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そして、お嬢様は旅に出る。~ニーナの大冒険~  作者: 沢山空蔵
オリオポース皇国~武闘大会編
251/461

悪魔な夜~デモンズ・ナイト?

予告なく修正することがあります。

 エンジュは扇子で口元を隠しながら、険しい視線をキキに向けた。


「大規模な襲撃になると言う事ですわね。しかも、皇帝側とガイトス達を加えれば四つ巴どころか、五つ巴の大混戦になりますわね。舞台は武闘大会の会場ですわね。観客もいますわ。それらを守りながらとなると難しいですわ。そうですわ。お前達は観客を守る結界を張るのですわ。ヴァルナに強化してもらえば、キキや私のパーフェクト・フォースに匹敵するはずですわ。アーク級には私が対処しますの。勇者では役不足ですの。」

「ゼン、聞いている。天竜が結界を担当して、エンジュがアーク級の討伐。私は選手たちや騎士達の回復。のじゃ姫達には勇者のサポートね。そして、貴方は全てのバックアップをお願い。」


 キキは少しの間、宙を見ているとニコリと笑った。遠くで爆発した様な音が響き、ニーナ達は音のした方向へ手を合わせてお辞儀した。


「きっと、ゼンの趣味が失敗したのじゃ。」


 数日後、ニーナ達は皇都の手前で野営をしていた。夕食を終えてお茶を飲むニーナ達は、明日の皇都を楽しみにしていた。


「魔法の武具専門店が有るのですよ。」

「他にも珍しい魔道具もようけ売ってます。」


 デューンとヤヨイから話を聞いて、ニーナ達は目を輝かせた。様々な魔法が付与された武器や防具は、冒険者だけでなく騎士や盗賊にも大人気のアイテムだった。一部のエルダードワーフ達だけが作ることが出来る名作。複雑な魔法が付与された物の殆どが、高難度ダンジョンや遺跡から持ち帰られた物だった。

 二杯目のコーヒーを淹れたゼンは、葉巻を咥えてニーナ達から距離を取った。葉巻に火を付けると、更にニーナ達から離れた。飲み終えたコーヒーカップを投げると、ニーナ達の近くにあるテーブルの上に滑る様に音も無く着地した。そして、ゼンは夕闇に消えた。


「うにゅにゅ、ゼンがいないのじゃ。何時の間に消えたのじゃ。」

「ん、二十分。」

「うにゅにゅ、それは二十分前からいないと言うことなのじゃ?」

「正解。拍手。」


 ララとロロは笑顔で拍手をした。ギルスはゼンの消えた方向を見て、静かに立ち上がった。エレンも立ち上がって、歩き出したギルスを追い掛けた。

 森へと消えるギルスを見送って、エレンは森の手前で立ち止まった。その手にはトリプルロッドを持っていた。

 ギルスは森に入ると走り出した。エレンが右手を顔の前に上げると、黒く塗られた矢を握っていた。


「この闇夜に黒塗りの矢を掴むか。さすがは獣人。侮れんな。」


 森の中からか、何者かの声がエレンの耳に届いた。エレンの眼にはその姿が映っているのか、闇の一点を睨んだまま動かない。


「名を聞こうか。エルノワールに挑む者よ。」

「殺す者に名乗る必要もあるまい。」

「そうか、墓碑に刻んでやろうと思ったが、エルノワールのエレン。お前を狩る者だ。」


 闇の中から何かが飛び出して来た。エレンはロッドで突き刺して、地面に引き倒した。黒マントに身を包んだ暗殺者が転がっていた。暗殺者の胸を貫いた刃を抜いて、エレンは頭に止めの一撃を撃ち込んだ。キキの金色の眼が光った。


