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そして、お嬢様は旅に出る。~ニーナの大冒険~  作者: 沢山空蔵
バビロナリア魔法王国~魔法大会編
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魔法大会の前哨戦?

予告なく修正することがあります。

 魔法を発動したニーナは、膝から落ちる様に倒れた。対するゼピュロスはニーナの魔法を、直前で躱したが半身が吹き飛ばされていた。


「ほら、のじゃ姫が気絶したじゃない。のじゃ姫は私が回収するけど、ゼピュロスはエンジュが回収するのよ。」

「むう、今のチビ姫では七枚の完全障壁を破るには、力不足なのですわ。もう少し、術式を改良する必要が有りますわね。チビ姫の発想力に期待したいと思いますわ。」

「エンジュ様、そんな冷静に分析しないで下さい。ゼピュロスが気絶と言うより、殆ど死にかかっています。」


 キキとエンジュがシミュレーターに入り、二人を回収して出て来た。ニーナはキキからマナ・ポーションを貰って、弱々しくだが飲み干した。身体の半分がボロ雑巾のようになったゼピュロスを、ゼンは無造作に掴んで魔法陣へと放り投げた。


「ゼンさん、幾ら何でも扱いが酷くないか?」

「問題ない。」


 余りの扱いにギルスが苦笑を浮かべて言うと、ゼンは無表情に短く答えた。ゼンは大量の水と様々な鉱物を魔法陣に並べ、瀕死のゼピュロスを中心に投げ込んだ。


「アダマンタイトにライブメタルがあるわね。それにあれは賢者の石でしょ。あんなに必要なの?」

「改造する。」


 ゼンの並べる材料を見て、キキが不思議そうに聞いた。相変わらず無表情のゼンは、短く答えて更にアイテムを並べていた。


「うにゅう、判らない物が沢山なのじゃ。」

「水に炭、塩にカルシウムやリン。人体を錬成するのに必要な材料よ。さすがにあそこまで損壊すると新しく錬成した方が早いのよ。」


 ゼンは追加の材料を乱暴に投げて、瀕死のゼピュロスに鈍い音を立てた。さすがに他の天竜達も扱が乱暴だと思ったのか、材料を投げ入れるゼンに歩み寄った。ボレアースがゼピュロスの胸に当て、エウロスが股間に当てた。ボレアースが肩を落とし、エウロスがガッツポーズをした。


「お前達、酷過ぎると思わんのか。」

「だって、ゼピュロスだし。」

「ゼピュロスだからね。」


 顔を顰めるノトスの言葉に、ボレアースとエウロスが肩を竦めて手を上げた。ニーナ達も咎めるような視線を送っていた。


「うにゅう、少しゼピュロスに同情するのじゃ。」

「大丈夫よ。滅びかけていたけど、キキの魂魄魔法で安定しているわ。ほら、ゼンの忌呪、人体錬成。まさか、天竜の身体すら、理解しているとは驚きね。」


 ゼンが魔法陣を起動すると、様々な材料がボロ雑巾の様なゼピュロスに融合し始めた。逆回しの様な光景にニーナ達だけなくライ辺境伯達も天竜達でさえ、一言も発することなく目の前の光景を見詰めていた。

 身体の半分がズタズタになったゼピュロスが、全ての傷が消え肉体が再生された。目を開けて立ち上がると、自分の身体を不思議そうに見回した。


「むう、川を渡るところだったのに。向こう岸にはこの世のものとは思えない程に、美しい花畑が広がっていたのだ。」

「三途の川。」

「死ぬ一歩手前ね。渡りきっていたら滅びていたわよ。二人に何が起こったかを見せてあげる。」


 キキは宝珠に手をかざして、壁にニーナとゼピュロスの戦闘を映し出した。

 ゼピュロスの魔法陣から、球体に歪む空間が出現した。球体の空間は収縮しながら、ニーナへとゆっくりと近づいた。


「ゼピュロス、あれはドラゴニック・スペルのエアロ・バースト。チビ姫を殺す気だったのか。」

「うっ、そんな事はない。チビ姫にはキキの作った魔道具がある。瞬時にパーフェクト・フォースが展開されるはずだ。」

「確かに、発動した。しかし、あれは人間種に使っていい術式ではなかろう。」


 ゼピュロスを非難するノトスは、溜息を吐きながら言った。

 球体が近づくとニーナのイヤリングが光を放ち、球体とニーナの間に金色の魔法障壁が現れた。障壁に当たったゼピュロスの球体は、爆発して爆風は障壁に反射されてゼピュロスへ向かった。


