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そして、お嬢様は旅に出る。~ニーナの大冒険~  作者: 沢山空蔵
オリオポース皇国~武闘大会編
229/461

イーティング、大盛り食堂をぶっ飛ばせ

予告なく修正することがあります。

May-4-2021、一部変更。

 心配そうにゼンを見るニーナの言葉に、年少組が大きく頷いた。


「まっ、だろうな。なあ、お嬢。ゼンさんが気付いていないと思うか。」

「当然、気付いているのじゃ。しかし、ゼンは時折、鈍感なところがあるのじゃ。」


 ギルスとニーナのやり取りに、キキは口元を隠して笑った。蛸口になってキキを見ながら、ニーナは腕を組んで考え込んだ。


「うにゅ、あの子爵はゼンを暗殺する気なのじゃ。それは、子爵の死を意味すると判っていないのじゃ。」

「お嬢、あの子爵。相当な腕前だぞ。俺やエレンも勝てない化物を、ゼンさんは倒したよな。あの子爵の護衛騎士は恐らく、あの四人より上だと思うぞ。」

「お嬢の言う通りだ。ギルス、ゼンさんが子爵に会うと、子爵が死ぬ未来しか見えない。皇国で貴族を殺しては、色々と問題があるだろう。」

「まあ、それはそうでげすが、仕方ないと言えば仕方ないげすな。」


 ニーナ達は声のした方向に、武器に手をかけて睨み付けた。油断なく辺りを見渡すギルスとエレンと違い、ララとロロは一点を睨み付けたまま動かなかった。


「ほっ、さすがはエルノワール。おいの姿は見えていないはずでげすが、おいが勝てる気が全くしないげすな。」

「ゼンが帰って来る前に、姿を現した方が良いわよ。その程度の隠蔽術式なら。ゼンに瞬殺されるわよ。」


 キキの言葉に反応したのか、行商人風の老人がニーナ達の前で立ち止まった。


「いつからでげすか?」

「それは言わないであげる。それと、変装も許してあげる。それで、何の用かしら。」

「ふう、正直、キキさんの方が容易いと思っていたでげすな。間違いでげすな。このおいが恐怖に動けないとわ。」


 行商人の老人は顔を撫でると、ブラウンの髪を持った若者に変わった。驚きの表情を浮かべるニーナ達に、軽く会釈して若者はキキの前に座った。


「私はガイトス辺境伯の元で密偵を仰せつかっております。名はデューンとお呼び下さい。ガイトス様からはエルノワールの動向を注視して、貴族達とのトラブルを避けるようにと命を受けております。ティアとは既に話が付いていまして、相互協力体制を構築した次第です。」

「畏まった言葉使いは必要ないわ。普段通りで構わない。ゼンが戻るまで素顔のままでいた方がいいわよ。オドパターンは記憶したわ。ゼンは気とか気配とかで識別するから、今のままの姿で会う事ね。会ってから気配を消すと、貴方が気配を絶って近づいても斬られることは無いと思うわ。」

「はは、言われた通りにします。斬られたくはないですから。」

「多分、大丈夫・・・恐らく、大丈夫?きっと、大丈夫?もしかしたら、大丈夫・・・じゃないかも。」


 キキが腕を組んで俯くと、ニーナ達も腕を組んで俯いた。ティアがデューンの肩を叩いた。


「ん、運。」

「運なのか!」


 デューンの突っ込みに、ティアは笑顔でサムズアップをして見せた。


「うにゅ、気分次第なのじゃ。」

「気分かい!」


 デューンの突っ込みに、ニーナは笑顔でサムズアップをして見せた。


「はいはい、貴方達のゼンの認識は間違っていないわね。戻って来たわよ。ゼン、彼はデューン。ガイトスの密偵だって。今後の道中での情報をくれるらしいの。だから、気配を消して近づいても斬らないでね。」


