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そして、お嬢様は旅に出る。~ニーナの大冒険~  作者: 沢山空蔵
オリオポース皇国~武闘大会編
202/461

異国への出発~準備

予告なく修正することがあります。

May-2-2021、一部変更。

 ギルスとゼンが必要な道具の話をしていると、笑みを浮かべたニーナと困惑顔のエレンが近づいた。


「蟹とフグ、ウニに鮑、海老と・・・蛸と烏賊も必要なのじゃ。」

「お嬢、食糧の心配はいらないぞ。ゼンさんが大量に仕入れていたからな。ポーションの類も充分にあるそうだ。お嬢とロロは腰のパウチに、果実水を入れるなよ。ちゃんと、ポーションを決められた位置に入れておく事。」


 ギルスの言葉にニーナとロロは項垂れて、腰のパウチから一本のポーション瓶を抜いて入れ替えた。


「ゼン、貴方も旅をする時は、ウィスキーと入れ替えて。のじゃ姫達に示しがつかないでしょ。」


 ゼンはパウチごと取り替えた。ニーナが外したパウチの中を見て、見た者が凍り付きそうな冷やかな視線でゼンを見た。


「四本がお酒で二つには葉巻が入っているのじゃ。」

「主様、弛んでいるぞ。です。」

「ふふ、町に居る時はそんなものよ。人間相手なら回復薬を使うことはないから。でも、旅の道中は違う。未知の魔物に出会う事も有り得るから、ゼンも準備をするはず。忘れなければね。念の為のチェックよ。ゼンに注意する事で、私も旅仕様に取り換えるの。」


 キキのパウチには数種類の化粧品と、ティーパックが入っていた。それを見たエレンはギルスに、買い出しに行くと宣言した。

 道中の狩で獲れない食糧を中心に買い、道具類は使い捨ての薪や木製の食器を買い足した。

 途中で消えたエレンはピンクのパウチを持って、中に数種類の化粧品と激辛パウダーを入れていた。

 夕方まで必要な物を買い終えたニーナ達は、全員でライ辺境伯の館に向かった。

 ゼンがエイゴオックスを料理して、しゃぶしゃぶやステーキがテーブルに並んだ。

 何時の間にか現れていたエンジュと天竜は、ゲイルを扱き使いながら肉料理を楽しんだ。荒い息をしてテーブルの隅で項垂れたゲイルに、ゼンは手が回りきらない程の大きな丼を置いた。


「おおっ、ゼン殿。感謝します。」

「うにゅ、ローストビーフに焼き肉、ステーキ、牛丼にユッケまで乗っているのじゃ。」

「スペシャル肉丼ね。」


 涙ぐむゲイルの持つ丼を見たニーナ達は、羨ましいそうな溜息を吐いた。大きな丼にはローストビーフを始め、数種類の肉料理がトッピングされていた。

 一人、涙ぐみなら食べるゲイルを、生温かい目で見ながら旅立ちの話題になった。


「そうか、遂に武闘大会に行くのか。ガイトスも欲しがっていたからな、最高得点を登録してやれ。」

「どうもライ卿はあれがお気に入りになったのじゃ。ライラ様が仕事もせずに籠っていると愚痴を言っていたのじゃ。もう少し、領主らしく仕事をするのじゃ。」


 ライ辺境伯はリイやルイ、二人の護衛騎士とシミュレーターに訓練と言い訳して、長時間に渡って籠っていた。連日、領主の仕事を放置してとなると、周りから苦情が上がり始めていた。

 ライ辺境伯はニーナの言葉に、返す言葉も無く項垂れた。肩を震わせて笑うレオンとシリウスが、ライ辺境伯に睨まれて口を押さえながら後ろを向いた。その肩の震えは止まっていなかった。


「うにゅ、みんな笑い過ぎなのじゃ。妾は何か面白い事を言った覚えは無いのじゃ。」

「ニーナは何処までも真っ直ぐですわ。私にさえ間違っていれば、物おじせずに指摘しますの。今のニーナは十一歳ですの。まだ、大人達の目にも微笑ましく映りますわ。しかし、いずれ周りから疎ましく思われますの。ニーナは誰よりも自由に生きたいだけですの。自由に生きるには力が必要ですの。ゼンやキキの様な力が。ニーナは何処までも真っ直ぐですのよ。だから、ゼンもキキも力を貸しているのですわ。そして、私も力を貸しますの。ニーナに私の加護があらんことを。」


