見渡すと時折、苦しげに体を折る者や、桶に吐き出している者を見ることが出来た。


「失敗作も多いのね。ねえ、ゼン。フグのような魚を調理しているようだけど。あら、倒れた。」


 調理の魚に噛み付かれたり、襲われたりする者、毒がある魚もいるため、巡回の治療魔法師や傭兵、冒険者もいた。


「なかなか、面白い祭りなのじゃ。」

空♂:やっと、休日になったと思ったら、台風も近づいている。

キ♀:今回は大きいようね。準備は出来た?

空♂:マンションだしな。被害が無いことを祈るだけ。

キ♀:水や食料は常備しているけど、停電やガスが止まれば大変ね。

空♂:携帯コンロを買って来よう。

キ♀:ところで、色々な物を出すけど、何時、種明かしするの?

空♂:うにゅ、無限収納、インベントリ。薄々、気付いていると思うが、もはや出す事が出来ん。

キ♀:だから、ここで暴露したわけね。

空♂:orz

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