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そして、お嬢様は旅に出る。~ニーナの大冒険~  作者: 沢山空蔵
オリオポース皇国~武闘大会編
232/461

ダンジョン、それは危険な香り

予告なく修正することがあります。

May-4-2021、一部変更。

 食後のお茶を飲みながら、ニーナ達のダンジョンアタックの話になった。

 エンジュはカップを置いて、ミリアン達を話すニーナを見た。


「チビ姫、次は奈落のダンジョンに行くと聞いたのですわ。」

「うにゅ、エンジュ様は良く知っているのじゃ。」

「ほほほ、私の加護を与えた者を見守るのは当然のことですわ。それより、奈落のダンジョンには気を付けるですわ。あのダンジョンは他と違う気配がしますの。ゼンとキキがいるので安心はしていますの。」


 星龍のエンジュと対等に話すニーナを見て、ヤヨイは眼を剥いたまま動かなくなった。

 エンジュはゼンとキキ視線を飛ばしながら、ニーナ達にダンジョンについて話をした。


「ノトス、お前はあのダンジョンを調べましたの。」

「はい、一度は調べましたが、気になる反応は有ったのですが、何も見つかりませんでした。」

「私の勘が何かあると告げいていますわ。ゼンやキキならその何かを見つけるかも知れませんわね。」


 ヴァルファルニア王国の南部辺境区やオリオポース皇国の北部辺境区はノトスの管理下にあった。そして、ノトスはダンジョンや遺跡の調査をして、人間種に危険があると判断すると封印や結界で隔離していた。付近の生態系に大きな影響を及ぼす可能性のある事象に対処していた。


「チビ姫、くれぐれも気を付けるのですわ。どうしても対処出来ない時は、私の名を三度、北に向かって唱えるのですわ。私が瞬時に向かうのですわ。」


 キキの金色の眼がエンジュを見詰めていた。ゼンが外に出ると、キキも外へと出て行った。二人は宿から少し離れた所で、ゼンは葉巻に火をつけた。


「ゼン、エンジュの話。どう思う。一度、潜ったのでしょ。」

「特別な物は何もなかった。しかし、のじゃ姫達に伝えず、俺達だけに送って来た。そして、奈落か。あながち間違っていないかも知れん。」

「そうね。では、予定通りに貴方が単独で先行して、脅威度を見て来て。問題が無ければ、のじゃ姫達にアタックさせる。いいわね。」

「勿論だ。」

 

 食堂に戻ったゼンとキキはいつもの光景を目にした。ニーナとゼピュロスのアクロバティックな攻防が繰り広げられていた。


「どうして、あんな攻防になっているの?」

「ミリアン様がお店の物を壊すなと言いました。凄い笑顔で。」

「凄く怖かった。です。」

「ある意味、達人を超えたかも知れないわね。」


 キキが感心するのも無理は無かった。二人は激しい攻防を繰り広げているのに、椅子やテーブルを完璧に避けていた。

 見かねたエレンの拳骨を喰らい、ニーナとゼピュロスは蹲った。頭をさすりながら見上げた二人の顔に絶望が広がった。

 そこには腰に手を当てたミリアンが立っていた。ララとロロは両手を合わせて目を閉じた。


「チーン。」


 翌朝、ニーナ達が朝練を始める頃にゼンの姿は無かった。練習を終えたニーナ達はゼンが作っていた朝食を食べ、馬車に見せかけの荷物を積んで出発の準備をし始めた。


「うにゅ、ゼンが居ないのじゃ。うにゅう、いつもいなくなるのじゃ。パーティーのリーダーは妾なのじゃ。」

「ゼンは奈落のダンジョンに調査に向かったわ。既に道中の情報もナナにインプットしてあるわ。一応、危険は排除してあるけど、ゼンの基準だからギルスとエレンは手を焼くかもね。」


