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驚愕の再会


「おいおい……マジかよ……」


 転移をした先で、俺を出迎えたのは万を優に超える大軍だった。


「ネロ、とりあえず体内に戻ってろ」

「言われなくてももう戻るよ」


 これは、さすが爺さんというのが正しいのか。

 俺が来ることを予想して、ここまでの大軍を用意した。


「はぁ、全く……化物かよ」


 しかしながら、文句を言う時間はもうないようだ。

 なら、始めるしかないだろう。


「敵は一人……行くぞぉぉぉ」


 魔族側の雄叫びが、耳を貫く。


「<武具顕現>──魔道・神楽」


 魔族の大軍が、俺を殺さんと向かってくる。


「この俺の目の前に立った事を後悔させてくれる」


 開戦だ。


「焼き尽くせ──<火竜咆哮炎(ドラゴニックフレイム)>」


 無詠唱の同時発動ダブルキャストで、<束縛(バインド)>を発動したところに、<火竜咆哮炎(ドラゴニックフレイム)>を打ち込む。


「今ので、だいたい百人か」


 まだまだ足りない。


「この化物がぁぁ──<水流五月雨ディニッシュ・ダル>」


 俺は魔力障壁を身に纏い、それを防ぐ。


「チッ! 効かないのなら──<彗星>」


 俺を叩き潰す気か。


「<魔道・一閃>」


 <彗星>の欠点に向かって駆ける一閃。


 そして、それを斬った。


「お返しだ──<彗星>×<|ディニッシュ・ダル>」


 同時発動ダブルキャストで、逃げ場のない攻撃を放つ。

 今ので、二百人。


 まだまだ人が減らんか。


「一気に爺さんのところまで行かせてもらうぞ──《魔王装束》」


 白髪をなびかせ、紅に輝く双眸で、魔族を睨む。


「<威圧>」


 刹那、地震と錯覚するほどに地面が揺れる。

 魔族の兵は失禁する者や、後ずさる者、あまりの恐怖に土下座している者までいる。


「纏めて死に至るといい──<天翔破月>」


 三日月が如く、魔力は放たれ、魔族の首めがけて飛来する。


「同士が一人、また一人と……」


 隊長格の魔族が呟く。

 

 さすがにこの辺からは<威圧>もう意味をなさんな。

 だが、今ので結構減らせた。


「なら、お前が我の相手をするのか?」


 俺はあえて、隊長格の魔族に挑発的に言う。


「ならば、どうするでござるか? 拙者を殺すのか?」


 よし乗ってきたな。


「いや、こんな大軍と我が戦ったところで犠牲者がお前らにしかないのは分かりきっているだろう?」


 俺の周りにある大量の死体をこれみよがしに隊長格の魔族に見せつける。


「だから、我から提案をしよう。お前がこの軍の長か?」

「あぁ」

「なら、一体一の対戦式で決着をつけようではないか」


 これなら、相手の戦意喪失を早くできる。


「それは拙者が、元魔王と知っていての挑発でござるか?」

 

 おっと、コイツも魔王だったのか。


「あぁ、そうだ。どうする?」


 少し考える素振りを見せたが、魔族は了承する。


「では、始めようか」

「拙者の名はオウカ。系統は影にござる」


 自己紹介か?


「敵である我に情報を与えるのか?」

「それが拙者のプライドゆえ」


 そうか。


「我の名はカエデ。系統は全て」


 それなら、これの方がフェアだろう。


「ふっ、その余裕すぐなくすでござる──<影刀>」


 すると、オウカの手には一本の黒い刀が握られる。


 それは、柄も刃すらも黒い、ただ黒い刀。


「ならば──《状態変化・剣聖モードチェンジ・ソードマスター》」


 魔道・神楽は状態変化はしない。

 刀と刀の勝負だ。


「いざ尋常に勝負ッ!」


 俺もオウカも同時に駆ける。


「影系統中段──<死影>」

「──っ!」


 オウカの姿が消えた?


「──後ろかッ!」


 背面に魔道・神楽を回す。

 すると、案の定、魔道・神楽が<影刀>を捉えていた。


「初見でこれを防ぐでござるか」


 感心したようにオウカが一定の距離を取る。


 感心するのはこっちも同じだ。

 攻めと守り、引き際など絶妙なタイミングだ。


 面白い。


「魔道・不知火」


 揺らめき、予測出来ない不知火が如く変則的な太刀筋。


「影系統初段──<影潜り>」


 また消えた。

 いや、どこに消えたかは分かる。


 影だ。


 なら──


「光系統混合魔法──<太陽(サンシャイン)>」


 ここ一帯の影をはらう。


「そこだ!」


 魔道・神楽を突き出せば、肉を貫いた感触がした。


「あっぱれでござる……まさか、ここまで力の差があったなんて……」


 右肩を支えながら、オウカが姿を現した。


「それはこちらのセリフだ。お前も中々にやる」


 俺の言葉にオウカはフッと笑う。


「ならばこの命、カエデに捧げよう──斬れ」

「そうか」


 俺はオウカに近づき──


「オウカ……お前の名は忘れない」

「ならば、先に逝った兵に冥土の土産として、お主……カエデの事を話すとしよう」


 俺は魔道・神楽を天高く掲げる。


 オウカを逝かせる為に──


 ドゴォォン! 


「なんだ?」


 一瞬、そう一瞬だ。


「え?」


 オウカの首が空を舞った。


 オウカの血を滴らせ、返り血を纏いし者が姿を現す。


「なんで……」


 目の前に立っていたのは少女。

 それは、見覚えがありすぎて、俺は驚愕する。


「なんで、お前がここにいるんだ──菜乃花ッ!」


 そう目の前に立っていたのは、幼馴染である菜乃花だった。

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