「あれはパーフェクト・フォースにリフレクション。キキ様、皆のイヤリングには同じ術式が組み込まれているのですか。」

「勿論、上級以上の魔法を防ぐわ。でも、使い捨てだから、壊れたらゼンから新しいのを貰ってね。」


 ミリアンの質問に、笑みを浮かべながら答えるキキ。ギルスとエレンはイヤリングを触って、顔を見合わせた。


「ロロ、凄い高価な魔道具だから落とさないようにしな。」

「うん、ちゃんとパウチに入れておくよ。です。」

「身に付けていないと効果が無いの。貴方達はパーティーメンバーだから、気にしなくてもいいのよ」


 そんなやり取りを他所に映像は流れ、ニーナの魔法を映し出した。

 ニーナの魔法陣が赤く輝くと、円形の魔法陣が分裂し六角形を形成した。六角形に変化したニーナの魔法陣は、眩い光の塊を生み出した。


「あ、あれはエンジュ様のシャイニング・スピア。何故、チビ姫が使える。はっ、エンジュ様。貴方はまさか。」

「チビ姫は優秀ですの。砂漠に落ちた水の様に吸収するのですわ。嬉しくなってシャイニング・スピアを教えたのですわ。」

「あのう、エンジュ様。竜魔法を使った人間種は過去に三人しかいません。過去の三人は勇者で、魔王と戦うために教えたのです。しかし、チビ姫は勇者でもなく、今は魔王すらいませんが。」

「うっ、チビ姫。今後、この魔法は封印するのですわ。お前が精霊と契約するまで封印ですわ。あっ、精霊はフェニックス以外、認めませんことよ。」


 驚くゼピュロスとノトスの非難がましい視線と、ボレアースとエウロスの冷やかな視線を受けたエンジュが慌てて言った。

 映像では幾重にも張られた結界を突き破り、光り輝く槍が身体に突き刺さるゼピュロスが映っていた。その後の映像を見たゼピュロスとニーナは、目を剥いて口を開けたまま固まった。

 魔力を使い果たして気絶するニーナと、咄嗟に躱したが身体の半分をズタズタにされたゼピュロス。


「ゼピュロスを殺す所だったのじゃ。」

「チビ姫の魔法で僕が死ぬわけない。ドラゴニック・スペルに驚いて躱し損ねただけだ。チビ姫の超下級魔法など、どうとでもなる。」

「うにゅにゅう、心配してやったのに損をしたのじゃ。今度は完全に消滅させるのじゃ。」

「何時でも相手になってやる。でもいいのか。一発撃てば気絶の魔法で勝負して。」


 魔力切れから回復したニーナと、瀕死の重傷から回復したゼピュロス。まだ、充分に動けないようだが、その舌戦はいつも通りだった。


「エンジュ、のじゃ姫をどうするつもりなの。現状でこの世界で最高の魔法師よ。干渉し過ぎではなくて。」

「うっ、そ、そんな事は有りませんの。まだ、レーザーブレスの術式は教えていませんわ。」

「エンジュ、それはチート術式よ。下級魔法の魔力消費で、戒呪レベルの威力があるのよ。」

「だから、教えていませんわ。」


 キキとエンジュのやり取りを聞いていたニーナは、悪戯猫の様な笑みを浮かべた。ニーナはカレーパンを出して、ゆっくりとエンジュに近づいた。


「秘密の魔法を聞き出すのじゃ。美味しいで釣り上げろ大作戦なのじゃ。」

キ♀:エンジュめ。のじゃ姫に何て術式を教えるのよ。

空♂:竜種の使う魔法は膨大な魔力が必要になる。エルフの血を引いていても竜種には及ばない。

キ♀:上位種のアーク・エルフでも難しいわ。

空♂:のじゃ姫はクウォーターだから、MPは人族より多いが、エルフより少ない程度。

キ♀:魔力切れになっても発動した事も驚きよ。

空♂:実はここに秘密の設定が有るのだ。

キ♀:本編では忘れて、ここで付け足す。裏技的な後書きの使用方法。

空♂:うにゅ、失敬な。本編に入れるタイミングが見つからなかっただけなのだ。

キ♀:はあ。まあいいけど。聞いてあげる。

空♂:古竜以上と一緒にいると、少しずつ竜気の影響を受けるのだ。

キ♀:影響を受けると?

空♂:ステータスに変化が現れる。基本値の上昇や得意なスキルに関係したステータスが上昇。

キ♀:良い事ね。

空♂:竜種と親しくなる人間は皆無と言って良いから、殆ど知られていないのだ。

キ♀:いつも一緒に食事するニーナ達は、他の人間と比べて高いステータスになっているのね。

空♂:そうなのだ。そして、天竜以上と長く接触すると、種族すら進化することが有るのだ。

キ♀:あら、ロイは天竜とパーティーを組んでいたでしょ。

空♂:何れ判るのだ。ふっふっふ、ふっはっはっは。

キ♀:今日は忙しそうだったから、遅れた事は許してあげる。明日は時間を守ってね。

空♂:どうっわっはっはっは。

キ♀:守るのよ!(¬_¬)

空♂:( º дº)はい。

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