別れ
短めです。
「魔系統は、前も説明した通り、『支配』だ」
ネロが説明を始める。
「主様が発動した<魔法支配>は見事だったよ。ボクの魔力を渡したとはいえ、よくもまぁ出来たものだ」
うんうんと縦に首を振りながら、ネロは背伸びして俺の頭を撫でる。
「さて、魔系統のコツはもうわかっているんだろう?」
「まぁな」
そう言って、俺は手のひらに黒い魔力を集める。
「わぁあ、ボクの魔力まだ持ってたんだ」
「一応念のために」
この魔力は、ネロの唯一手がかりだったため、俺は微量ながらも残していた。
「で? 修行は一応するんだろ?」
「あぁ」
「彼女たちを決戦の場に連れていくのかい?」
「……」
俺の答えは連れて行かないの一手しかない。
だから──
「ネロ……一週間後の早朝にここをでる」
「……了解」
* * *
あれから。一週間が過ぎ去った頃、俺は山の山頂。つまり、ダンジョンの入口にまで来ていた。
「ネロ、準備は出来たか?」
「ここまできたのに、できてなかったらダメでしょ」
ネロの言葉に苦笑しながら、俺ははるか向こうに存在する。デビルス大陸を見つめた。
「あの馬鹿デカイ建造物に……」
「そうだよ。『魔王城』にアイツが──クロクルがいる」
まだ日も登りきってない早朝。
デビルス大陸の座標は、オールから聞き、いつでも<転移>可能だ。
だが──
「なんで、俺がここにくるって知ってるんだよ──アマサ」
そう。
誰に告げたわけではないのに、目の前にはアマサが居た。
「御主人様とこの中で長く共にしたので……」
俺の質問の答えではないが、俺にはそれだけでわかってしまう。
それだけ、俺もアマサと一緒にいたものだ。
「私も共に行かせてくださいと言ったら、駄目でしょうか?」
「あぁ。駄目だ」
アマサの顔が一瞬暗くなるが、すぐに俺にへと問う。
「何故でしょうか? 力が弱いのなら、この一週間で強くなりました……それでも駄目でしょうか……?」
確かに、この一週間でこいつらは、強くなった。
しかし、だ。
ネロに聞かされたあの話を思い出すと、巻き込みたくないのだ。
なぜなら──
「関係ないんだ」
「え?」
「お前たちと、これから起こる戦いは関係ない。これは俺の問題なんだ」
そう。これは俺がやらねばならぬ事。
それに、アマサたちは関係ない。
「御主人様お一人だと心配なのです」
「なら大丈夫だ……」
俺は今までも、これからも一人だ。
孤高の魔導王。
前世にて言われ続けたこの名。
これが嫌で、俺は共に歩めるものを探した。
そして見つけた……こいつらを……。
もう絶対に手放したくない。
「俺は孤高の魔導王と呼ばれていた頃にもどるだけだからな」
こいつらを守らなければならない。
そう、守るんだ。
「御主人様……」
アマサがそれでもと、食い下がる。
「お前たちは強いよ。でも、これは違うんだ。俺の戦いで、俺の問題だ。巻き込みたくないし、巻き込ませない」
だから──
「一緒に行かせるわけにはいかない」
俺は自分の足元に魔法陣を張り巡らせる。
「御主人様……」
魔法陣から、青白い魔力粒子が放出され始める。
「じゃあな……アマサ」
そして、俺はその光に身をゆだねた。
次回は戦闘回です。
ヒロインたちの修行は後にそれぞれの目線で説明するので、それまで暫しお待ちを。




