ニーナ、クエストを受ける
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スキップ登録でシルバークラスの冒険者となったニーナは、ゼンと一緒に冒険者ギルドを訪れた。ギルドのクエストボードには、多くの依頼が張り出されていた。
シルバークラスになったとは言え、ニーナとロロはブロンズ、ミリアンとララはアイアンクラスのため、危険な魔物討伐の依頼は制限が設けられていた。ブロンズ以下のメンバーがいる場合、ダンジョン探索もパーティーランク以上は禁止されていた。
「うにゅう、妾はダンジョン探索や魔物の討伐がやりたいのじゃ。」
「貴方はブロンズだから、危険な魔物の討伐は受ける事が出来ません。パーティーランクがシルバーなので、黒金等級のダンジョンや遺跡なら探索可能です。採取クエストならほぼ、全部受ける事が出来ますよ。」
「草刈りは格好良くないのじゃ。」
ゼンはクエストボードから二枚の紙を剥すと、無言で受付に持って行った。内容を確認した受付嬢は、微笑んで頷いた。
宿屋に戻ったゼンはキキに、クエストを受けた事を報告した。内容を聞いたキキは悪戯猫の様な目をして、不貞腐れるニーナとロロ、慰めるギルス達を見た。
「明日は出掛けるわよ。白磁草と針菊草の採取に向かう。ロメロルから馬車で半日ほどの場所に山が有るそうよ。採取してから野営して戻って来る事になるわね。」
「うにゅう、草刈りクエストなのじゃ。妾はレイピアを振るって見たいのじゃ。」
「ふふ、ゼンの調べではハンターウルフ、ファイヤーボアが生息しているそうよ。山の何処かにランドサーペントもいるみたい。」
「ファイヤーボアはアイアンだが、ハンターウルフは単体でブロンズ。群れるとシルバーに分類される。しかし、ランドサーペントはオリハルコンだ。俺達には無理だろうな。」
魔物がいると聞いてニーナは笑顔でレイピアを抜き、ロロは刀を抜いて顔の前に掲げた。ギルスとエレンはそんな二人を見て、苦笑を浮かべてキキの話に耳を傾けた。
「ランドサーペントは色々と使い道が豊富なの。見つけ次第、ゼンが狩る。」
翌日、ニーナ達は朝の練習を終えてから、簡単な朝食を摂ってから馬車に乗り込んで出掛けた。馬車の中でニーナ達は、キキから採取する薬草の説明を受けた。
「白磁草は傷薬の材料で、針菊草は解毒薬の材料になるの。一角兎は優先的に討伐してね。角が薬の触媒になるし、肉は癖が有るけど調理次第でいけるのよ。」
「キキ様。他にも採取できる薬草は有るのでしょうか。」
「良い質問ね。他にも呪い解除に約立つタイヨウタケ、攻撃力アップのヤツルギソウ、防御力アップのカチキの実かしら。遭難した時に必要な食べられる草や実、茸は現地で教えるわ。」
「草は食べたくないのじゃ。」
山の麓でニーナ達はゼンが作った焼きそばとお好み焼きを食べて、馬車を置いて山道へと入った。馬車にはゼンの出した御者人形が乗っていた。
すぐにミリアンが白磁草を見つけ、ロロが針菊草を見つけた。ギルスとエレンはニーナ達が採取している間、油断なく周辺を見渡して魔物の気配を探っていた。
途中で、数体の一角兎が現れ、ニーナがレイピアを、ロロが刀を抜いて追い駆けた。藪に入ったニーナとロロは、血相を変えて戻って来た。
「にゅあぁ、無理なのじゃぁ。」
「いっぱい来たぁ。です。」
二人は二十体以上の一角兎に追い駆けられていた。ギルスとエレンは剣を抜いて身構えた。ゼンがニーナ達と一角兎の間に入ると、拳と蹴りを放って大半を討伐して見せた。
「慌てるから当たらないのよ。何時も冷静でいれば、見極めて討伐は可能。」
キキはレイピアを抜くと、突きを連続で放った。五体の一角兎が空中で仕留められ、力無く地面に落ちた。ゼンは素早く全部を収納すると、何事も無かった様に薬草採取に戻った。
「うにゃあ、沢山出て来て驚いたのじゃ。」
「刀を振っても当たらなかった。です。」