 エンジュの言葉をゼンとキキは黙って聞いていた。ギルスとエレンの眼から、一筋の光が頬を流れ落ちた。ライ辺境伯達は頭垂れて、エンジュの言葉を聞いていた。


「エンジュの加護を得たわね。のじゃ姫は炎属性の親和性は極端に高かったのに、レイピアと契約させる精霊は炎の上級精霊しか選択肢が無くなったわね。イーフリートで駄目ね。選択肢はフェニックスの一択よ。」


 キキの言葉を理解出来なかったのか、全員が首を傾げて沈黙のうちに聞いていた。

 ゼンは露骨に顔をしかめて煙を吐き出した。二人のやり取りをエンジュは面白そうに眺めていた。


「面倒臭い。」

「出来ないとは言わないのね。探してね。私も探してみるから。」


 ニーナが眼を輝かせてゼンを見ると、エンジュと天竜達まで同じ目でゼンを見た。


「寝る。」


 居辛くなったのか、ゼンはキキと一緒に家に戻った。興味津々で見ていたギルス達は、残念そうに溜息を吐いて戻った。


「フェニックスなんて見つかるのか。」

「ノトス様から聞いたのですが、二度ほど見たと仰っていました。」

「ロイ、ノトス様は何歳になるのだ。」

「確か一万年ぐらい生きているとか・・・。」

「一万年で二度か。見つかるのか、」

「ですよね。」


 ニーナ達が去った領主館でライ辺境伯達は、ゼンの無謀な挑戦を思った。

 翌日、ニーナ達は馬車に荷物を詰め込むと、ゼンが馬車ごと全てを収納して出発した。ゼンとギルスは陸路で国境の森を越え、ニーナ達より先行して南の山を越えることにした。

 三日後、ニーナ達は空路を南下することになった。


「ギルスとゼンは何故、陸路を行ったのじゃ。」

「ギルドの依頼で、国境の森を調査するのよ。魔物の種類と数、生息場所を調べながら移動するの。ギルスはロックと一緒だから、禍獣クラスまでは逃げ切れるわ。厄獣クラスなら討伐も可能でしょ。それにゼンが一緒だから、凶獣クラスの討伐が可能よ。」

「でも、キキさん。ゼンさんがいるとはいえ、三日であの森とノトス様の山を踏破出来ると思えない。国境の森は凶悪な魔物の棲家だし、ノトス様の山は未知の領域だ。」

「大丈夫よ。ゼンには生息している魔物の詳細を、ギルスには植物と茸の採取を頼んであるの。距離的には馬を走らせれば、一日半で充分よ。」


 エレンは納得していなかった。距離は馬を走らせて一日半、直線距離で数百キロを超える。平坦な道を行くにしても、この世界の旅人が二週間以上を必要とする距離だった。それが森の中を抜け、険しい山を踏破することになると、どれほどの時間が必要になるのか。キキは事も無げに三日で充分と言い放った。

 ニーナ達は感心した様な表情を浮かべていたが、すぐに顔を曇らせて同行するギルスの悲劇を思った。


「うにゅ、何かとんでもない魔物を狩って来る予感がするのじゃ。」

空♂:祝、200話。

キ♀:やっと出発するのね。

空♂:感動、薄くない?100pt超えたし。25,000pv突破したよ。

キ♀:旅立ったのはゼンとギルスだけ。私達はまだ、エルノエンジュに居る。

空♂:何故に不機嫌?

キ♀:ゼンは私のガーディアン。居なくなると不安なの!

空♂:リクエストすれば、ほぼタイムラグ無しで文字通り飛んで来るでしょ。

キ♀:判っているわ。食事の心配もあるの。

空♂:実はゼン。キキと離れる時は、三日分の食事を用意しておく。

キ♀:合流が三日後になった、本当の理由よ。のじゃ姫には内緒ね。

空♂:新章突入します。


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