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ニーナ、難しい依頼を受ける

予告なく修正することがあります。

Sep-19-2020、一部変更。

 翌日、お化け蟹を下拵えして、保存の魔道具に入れて、夕食の準備しているゼンの横で、ロロが刀で蟹の足を斬っていた。


「おお、ロロ。綺麗に斬れておるのじゃ。」

「やっと、出来た。です。」

「全部、斬ってくれ。」


 隣で見ていたニーナも参加して、蟹の足を斬り始めた。そんな二人を優しい眼で眺めながら、ゼンは出来上がった料理を数枚の大皿に盛りつけた。

 ゲートキーパーが来客を告げ、キキが命令して招き入れた。


「ゴーレムの門番とは、造ったのか?」

「ドロップ品よ。二体しかないの。ところで、今日はどちらかしら。ギルマスそれとも、公爵?」

「ギルマスだ。おっ、いい匂いがするな。」

「食べて行くといいわ。話があるのでしょ。」


 ゼルスは笑顔になって席に着いた。キキが向かいに座り、ギルス達も席に着いた。ゼンとゲートキーパーが料理を運んで、テーブルに並べた。

 ゼルスが身を乗り出して、料理を見渡した。そして、深呼吸をして椅子に座り直した。


「うむ、見た事のない料理が多いな。」

「これ、大公閣下。頂きますが先じゃ。」

「どこの大物だよ。」


 手を出そうとしたゼルスをニーナが窘めて、全員で「頂きます。」を唱和して食事が始まった。

 野菜にマヨをかけて食べ始めたニーナを見て、ゼルスも真似をしてマヨをかけた野菜を食べた。


「美味い。野菜が美味しいと初めて感じたぞ。」

「そうなのじゃ。このマヨ大将軍は最強なのじゃ。」

「マヨ大将軍と言うのか。」

「ケチャップ将軍より強いのじゃ。」

「お嬢、強いは食材の形容とは違うぞ。気持ちは判らんでもないが。」


 ニーナの説明を聞きながら、ゼルスは唐揚げや焼き飯を平らげていった。ニーナがジャガイモに手を伸ばすと、ゼルスは驚いた様に声を掛けた。


「ニーナよ。それは庶民も食わんぞ。儂も冒険者時代に何度か食ったが、不味くて閉口したぞ。」

「ふっふっふ、大公閣下は知らぬのじゃ。ジャガ大王の強さを。これはゼンが不思議な調理をしたジャがじゃ。これにマヨ大将軍を付けると、ジャガマヨ大帝になるのじゃ。試してみるのじゃ。」


 ニーナの説得にゼルスは苦笑して、仕方なく口に入れた。口を動かし飲み込むと、貪るように平らげた。ニーナの猫を思わせる眼が、笑みに細くなった。


「ジャガマヨ大帝の威力が判ったであろう。最強の一角なのじゃ。ここには数々の最強がひしめいておるのじゃ。次は唐揚げ天使にマヨ大将軍やケチャップ将軍を試すのじゃ。」


 次々と食べてゼルスは「美味い」を繰り返し、ニーナ達も本格的に食べだして、大皿がみるみる空になった。そして、年少組に杏仁豆腐を出し、キキがお茶を淹れゼルスに出した。