「目を閉じていたら当たる筈も無いでしょ。何時も冷静に。落ち着いて対峙すれば、対処法が見えてくる。ゼンは何時も冷静よ。身体が燃えていても、斬られようと冷静に対処する。」
「うにゅにゅにゅ、燃えると熱いのじゃ。」
「斬られたら痛い。です。」
「ギルスとエレンものじゃ姫に慌てたわね。ミリアンとララも一角兎に驚いたわね。慌てたり驚いたりすると、対処を間違えるわ。冷静に慌てないでね。」
ニーナ達は薬草採取に戻り、途中でギルスとエレンがハンターウルフを討伐した。採取を続けていたゼンが、立ち上がって山の頂上に目を向けた。キキも何かに気付いた様に、ゼンと同じ方向を見詰めた。
「行って来る。」
「少し気配が可笑しいわ。気を付けてね。」
ゼンが足早に消えると、ニーナ達も気になったのか山頂を見た。ゼンが消えてからも採取を続けていたニーナ達は、遠くで響く地鳴りに気付いた。
「うにゅ、何か揺れた様な気がしたのじゃ。」
「地揺れか。それにしては変な感じだったな。」
キキは大きな溜息を吐いて、山頂を見詰めた。キキが見詰める方向に砂煙が巻き起こると、大きな音と共に巨木の様な物体が跳ね上がった。
「うにょ、何じゃ。あれは。」
「冗談でしょ。ランドサーペントはアナコンダ並みでしょ。三十メートルオーバーなんて想定外も甚だしいけれど。」
ニーナ達の前に姿を現したのは三十メートルとを越える大蛇、ランドサーペントだった。そして、大きな口を開いた大蛇を見て、一斉にニーナ達は驚きの声を上げた。
「ゼンが喰われているのじゃ。」
「だ、大丈夫なのか。ゼンさんが口の中にいたぞ。」
「何時も冷静にと言ったでしょ。ゼンは口に立っているけど、食べられてはいない。あんなの食べたら、食中毒確定よ。」
「そこかっ!」
大蛇の口の中でゼンは、バッグから丸い玉を取り出して中へと投げ込んだ。鈍い音が鳴り響くと、大蛇がビクンと跳ねて動かなくなった。口からは黒い煙が立ち上り、ゼンが口から何事も無かった様に出て来た。
「ほら、冷静でしょ。どんな時も冷静でいれば、困難にも対処が可能なのよ。」
「喰われかけて冷静でいられるゼンさんが凄過ぎる。」
「いや、あの大きさの顎を片手で止めたゼンさんの力に驚くよ。」
年少組は横たわる大蛇を見て、言葉すら無く立ち尽くしていた。ゼンはナイフを出して、無言で大蛇の解体を始めた。
「ランドサーペントは捨てるところがないのよ。鱗は鎧の材料、革はアンダーアーマー、骨は鏃や盾の材料になり、内臓は各種ポーションの触媒になる。血肉は滋養強壮の効果があるの。特に眼球は呪術の触媒として、高い効果が得られるの。一体だけでもいい稼ぎになるはずよ。」
「うにゅう、肉串が沢山、買えるのじゃ。」
ニーナとロロはキキの話を聞いて、既に目に肉串が映っていた。ギルスとエレンは真剣な顔で、ゼンが解体するランドサーペントを睨んでいた。
ギルスとエレンは大蛇を見て驚き、武器を構える事も、ニーナを守る事も出来なかった。そんな二人の気持ちを察したキキは、優しい笑顔でギルスとエレンの前に立った。
「何時も冷静にね。慌てると負わなく良い傷を負う。守れる命も守れない。」
「うん、冷静にだな。」
「冷静にだ。」
その後、ギルスとエレンは形の練習に加え、瞑想をする様になった。そして、ニーナとロロも瞑想を真似するようになった。
「うにゃ、寝ていないのじゃ。瞑想していたのじゃ。瞑想なのじゃ。」
キ♀:再開するとは言っていたけど、これはありなの?
空♂:ありなのだ。みんな番外編とかオマケとか書いているのだ。
キ♀:貴方もおまけを書いていたでしょ。間に入れるのはどうかと思うけど。
空♂:追加することで時系列が判りやすいのだ。
キ♀:ひょっとして、これを続けるつもり?
空♂:ふっふっふ、知らぬ間に新しい章が増えているのだ。
キ♀:はぁ、読者が減って評価が下がっても知らないわよ。
空♂:ふっふっふ、ここは私の妄想世界なのだ。妄想世界に終わりはない。
キ♀:まだまだ、続きます?
空♂:知らぬ間に増殖させます。




