ダンジョン 「魔系統」
「主様が聞きたいのは冥級魔法と魔系統でしょ?」
俺の膝の上に座るネロが聞く。
「そうだ」
「じゃあ、まず最初は冥級魔法から」
指で一と示し話す。
「この世には沢山の系統があるけど、その中で冥級魔法と呼ばれる魔法があるのは十二、火、水、木、光、闇、滅、時、影、霊、神、竜……そして魔」
魔王の数と同じ……ということは、冥級魔法が魔王たる証とみて間違いないな。
「主様も察したと思うけどこれが魔王たる証と呼ばれている魔法だ」
「一ついいか?」
「ん?」
「人間側では強者に魔王という称号を付けられた。だが、その魔王たる証の話は一切なかったのはどうしてだ?」
だからこそ、俺は魔王と呼ばれた。
少し、他と違うだけで……
「それは、人間が思う魔王と、魔族が思う魔王が違うからだ」
どういうことだ?
「魔王たる証が存在しているのはデビルス大陸のみ、人間側は魔王たる証という存在は知らないが、自分にとって脅威となる強者である一点については共有している。だから、人間は勘違いをおこした。強者が魔王であると……」
なるほどな。
だから、俺は魔王と呼ばれたのか。
「わかった。続きを話してくれ」
「了解。それじゃあ、もう言っちゃうね。魔王たる証とは千年前に現れた最初の魔王が使ったとされる十一の魔法からきているんだ」
おっと。それはぶっこみすぎじゃね?
「──というか。ちょっと待て、そういうことは……爺さんが最初の魔王だってのか?」
「そうだよ。千年前に現れた最凶の魔王──クロクル。主様が相手にするのは、かつて『魔神』とも恐れられた規格外の化物さ」
……爺さん。
「さっき、十一の魔法がどうとか言ってたのは?」
「冥級魔法という概念を生み出したのがクロクルなんだ。そんな魔法が、クロクルが倒される時、何故か消滅せず。デビルス大陸に散らばった」
散らばる?
「どうやってだ?」
「冥級魔法とは、系統のルーツそのものなんだ」
「ルーツだと?」
「そう……例えば、火のルーツは地獄の炎。水なら海神・リヴァイアサンとかね」
それをそのまま使用するのが、冥級魔法。
「それが、デビルス大陸の地下に存在する『地獄』だったり、『魔海峡』とかに散らばった」
どちらもヤバイと語られる場所じゃないか。
魔力の溜まり場とも言われ、そのせいか気候が常軌を逸していると言われる。
「それが、魔王たる証か」
「そう。魔族たちは、自らが恐る場所に向かい、冥級魔法を手にして帰ってくる者を神聖視した。それが魔族のいう魔王さ」
だから、魔族の魔王がほとんどで、俺がイレギュラーなのか。
「だがそれだと納得がいかんな」
「どこが?」
「冥級魔法は十二あるとお前は言ったが、爺さんが生み出したのは十一だと……」
そう一個多いのだ。
現代に冥級魔法が存在する系統が。
「その系統が『魔』だよ」
つまり、ネロか。
「ここから語るのは、ボクの誕生と主様との関係さ──」
「──ということ」
「……」
驚きのあまり言葉が出ない。
「ふふっ、驚いてるね」
「当たり前だろうが」
こんなの信じられるか。
「アイツはね。変わったんだよ……人間の醜さに触れて……それを止められるのは……主様しかいない」
「……」
「怖くなったの?」
怖い? そんなもん、爺さん以外にも何回思ってきたことか。
魔王と畏れられ、日々暗殺者や勇者に狙われる。
恐怖は幾度となく経験してきた。
だからか、爺さんに恐怖はしていない。
俺が思っているのは怒りと悲しみだ。
だからこそ──
「爺さんを止める」
「うんうん。それじゃあ始めようか。魔系統の修行を──」
「ボクの誕生と主様との関係」は、楽しみに待っててください。もう少しあとに出てきます。