「ティア、お願い。」

「ん、承知。」


 キキがティアに短く伝えると、ティアはマントを脱いで頷いた。マントの下にはいつもの鎧ではなく、忍者の様な黒装束を着ていた。ロロも立ち上がり、キキを見詰めた。


「ロロはここに居なさい。のじゃ姫も動かない。ミリアンとララを見習って。警戒はしているけど、ギルス達の邪魔になることを理解しているでしょ。」


 ミリアンとララは武器を抜いて、周囲を油断なく警戒していた。ニーナとロロは少し、うずうずとして落ち着きが無かった。

 止めを刺した男を尚も睨むエレンが、大きく後ろへ飛び退いた。胸と頭を貫かれた男が立ち上がった。

 男の身体が波打ち巨大化し始めた。マントが落ち、鎧が弾け飛び、立ち上がった男は倍ほどの大きさになっていた。

 その黒に近い緑の皮膚、尖った耳と鼻、裂けた口には鮫の様な牙が見えていた。邪悪な赤い眼には狂気が宿り、エレンを睨み付けていた。


「人族が堕ちればオーガギガースなのに、あれはデモニアック・ゴブリン。カラミティ級のモンスターよ。」

「うにゃあ、オーガギガースは変態伯爵の時に見たのじゃ。恐ろしかったのじゃ。」

「あれはディザスター級、厄獣よ。今のエレンなら互角に戦えるでしょう。でも、あれは無理ね。」


 キキは杖を取り出して、魔法陣を発動させた。エレンの身体が赤や黄色、青に緑の光に包まれた。


「あの一瞬で複数のプロテクションとブーストを。」


 エレンは補助魔法を受けてなお、デモニアック・ゴブリンに手を焼いていた。

 オーガより遥かに速く、強力な攻撃を繰り出すデモニアック・ゴブリンから、エレンは防御を強いられ攻撃が出来ないでいた。

 胸を掠めた一撃が、エレンの鎧を綺麗に引き裂いた。エレンを襲った両手の爪を、辛うじてトリプルロッドで受け止めた。

 涎を垂らした凶暴な牙を鳴らしながら、ゆっくりとエレンの顔に近づけた。


「エレン、押し上げて。」


 キキは鋭い声で短く告げると、右手を真っ直ぐ突き出した。キキが手の平を向けると、小さな光が灯ったように見えた。同時にデモニアック・ゴブリンの頭が爆散した。


「ファイヤー・ボール。」

「うにょ、魔法が発動した後に詠唱したのじゃ。」

「違います。キキ様は詠唱も魔法陣の構築もなしに、魔法を使用したのです。まさか、キキ様は・・・。」

「少し慌てたかしら。」


 ミリアンを見ながらキキが苦笑していると、森の中からギルスが戻って来た。鎧には無数の引き裂かれた痕があった。


「うにゃ、ギルスが大変なのじゃ。ミリアン、魔法なのじゃ。回復魔法なのじゃ。」

「酷い目に遭った。てっきり、多少、手古摺る魔物かと思ったら、人が黒ゴブリンに変わった。俺も覚悟した時、黒ゴブリンの頭が爆発したんだ。何かが飛んで来た様に思ったが、俺が倒れなきゃ俺の頭も爆発してただろう。危なかったぞ。」


 ララとロロがキキを見た。ニーナとミリアンもキキを見た。口を開きかけたニーナを、優しく手で塞いでキキは微笑んだ。


「うにゅう、あの魔法はエレンだけを助けたのか、エレンとギルスを助けたのか。それが問題なのじゃ。」

キ♀:色々、伏線を出すのは良いけど回収できるの?

空♂:うにゅう、頑張って回収するつもりだが、回収されない伏線があっても気にしない。

キ♀:そういう小説も有るけど、謎を謎のままにしておくのは感心しない。

空♂:うにゅにゅ、あっ、そうだ。ほら、別の作品を書くかも知れないし。謎の放置もOK。

キ♀:今、思いついたでしょ。ひょっとして、伏線や謎をまとめていないの?

空♂:うにゅにゅにゅ~。

キ♀:はあ、呆れた。何処かでまとめた方が良いわよ。

空♂:٩( 'ω' )و

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