 ギルスとエレンはごくりと喉を鳴らして、ロックとヒューイに跨り出発した。

 通常の馬車であれば二日はかかるダンジョンへ昼前に到着した。

 既にゼンは屋台を出して昼食の準備をしていた。ファイヤーボアの肉とキャベツでお好み焼きを作って、ニーナ達は数十枚のお好み焼きを平らげた。

 お茶を飲みながらダンジョンの打ち合わせを始めた。


「ナナ、ダンジョンのマップを出して。」


 ニーナ達の目の前にホログラフが浮かび上がり、ダンジョンの詳細なマップが出現した。

 ニーナが手を触れて回したり、拡大したりしてミリアンに説教されるお約束もあった。


「十階層のダンジョン。ゼンの調べではアイアンクラスのダンジョンみたいね。魔物も気を付けるのはシャドウエッジぐらい。今の貴方達なら問題ないわね。ギルスも油断しなければ大丈夫でしょ。」

「常在戦場、二度と油断しない。国境の森で骨身に沁みた。」


 キキの指摘に身に覚えがあるギルスは、照れたような笑顔で肩を竦めた。

 ダンジョンの全体地図を見ていたニーナは、蛸口になりながら唸り始めた。


「うにゅにゅにゅ、十階層なのじゃ。魔物もアイアンクラスなのじゃ。何故、不帰の奈落と呼ばれるのじゃ。ゼンは帰って来ているのじゃ。まあ、理不尽だからと言うと判らないでもないのじゃ。」

「気配を殺して調査したのよ。魔物にも気付かれずに最深部に到達。ボスは十階層にいるオーガナイト。装備はオリハルコンの鎧と大剣よ。ゼン、ダンジョンマスターなの?」

「判らん。」


 腕を組んで唸るニーナを他所に、キキは説明を続けてからゼンに問うた。

 ゼンの短い答えを聞いたニーナは更に唸り、ギルスとエレンも顔を見合わせた。


「確かにオーガナイトは厄獣で、一個中隊の討伐隊が必要な魔物だ。俺とエレンなら二人で充分、対処出来る魔物だぜ。お嬢も、ミリアンとララ、ロロと連携すれば、何とかなるレベルだと思うけどな。」

「ギルス、厄獣を討伐出来るお嬢達は異常だと思うぞ。」


 ギルスの言葉に少し得意気に頷くニーナ達と、エレンの言葉に激しく頷くヤヨイとデューン。

 しかし、厄獣は騎士団や傭兵、魔法師からなる一個中隊、百人規模で挑まなければならい魔物だった。ニーナ達、年少組は一個中隊に匹敵する戦闘能力を持っていることになる。


「その顔は納得していないのね。十階層に何かあるのかしら。」

「うにゃ、その表情に違いが有ったのじゃ。妾には全く判らなかったのじゃ。うにゅう、ゼンの会話は超短文、表情は絶対無表情。うにゅにゅ、妾はもっと訓練が必要なのじゃ。」

「お嬢、ティアも首を傾げていたから、ゼンさんの表情は見分けがつかないだろうよ。」


 キキの問いに首を横に振ったゼンは、ニーナとギルスの会話を無視して葉巻に火を着けた。ニーナに睨まれて、風下に瞬時に移動した。


「アタックして見る以外は無いわね。貴方達はどうするの?馬車はドラゴンに見張ってもらうけど。」


 キキの言葉にティアとヤヨイ、デューンがガッツポーズを見せた。


「ん、同行。」

「うちも一緒に行きます。ひっひっひ、お宝を見つけます。」

「同行します。」


 その後、キキはダンジョンの見取り図で、罠や隠し部屋の説明をした。ニーナ達はそれぞれの思いを抱いて、真剣にキキの説明を聞いていた。


「ダンジョンアタックなのじゃ。初めての踏破者に妾はなるのじゃ。」

キ♀:今回のダンジョンも何かあるのね。

空♂:今の所、踏破不可能はうにゅにゅのダンジョン。他にも立ち入り禁止もある。

キ♀:今回は何があるの?

空♂:それは言えないでしょ。

キ♀:それもそうね。暫くはダンジョンアタック回ね。

空♂:まだまだ、続きます。

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