ニーナ、教会を見学する
予告なく修正することがあります。
Sep-19-2020、一部変更。
翌日、ニーナ達は仕立屋に向かい、注文していた服を受け取った。ついでに、手袋等の小物を買って店を出ると、道具屋を巡ることにした。
「お嬢様、お化け牛の肉があった、です。」
「あたいは蒲焼も好きですね。」
「私も好きです。」
「妾はどちらも好きなのじゃ。」
ニーナ達が商人ギルドに売った肉が屋台で売られていた。商人ギルドは大店から屋台に至るまで、商品を卸していた。商品によって卸すルートを分け、在庫を要する物は大商会に卸し、各商人に流れていく。即消費できる物は、個人店舗や屋台にも卸していた。
「ゼン、あっちにうどんの屋台が有るのじゃ。」
うどんの屋台に近づくと、大きな建物が見えてきた。金色の星のような紋章が掲げられた、その辺りで一番の大きさがあった。
「あの紋章、見た事はあるのじゃ。」
「お嬢、聖教の教会だろ。ちょっとした町には結構、建っているぞ。」
「おいらでも知っているのに、お嬢様は駄目駄目だね。です。」
「うにゅにゅにゅ。」
キキはじっと教会を見詰め、ゼンに振り向いて頷いた。ゼンはゆっくりと教会に向かって歩き出した。
「ゼンさん、興味があるのか?」
「まあな。」
ゼンを先頭に中に入ると、建物の幅と比べて明らかに狭い礼拝堂があった。奥行きは建物と変わらないらしく、祭壇の後ろにの壁には絢爛とステンドグラスが嵌っていた。
「なんか狭いのじゃ。」
「多分、両方に居住区画が有るのよ。」
年少組が珍しそうに礼拝堂の中を見ていると、一人の女性が礼拝堂に入っ来た。白を基調に青い筋の入った、貫頭衣を着た修道女と思しき女性だった。
「司祭のアオイです。お祈りですか。」
「観光だ。」
礼拝堂の中を見物しているニーナ達を見ながら、司祭のアオイはゼンに近づきながら聞いた。短く応えるゼンの後ろに、いつの間にかキキが立っていた。
「大した、ものね。光属性の神聖特化、戦闘力も高い。パラディンよ、彼女。」
キキの声は聞こえなかったのか、アオイは笑顔をゼンに向けていた。
「不思議に思われたのでは?両横が孤児院になっているので、礼拝堂が外観より狭いのです。」
アオイは二人を上目づかいに見ながら説明した。何かを期待するような目を向けていた。
「多くの孤児を預かっています。中には冒険者になり、運営を助けてくれる子達もいます。幸い、此処は商業都市。他の町と比べるとご寄付も多く頂けます。ですが、人数が多いので飢えない程度と言うところです。」
祭壇を布で拭きながら、アオイは横目でゼンとキキ見た。ゼンは革の袋を取り出し、祭壇に置いた。
「寄付だ。」
「こんなに。有り難うございます。ヴァルナ様のご加護が有りますように。」
「では。」
ゼンは短く告げると、ニーナが手を振る出口へと歩き出した。
「不安か?ステータスが見えないと。」
擦れ違い様のゼンの言葉にハッと振り向いたアオイは、入り口で片手をあげる後姿を見た。
「ステータスが見えない。まさか、神。」
「まさか、一緒にしないで。」
出て行くキキの静かな声が、聞こえる筈が無い距離を超えてアオイの耳に届いた。アオイは暫く、二人が消えた入り口を見詰めていた。
「転生者、転移者。どちらにしても、この世界に来たのは私たちだけじゃないのね。」
数日間を買い物と、都市周辺のクエストを受けて過ごしたニーナは、ギルスと一緒に冒険者ギルドに来ていた。
「明日の夜明けに発つのじゃ。王都に行ってみるのじゃ。」
「あら、残念ですね。マスターには伝えます。御気を付けて。」
「うむ、世話になったのじゃ。何時か、またなのじゃ。」
「中々、お嬢も様になって来た。痛っ。」
茶化したように言ったギルスは、ニーナに脛を蹴らて蹲った。
「ふっはっはっは、神の鉄槌なのじゃ。」
キ♀:転生者登場。しかも、宗教のおまけ付。
空♂:宗教は少し悩んだけど、無いと締まらないからね。
キ♀:どんな宗教も理想は良いのに、現実が伴ってこないのよね。
空♂:一部の人間は理想に一途に進むが、殆どは自分が可愛いからな。
キ♀:斜め目線なのね。
空♂:現実を知っていると言って欲しい。
ゼ♂:蒲焼も食ってなかった。
空♂:えっ、今なの。
ゼ♂:ピキィィィィィィン。
空♂:どうしてこうなった~。
キ♀:がんばってね。




