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ニーナ、しゃぶしゃぶを食す

予告なく修正することがあります。

Sep-19-2020、一部変更。

 数日後、ニーナ達はキリオン伯爵領に入った。


「領都エルバトリまでは小さな村が点在している。野営場所は貸してくれるだろう。西の森は魔物も多いから、冒険者も多く入って狩をしているはずだ。キリオン伯爵領の貴重な財源になっている。」

「以前から伯爵の噂はあったの?」

「有ったらしい。俺は見習い騎士の頃だったから、何の話か判らなかった。今なら判るよ。奴は屑だ。」

「彼等の言うように、仕掛けて来るならゼンは遠慮しない。」


 キキはギルスに聞いて、不敵に笑うゼンを見た。そして、ニーナ達の顔が引きつった。

 領都の手前の村でニーナ達は、空き家を借り一晩を過ごすことにした。村に入るまでいたティム達はティアを残して消えていた。


「明日は領都ね。三人は行ったのね。」

「肯定。」

「ゼンさん、何処へ?」

「狩の時間だ。」


 キキの呟きにティアは短く答え、出て行くゼンを見送った。

 ゼンは一時間ほどして子牛を持って戻って来た。


「冒険者がいた。」


 ゼンが夕食を作っている間に、ティアも何処かに消えた。


「どうして、ゼンは肉を仕舞うのじゃ?」

「ティアもいなくなったし、ニーナとミリアンの誕生日祝いをしましょう。」

「やっと、これの出番だ。」


 ゼンは刻んだ野菜を出し、土鍋に湯を沸かしワイバーン節で出汁をとった。そして、薄く切った肉を皿に盛った。


「ゼンよ、肉がペラペラなのじゃ。」

「これでいいのよ。」


 肉の厚みに不満げなニーナをキキが抑えた。ゼンは全員にトングを渡し、漬けタレを準備し始めた。


「漬けタレはあっさりしたおろしポン酢、ゴマダレ、ちょっと辛いが辛子ダレ。好きなのを選んでね。」


 ゼンとキキがおろしポン酢をとった。味見をしていた年少組はゴマダレを、ギルスが辛子ダレ、エレンはゴマダレを選んだ。


「これはちょっと変わった料理でね、刻んだ野菜を先に入れ、薄い肉を湯にそっと入れる。ほら、すぐに色が変わるでしょ。色が変わったら引き揚げて、先に入れた野菜を巻いて、タレをつけて食べるの。先に肉だけ食べてみた方がいいわね。」


 ニーナ達はそっと肉を鍋に入れ、色が変わるとすぐに引き上げ、タレに漬けて口へと運んだ。


「おお、美味しいのじゃ。薄いのに肉の味がするのじゃ。」

「口の中で溶けたみたいになくなる。」

「お嬢様、野菜と一緒に食べると、お肉と野菜の甘みが混じってとても美味しいですよ。」

「あら、ミリアンがいつもより饒舌だ。本当、美味しい。」

「お姉ちゃん、こんな美味しいのは初めてだ。」

「主様に雇って貰ってよかった。」


 二十キロ近くの肉が八人の胃袋へ消えて行った。途中でタレを変え、試しながらしゃぶしゃぶを楽しんだ。辛子タレを試したニーナとロロが、涙目になりながらゼンからミルクを貰った。

 年少組の満ち足りた寝顔を、見ながらギルスとエレンも眠りについた。

 翌日、昼過ぎに領都エルバトリに到着し宿を取った。


「ゼンさん、昨夜は何処へ行っていたの。」

「用を足しに。」


 エレンの問いにゼンが答えると、全員が首を横に振った。

 市場に行き年少組は屋台に走って行った。屋台攻略は年少組の恒例になりつつあるようだ。

 そんなニーナ達を壁に背を預け、眺めるゼンの隣に老婆が腰を下ろした。


「まさか、あたし達より仕事が速いなんて、聞いてはいても実際に見ると凄まじいものね。」

「いいのか。」


 ティナの声で喋り始めた老婆に、壁に背を預けたゼンは俯きながら聞いた。


「貴方にしか届かないから。ティムが三日掛けて探し出した暗殺者ギルドを、一晩で見つけだすなんてね。しかも、一人で暗殺者を八人とはね。まだ、攻撃もしていなかったのにね。」

「飛ぶ蚊は潰される。」

「必要なことは聞けた?教えて貰えると助かるけど。依頼主は?」

「伯爵。」

「どうして、二つのギルドが動いたのかしら?伯爵が依頼したのは一つとの情報だったけど。」

「応援だ。」

「キリオン伯爵は、ほぼ正確に貴方達のことを聞いているはずなのに、どうして殺そうとしているのかしら。そんなレベルの暗殺者を雇えるはずもないのにね。もっとも、存在しているのかしら。」

「到着は三日後。二日で準備しろ。」

「打ち合わせには四人で向かうわ。」


 老婆に変装したティナと別れ、ゼンはニーナ達の元へ合流した。


「予定は決まったみたいね。」

「今夜、話す。」


 キキと短い会話を交わしていると、肉串を持ったニーナがゼンを見上げた。


「ゼンは老人とよく喋るのじゃ。」

「歳が近いから、話も合うのよ。」


 キキの言葉にゼンは神速で振り向き、真紅の眼を光らせて睨みつけた。ギルスとエレンが振り向いて剣に手を掛けた。ララとロロが飛び退いて、腰の剣と刀に手を掛けた。


「そんな殺気は駄目なのじゃ。通行人が何人か倒れたのじゃ。」

空♂:次回は土曜日になる予感。

キ♀:忙しいのね。

空♂:体力的限界が近づいている。

キ♀:お盆、頑張ったからね。これからの展開はどっちにするの?

空♂:(@_@;)

キ♀:元の構想通りか、考え直した方か?

空♂:(°m°;)

キ♀:そっ、誤魔化すのね。ゼン。

ゼ♂:ピッキィィィィィィン

空♂:ε=ε=ε=ε=(∠≧3)

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