 キキは戻って来たゼンに簡単に説明すると、ゼンは暫くデューンを見て頷いた。


「極力、善処する。」

「善処って、斬らないと言って下さいよ。」


 ゼンの答えにデューンは困ったような表情を浮かべて、懇願するように言葉を口にした。半分以上は本気の言葉なのかも知れない。


「暫くは、近づく時は変装を解くか、気配を消さないで。」

「ん、三か月はかかる。」


 キキの言葉にティアが続けた。憮然とした表情になったゼンが、キキとティアを見てデューンに向き直った。


「二週間。」

「ティガ、三か月。」

「止めた。」

「二ミリ手前。」

「即死ではない。」

「むう、二ミリ。」

「うにゅう、キキ。通訳をお願いするのじゃ。」


 デューンだけでなくニーナ達も、ゼンとティアの会話は理解出来なかったようだ。全員がキキを見ると、肩を竦めて先を続けた。


「ゼンが二週間で識別すると言ったら、ティアが三か月目にティガが斬られたと言ったの。ゼンはティガに気付いて、途中で剣を止めたと主張したの。ティアは後、二ミリで即死だと非難したの。殺していないからいいだろうとゼンが言って、危険すぎるとティアが言ったのよ。実際、後、二ミリでティガの心臓は貫かれていたから。治療する身になって欲しいものね。」


 身動きもせずにキキの話を聞いていたデューンは、ゼンの前で気配を絶ったり、変装したりを繰り返した。面倒になったのか、ゼンは手でデューンの変装芸を止めた。


「善処する。」


 ニーナ達は瀕死の捨て猫でも見るかの様な視線を、デューンに向けて溜息を吐いた。ララとロロが手を合わせて、目を閉じた。


「それ、滅茶苦茶、怖いです。」


 ニーナ達はヤヨイとティアを交えて、デューンと情報交換することにした。冒険者ギルドの用意した宿屋、大匙亭へと向かった。高級宿ではないが清潔感のある宿屋だった。

 ニーナ達が気に入ったのは、極上とは言えないが食堂だった。全てが大盛りになっていたが、料金が相場並みの料金で町でも人気があった。


「うにょ、ローストビーフ食べきると銀貨一枚なのじゃ。失敗は大銅貨二枚か。ふっふっふ、挑戦するのじゃ。」

「おいらも食ってやる。です。」

「魔法師は参加費が倍よ。食べる量も倍になるのね。それでも、やる・・・わね。全員が挑戦するわ。」


 ヤヨイとティアも挑戦し、デューンは通常版で挑戦することにした。追加料理まで注文して、ニーナ達は賞金を受け取った。


「皆さん、二回完食。ニーナとロロは三回、ゼンさんは七回で店主から敗北宣言が出た。その後も、追加注文で賞金の半分を消費。はあ、胃袋もアダマンタイトクラス。」

「ティアとヤヨイも三周しておったのじゃ。まあ、店主よ、明日は止めておくのじゃ。」

「二度とご免だ!」


 ニーナの言葉にお茶のセットを置いた店主は、吐き捨てるように言うと悲壮な表情を浮かべて奥へと消えた。

 その後、デューンはニーナ達の道中に有る、警戒すべき貴族や難所を説明した。


「中々、面白そうなところがあるのじゃ。ふっふっふ、冒険王に妾はなるのじゃ。」

キ♀:また、タイトル詐欺ね。

空♂:失礼な。ちゃんと、大食いがあっただろう。

キ♀:デューンの紹介なのだから、「増えた同行者」とか「辺境伯の密偵」とかでよかったのに。

空♂:うにゅ、今回は大食いがメインなのだ。

キ♀:タイトルを考えるのが面倒だったのね。

空♂:うにゅにゅにゅ、そんな事は無い。

キ♀:スティングとイーティングで上出来だと思ったの?

空♂:うにゃにゃにゃ、まだまだ続きます。

キ♀:強引に切るのね。まあいいわ。次は真面目にやって。

空♂:(・ω・)ゞ了解です。

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