「この茶は美味しいな。普段、飲む茶より香りがいい。」

「要件を聞こう。」

「明日、ギルドに来てくれ。二つのクエストを受けて欲しい。受けた冒険者が帰ってこなかったり、大怪我をしたりで被害が後を絶たん。この通りだ。」


 ゼルスは深々と頭を下げた。ゼンは目を開いて赤い瞳を光らせた。


「承知した。」


 ゼンの返事にニーナ達もキキすら驚いた様に、振り向いてゼンを見た。

 翌日、冒険者ギルドで説明を受けて、城塞都市から馬車で一時間ほどの不帰の洞窟にニーナ達は来ていた。


「大盗賊のお宝なのじゃ。しかし、どうやって入るのじゃ。」


 洞窟の入り口は岸壁の中ほどに黒い口を開けていて、海までは五十メートル位の絶壁にあった。


「俺が行こう。」


 ゼンはロープを出して、近くの木に括り付けると絶壁を降りて行った。


「崖を歩いておるのじゃ。」


 地面といや、海面と平行に絶壁を歩いて、すぐに入り口に到着し中に消えた。


「一人で大丈夫かな。」

「問題ないわ。暗闇でも見えるし、罠が有っても罠ごと斬ってしまう人よ。私達が一緒の方が足手まといよ。」

「罠ごと斬るって。」

「理不尽なのじゃ。」


 キキの言葉を聞いて、ニーナ達は納得したのか、しなかったのか。


「さて、ゼンがお弁当を作ってくれたの。」


 キキはテーブルと人数分の椅子を出し、料理を並べ始めた。


「蟹入りポテトサラダ、蟹のとろとろスープ、蟹入り焼き飯、蟹とトマトソースのパスタ、カニみそ入り、カニクリームコロッケ。蟹尽くし。」

「おお。」

「でも、ゼン様がいないのに、良いのでしょうか。」

「いいのよ。そのために私のマジックバックに入れてきたの。」


 ミリアンの言葉で料理を見詰めていたニーナ達は、キキの言葉で昼食になった。


「頂きます。」


 全員の声が揃うと、食事が始まった。


「ギルス様、エレン様。お嬢様が野菜を食べています。」

「マヨが入っているのか。お嬢も気に入ったみたい。」

「蟹が甘くて美味しいのじゃ。」

「スープ、美味しい。です。」

「俺は焼き飯が気に入った。ニンニクと胡椒が効いて美味い。」

「あたいはパスタが好きです。蟹が濃厚です。」

「コロッケも美味しい。」


 どんどん、料理がニーナ達の口へと運ばれ、消えていった。そして、無くなろうかとする時、異変が起こった。


「あら、この感じは転移魔法。」


 キキが上を見る。空中に魔法陣が出現し、輝きだし魔法の発動を告げた。魔法陣は一つの人影を吐き出した。


「うおっ。」


 突然、ゼンが飛び出して、仰向けに地面に落ちた。ゼンの口から血が飛んだ。


「あら、貴方が受け身も取れないなんて、珍しいこともあるのね。あら、怒っているの。」

「酷い目に遭った。」

「見ていたけど、大量の罠。さすがのゼンも危なかったわね。」


 ゼンは黒い箱をキキに渡した。キキが箱を空けて、中から一枚の紙を取り出した。


「これって、大盗賊の物なの。」

「なんと書いてあるのじゃ。」


 全員の目がキキを向いた。


「俺の手に入れた財宝が欲しいか。馬鹿者。何のために盗む。使うためだろ。残っているはずがない。しかし、此処に辿り着いたということは、罠を抜けたということ。褒美にこれをやろう。」


 ゼンは拳大のメダルを出して、キキに渡した。キキは解析を発動させた。


「大盗賊のメダル。大盗賊に認められた者に贈られる、盗賊達の栄誉の証。特殊効果、無し。」

「うにゅ、何かあるのじゃ。これは、装備か。服なのじゃ。」


 ニーナがメダルの紐を引くと、服が出てきた。


「大盗賊の衣装。大盗賊の気分が味わえる。って、ないわ。」

「これだけ。」

「そうだ。最後のトラップが転移だ。」


 憮然としたゼンを見て、ニーナ達は少し同情した様だった。


「明日は次に向かうのじゃ。」


 翌日、馬車で三時間ほどかけて、不可侵の遺跡の前に到着した。

 森へと続く道の向こうに古いギリシャ風の神殿が見えた。


「結界ね。デレクション。」


 キキが結界を解除して、森の中へと入って行ったく。建物に近づいて行くと、建物が木に隠れた。


「うにゅにゅにゅ。神殿が離れておるのじゃ。」


 再び、見えた神殿は森に入った時と同じぐらいの距離に見えた。

 ニーナ達が有る程度、近づくと視界が木に奪われ、再び神殿は遠くなった。三度、繰り返しニーナ達は立ち止まった。


「嫌な予感がする。」

「偶然かしら。私もそんな予感がするわ。」

「うにゅにゅにゅ。ゼンとキキの予感が当たりそうな予感がするのじゃ。」

「お嬢、なんだよ、それは。」


 ゼンの眉間に皺が刻まれた。


「パーフェクト・デレクション。」

「強制解呪魔法!失われた魔法です。それを詠唱無しで。」


 驚くミリアンを余所に、ニーナ達は目の前の光景に目を奪われたのか、一言も発しなかった。

 森の中に続く神殿までの一筋の道が、ニーナ達の目の前で小さな箱の中の模型に変わった。


「壺中の天。」

「箱庭なのじゃ。おっ、屋根が取れそうなのじゃ。うにゃ。」


 ニーナが触ると模型の屋根が外れた。模型の中に一枚の紙が入っていた。


「宝物殿の夢は見られたかな。この手紙を読んでいるということは、強力な解呪魔法を使えたということか。素晴らしい。そんな君にこのメダルを贈ろう。」

「どっかで聞いた話だ。」


 エレンは手紙を読み終えると、メダルをキキに渡し解析が始まった。


「大賢者のメダル。大賢者に認められた者に贈られる、魔法師達の栄誉の証。特殊効果、無し。」

「また、紐が有るのじゃ。やはり、服なのじゃ。何となく、予想はつくが、キキにお願いするのじゃ。」

「大賢者の衣装。大賢者の気分が味わえる。やっぱり、ないわ。」

「ふざけるな!」


 全員が一斉に突っ込んだ。


「ギルドに戻ろう。」


 ゼンの声にニーナ達は何を感じたが、青い顔で頷いた。


「うにゅにゅにゅ、絶対にゼンは怒っているのじゃ。」

キ♀:不帰の洞窟でのゼンの活躍は割愛したの?

空♂:冒険者ギルドでキキから説明して欲しい。

キ♀:仕方ないわね。無口ロールなんてするから。

空♂:無口な最強戦士と饒舌な最強戦士。無口な方が格好良いな。

キ♀:単にキャラ作りが面倒になったのでは?

空♂:ε=ε=ε=(ノ^∇^)ノ

ゼ♂:(-_-メ)ピッキィィィィィィン!

キ♀:遅いわよ。ブックマークしてくれた人間が3人になったって、判っているのかしら。

?♀:感謝なのじゃ。

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