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そして、お嬢様は旅に出る。~ニーナの大冒険~  作者: 沢山空蔵
南部辺境区編
134/461

戦姫登場

予告なく修正することがあります。

 翌日、ニーナ達はゼンとキキを屋敷に残して、傭兵ギルドと協力して無法者達を捕えて回った。

 ドラゴンの威嚇のブレスを見て、殆どの無法者が心を折られたのか投降した。


「無法者はドラグーンの敵ではないわね。厄介な暗殺者は既に排除したから、任せておいて問題ないでしょ。」

「そう言いながらちゃんと監視しているのか。心配性だな。おっ、監視衛星がダンジョンを発見した。この町からも自由都市からも近いな。」

「冒険者達の拠点になるわね。調査に行くの?」

「探査機を飛ばして、ダンジョン機能を調べよう。難易度の変更が出来れば、カスタマイズに向かうさ。出来なければ、力技になるな。」

「ふふ、貴方も町に貢献するのね。ライは面白い男ね。それに、のじゃ姫達もここを拠点にするでしょうね。退屈しない環境にしてあげましょ。」


 二人はそれぞれのモニターを見ながら、ニーナ達の前では出来ない会話を交わした。

 夕方、ゼンは夕食の準備を始め、キキは本を読みながら眺めていた。

 ニーナ達が戻り、夕食を食べながらの報告会になった。


「わずか一日で大半の無法者がいなくなりました。罪状はこれからですが、死刑にせず強制労働させようと思います。問題は・・・。」

「問題は海賊の方ね。国が違うと法も違うし、討ち取ったりすれば国家間の問題になりかねないわね。まあ、最終手段は国ごと殲滅すればいいけどね。」

「駄目です!」


 ニーナ達が一斉に突っ込んだ時、ゼンが窓から庭に出て行った。ニーナ達が庭に出ると一頭のグリフィンが舞い降りた。その背中から降りて来たのは、銀色の軽鎧に身を包んだ三人の騎士だった。シルエットからでもスタイルの良い女性だと判った。降り立った三人の騎士を見てレイは息を飲んだ。


「トライ・ヴァルキュリア。」


 自然体で立つゼンから五メートル程、離れて三人は立ち止まった。


「駄目ね。まったく勝てる気がしない。」

「噂以上ね。剣に手を掛けたら殺される未来しか見えないねえ。」

「恐ろしい男がいたものね。」


 三人は両手を挙げて敵意のないことを示した。ゼンは踵を返して屋敷の中に戻って行った。


「レイ様、王妃殿下の命により参上いたしました。密偵からの連絡で、一日でほぼ鎮圧されたご様子。」

「はは、アリスさん。そんな喋り方は苦手でしょう。ここには気にする者はいませんよ。」

「ふう、元に戻そう。レイ君もシェリーナ様を知っているでしょ。明日にでもいらっしゃる。」

「護衛も連れずにですか?いや、貴方達が来たと言うことは、護衛は柊がするのですね。」

「そうだ。マスターは私達に手伝いに行けと仰った。しかし、出番はなさそうだな。エルノワールがいればそうなのだろう。疾風の旗もシルバーだが実力はミスリルとの噂だ。しかし、立派な屋敷だ。ゴールマン伯爵が立てたのか?」

「いえ、今日建てたばかりですよ。王妃殿下のお部屋も用意しています。もちろん、貴方達の部屋も用意してあります。ああ、ミレーナ殿下の部屋もね。使用人は王妃殿下にお願いしようと思うのですが、いかがでしょう。」

