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ニーナ、ダンジョンにアタックする~竜の眠るダンジョン編~

予告なく修正することがあります。

Nov-8-2020、一部修正。

 時は少し戻って、ゼンとアリオン伯爵がダンジョンの入り口に到着した。

 馬を降りたゼンは町の方を見て、溜息を吐いてトラベラーズハットを被り直した。


「少し待て。」

「どうした?」

「荷物が到着する。」


 馬から降りたゼンは結界の魔道具を出して、馬達の安全を確保した。そして、ゴーレムを出して馬達の世話の設定をしていると、馬に乗った年少組が追い付いた。


「ふっはっはっは、ゼンよ。いつもみたいに抜け駆けは出来んのじゃ。」

「お嬢様、笑い方。」

「子ども達が付いて来ていたのか。まさか、連れて行く気ではあるまいな。」

「勿論、妾達もアタックするのじゃ。」

「冒険者だ。のじゃ姫、隊列は任せる。」


 ゼンに言われてニーナは体をくねらせて、奇妙な笑顔を浮かべた。ゼンは年少組のパウチをゼンが確認して、数種類のポーションを追加した。


「のじゃ姫、ロロ。」

「うにゅ、ごめんなさいなのじゃ。」

「ごめんなさい。です。」


 咎めるように言ったゼンに果実水を見つけられ、ニーナとロロは萎れた。伯爵はそんな様子を見ながら感心したように頷き、自分の装備を確認していった。


「よし、先頭の斥候はロロなのじゃ。次にクロス卿、防御を主体に前衛をお願いするのじゃ。ララは攻撃に専念するのじゃ。ミリアンは回復を主体に、後ろから弓と魔法で援護するのじゃ。妾は魔法と剣でで中衛をするのじゃ。ゼンは後ろをお願いするのじゃ。」


 少し考えたように顎に手を当てて、ニーナは全員の役割を割り振った。


「お嬢様、斥候は私がした方がいいのでは?」

「大丈夫なのじゃ。ロロがいつもゼンと練習しているのじゃ。罠解除もやっておったのじゃ。ミリアンはキキと魔法の練習をしているのを知っておるのじゃ。ララの強さも良く知っているのじゃ。」


 ロロは刀を抜いて、刀身を見詰めて鞘に納めた。そして、投擲用のナイフを胸の専用ポケットに入れた。ララは剣を装備して、足のグリーブを締め直した。


「俺が攻撃を引き受けよう。ララ、よろしくお願いする。それとアリオンと呼んでくれ。その方が、面倒が無かろう。」

「アリオン殿、ララはとっても強いのじゃ。ミリアンの弓と魔法の腕は信用するのじゃ。貴卿に当てるような事は無いのじゃ。妾も多分、無いのじゃ。」

「わ、判った。」


 ニーナ達は隊列の順番を決めダンジョンの中へ入って行った。

 入り口付近は暗かったがすぐに広くなり、壁が淡い光を発して薄暗いものの、充分に行動できる明るさだった。

 一階層は一角兎や洞窟狼だけだったが、三階層からオーガが出現するようになった。

 戦闘が終わりニーナの言葉に、鼻を鳴らしたロロの頭をララが優しく撫でた。

 アリオン伯爵が収め掛けた剣を、構え直して辺りを警戒した。ニーナ達は不思議そうにしていると、ゼンは口元に笑みを浮かべた。

 ゼンがナイフを投げると、ロロの横を通り過ぎて壁に刺さった。壁から何かが剥がれ落ち、ロロが慌てた様子で飛び退いた。


「シャドウアサシン!」

「ロロ、気配を覚えろ。」

「はい!」


 驚く様に叫んだ年少組とアリオン伯爵が、灰になって消えるシャドウアサシンを眺めた。

 暫く進んでロロが壁に刀を振るった。獣の叫びが上がり、その姿を現した。手には長い鉤爪を持ち、両生類の様な皮膚をした、二足歩行の毛のない狼ような魔物がいた。右の脇腹から緑色の体液が流れていた。ロロの付けた傷だった。動きを止めた魔物をララが危なげなく、止めを刺して灰にした。


