初めての買い物
予告なく修正することがあります。
Sep-19-2020、一部変更。
ニーナ達はギルドを出て、町の散策することにした。
「クエストも受けたし、宿には五日分を支払ったから、準備と買い出しね。」
ニーナ達の旅は急いでおらず、これからの道中に必要な物資を補充することにした。
「とりあえず、買い物ね。ゼン、マジックバックを貸してあげたら?」
軽い口調でキキが言った。
「おい、マジックバックって、小さいものでも、金貨一枚以上するのに!」
ギルスは高価な魔道具を軽く扱う二人に驚いた。
「馬車ぐらいならいくつかあるわ。」
キキは事も無げに言った。
「妾も持っておるが、そんな大きな容量ではないのじゃ。」
ニーナは祖母であるエルフより、マジックバックを貰っていた。嫁に行くという孫に全部、持って行けとマジックバックにニーナとミリアンの服を詰め込んでいた。
「容量の小さいマジックバックは、予備の武器や装備を入れておくと便利よ。」
ニーナ達は市場を周り、野菜を中心に旅に必要なものを揃えていった。全員が屋台で買った串焼きを手に市場を巡った。ゼンは店に並ぶ野菜や肉を見ながら時折、店主に声をかけ種類を確認していく。キキは本屋や薬屋、魔道具屋を見つけては、中に入って一通り見て出て来た。
「キキは何を探しておるのじゃ?」
「どんな薬があるのか、魔道具の技術はどの程度なのかあとは、どんな文化や宗教、魔法技術とかかな。調べているのよ。」
「うにゅにゅにゅ。」
「ふふ、長い研究で私たちは魔道具や薬を色々と持っているの。使ってもいいかどうかの確認よ。」
「便利なものは使えばよいのじゃ。」
「たとえば、空を飛ぶ魔道具があったとして、使えばどうなると思う。」
「凄いのじゃ。凄く便利になるのじゃ。みんなが欲しがるのじゃ。」
「そうね。マジックバッグでも殺して手に入れようとするのよ。空飛ぶ魔道具なら・・・ね。」
「恐ろしいことが起きるのじゃ。」
「だから、使ってもいいものと、使ってはならないものの、判断材料を仕入れているの。」
「うにゅ、よく判ったのじゃ。」
ニーナとキキは三本目の串焼きと、苺のような果物のジュースを飲みながら話した。傍から見れば仲の良い親子のように、ニーナはキキの横から離れない。ゼンが野菜を中心に買ってマジックバッグに入れて行った。
「ゼン殿、少し足りないものがある。」
「ギルス、私達は冒険者になったのよ。殿は必要ないわ。それで、足りないものって?」
「じゃあ、キキさんで。御者だよ。あいつ、真っ先に逃げ出しやがった。」
最初の襲撃に遭遇したとき、御者はすぐに逃げ出していた。ゼンとキキが二台の馬車を操って、セオンの町へ到着したのであった。
「俺達でやる。」
「でも、二人は冒険者だ。出発前には他のクエストも受けるだろう。俺達がやれば何かあった時の対応が遅れる。信用のおける御者を探すのは難しいが、商人ギルドと冒険者ギルドにも斡旋依頼を出しておくよ。だから、出発は三日後だ。」
「ギルマスが帰ってくる前なら問題ないわ。」
「どうして、ゴールドランクは嫌がる?」
「面倒なのよ。色々とね。」
「今日はもう少し回って宿に戻ろう。それにしても、お嬢。晩飯前だぞ。」
「ふっ。」
「ひっ。」
後ろで串焼きを食べるニーナを見て、心配するギルスが可笑しかったのか笑うゼン。不幸にもゼンの笑顔を見てしまった買い物客が、怖い物でも見たように小さな悲鳴を上げた。整ったと言ってもいい顔立ちのゼンだが、笑顔がどこか不気味な、感情がなく無理やり作ったような笑顔になる。横のギルスも少し引いているのが、判るぐらい不気味だった。
「ゼンは笑わない方がいいのじゃ。」
空♂:短いような。一話ってどれくらいが良いのだろう。
キ♀:ふふ、悩んでいるのね。
空♂:次を入れると長くなるから。
キ♀:マジックバッグの種明かしはするの。
空♂:いずれね。