「それが良いだろう。色々と都合が良い。ジル、クレア。二人もドラグーンと話がしたいだろう。ここにはゼン殿とキキ殿がいる。少し気を抜いてもいいだろう。」


 三人はレイの言葉に首を傾げながら、部屋を見渡した。

 肩までのブラウンの髪を揺らしている方がクレア、赤毛のショートがジルと呼ばれた。

 クレアはエレンと知り合いで、ジルはギルスを知っていた。

 エレンとクレアはエルドアの騎士学校の同級生で、三年ぐらい一緒にいたと皆に説明した。

 ギルスはジルとお互いが見習い騎士時代に、模擬戦をしたことがあったと告白した。

 エレンとクレアは仲が良かったらしく、お茶を片手に笑顔で話していた。ジルはギルスに挨拶をし、話していたが、立ち上がってギルスを睨み付けた。


「面白い、手合せをお願いしよう。私もあの頃のままではない。」

「はあ。多分、俺が勝つぞ。」


 足音を立てて出て行くジルの後を、ギルスが着いて行った。全員が顔を見合わせると、ニーナ達はニヤニヤしながら庭に出て行った。

 二人はロングソードの木剣を手に取り、感触を確かめるように振って庭の中央で対峙した。

 先に仕掛けたのはジルだった。一瞬で間合いを詰め、下からの突きを放った。ギルスは紙一重で横に避け、擦れ違い様にジルの胴を薙いだ。


「あれを躱すのも驚きなのに、剣筋が見えなかった。」

「瞬動からの縮地。ジルの勝ちパターンだと思ったのに、剣がギルスを貫いたように見えた。」


 決着はあっという間につき、宣言通りギルスが勝った。アリスとクレアは暫く、ギルスを見詰めていた。


「あれがドラグーンの力か。」

「違うな。あれはギルスの実力。ドラゴンが近くに居れば、ステータスのアップもあるけど、今はいないからね。」


 その後、ララとロロがジルとアリスに挑戦し、エレンとクレアが模擬戦をした。エレンはクレアに勝ったが、ララとロロは負けていた。


「ギルスとエレンはまだしも、この子達も凄い才能ね。成人したら私達も負けるかも知れない。」

「のじゃ姫とミリアンは挑戦しなかったのね。よく、我慢したわね。」

「妾は剣だけでは勝てないのじゃ。」

「私も無理ですね。」

「二人は自分の実力と、相手の実力を正確に理解しているのね。」


 翌日の早朝、グリフィンが舞い降りた。シェリーナ王妃が四人のメイドを連れて、エルノゲイルにやって来た。


「王妃殿下、ようこそ御出で下さいました。」


 レイの言葉にニーナ達も臣下の礼をとった。長い黒髪を後ろでまとめ、温和な微笑を浮かべた美女が降り立った。静かに歩くシェリーナ王妃の四方を、守る様に静かに歩くメイド達。一瞥したゼンの紅い眼が光り、キキが不敵な笑みを浮かべて金色の眼を輝かせた。


「堅苦しい挨拶は無用ですよ。私はここの暫定統治を任されました。貴方達がエルノワールですね。噂は聞いています。メイド達が柊のメンバーです。二人に斬られる前に紹介しておきますね。ゼンとキキの気付いた通り、この子達は私の私兵です。主な仕事は諜報活動と暗殺です。私はこの町の治安と言うよりは、海賊の方への対処のためですね。王族がいた方が何かと都合がいいでしょう。」

「今、さらりと恐ろしい事を言ったのじゃ。」


 レイとシェリーナは昨日の成果とこれからの方針を話し合い、ニーナ達は疾風の旗と一緒に、無法者達を捕縛しに行った。ニーナはキキと一緒に凶悪とされたグループに向かい、ゼンはミリアンと一緒に町を出て野盗の対処に向かった。


「よし、ニーナ。出るのじゃ。」

キ♀:漢字4文字では辛くなってきたみたいね。レディ・テンペストも登場したわよ。

空♂:うにゅにゅ。

キ♀:過激に掃討作戦ではなかったの。

空♂:雑魚を捕えるのにそんなに手間はかからないからな。

キ♀:それもそうね。私達も留守番だったしね。それよりも気になったのだけど。

空♂:王妃殿下ですな。

キ♀:王妃陛下でしょ。

空♂:そうなのだけど、側室だから区別したのだ。

キ♀:貴方の解釈と表現だから私は構わないけど、突っ込む人間もいると思うわ。

空♂:だろうね。でも、それはその人間の常識なだけで、私の作った世界の常識ではない。

キ♀:よく、フィクションにそんなの有り得ないと言う人間がいるわね。

空♂:作者の世界に突っ込みは「そんなわけないやろ!」程度で、真剣に反論するのは滑稽だな。

キ♀:そんな事を言うと反論が来るわよ。

空♂:うにゅ、個人的な・・・極個人的な考え方です。

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