「ほっ、ララとロロだけでシャドウアサシンを倒したぞ。大したものだ。年齢制限でブロンズとアイアンクラスか。実力は既にゴールドの域だな。末恐ろしい子達だ。ニーナ、どうした?」

「うにゅにゅにゅ、出番がなかったのじゃ。貴卿がオーガを倒すし、全く出番なしなのじゃ。」


 休憩をしてホットドッグを食べると、アリオン伯爵が年少組の食べた量に驚いた。

 順調に進みニーナ達は最深部の六階層に辿り着いた。其処には、何もない小さな体育館程の空間が広がっていた。


「この通りだ。何もないだろ。竜が眠るなんて噂だけだったのだ。」



 ギルスとエレンは少し落ち着かない様子で、皿の料理を突いていた。

 キキは時折、指を耳の下に当てながら、料理を口に運んだ。


「最深部に到着したみたいよ。何もない場所だって。」



 ゼンは最深部を歩いて回った。ニーナとロロも歩いて回った。ミリアンは中央に立ち、目を閉じて瞑想したように動きを止めた。一通り見たのかゼンはミリアンの元に歩いて行った。


「主様、やっぱり何もないみたいです。」

「妾もそう思うのじゃ。」

「ゼン様、探知魔法でも何もありません。」

「言っただろう。何も無いと。さあ、戻るとしよう。夜明けにはダンジョンから出ることが出来るだろ。」


 アリオン伯爵は戻ることを提案したが、誰も動かなかった。


「ロロ、本当に何もないの?あたいは何かあると思うけど、何もないの?」

「お姉、おいらは何かあると思うけど、何も見つからなかったよ。」


 ゼンはフロアの一角にゆっくりと歩いて行った。


「地震でもあったか。入り口が塞がれている。」

「ゼンが長文を喋ったのじゃ。」

「お嬢様、驚くのはそこではありません。それにそんなに長くありません。」


 ゼンはニーナとミリアンの会話に頭を軽く振って、壁に手を当てながらゆっくりと歩いた。


「ここか。」


 ゼンは背中の刀に手を掛けた。


「ピキーィィィィィィィィィン」


 鍔鳴の音が響くと同時に、壁に刀が根元まで食い込んでいた。壁が崩れ人間が三人は並べる通路が現れた。再び、鍔鳴を響かせてゼンは刀を鞘に戻した。


「これに気付くことは不可能だぞ。しかし、ロロもララもよく気付いたものだ。」


 通路の入り口が現れたのを見て、ララとロロが笑顔になった。そんな二人を見ながら、アリオン伯爵が感心した様に呟いた。

 ゼンが先頭に立って奥へと向かた。ちゃっかりとニーナはゼンと手を繋いでいた。

 憮然としたミリアンにアリオン伯爵が手を差し伸べたが、そっぽを向かれアリオン伯爵が苦笑いを浮かべた。

 通路を歩いて行くと奥に部屋が見えてきた。先頭のゼンとニーナが入った瞬間、上からシャッターの様に石の壁が落ちて来た。


「分断されたぞ。」

「問題ない。三人を頼む。」


 アリオン伯爵は後ろを振り返り、油断なく身構えた。ララとロロも後ろを向いて、敵に備えていた。


「お嬢様、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃ。ゼンもおるのじゃ。」


 ミリアンは何かを感じたのか、広い部屋に戻った。ララとロロも剣を抜いて後を追った。


「うにゅ、何かいるのじゃ。」

キ♀;6階層なら初級のダンジョンね。

空♂:そうなる。この世界には大小のダンジョンが点在している。

キ♀:分類はどうなっているの?

空♂:うにゃ。

キ♀:希少級と英雄級の中間なんでしょ。基準はどうなっているの。

空♂:話はまだまだ続きます。

キ♀:考えてなかったのね。そんなことをすると矛盾が出てくるのよ。

空♂:うにゅにゅにゅ。

キ♀:設定して。

空♂:はい。

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