幕間 side kurokuru
第四章は幕間からのスタートです。
では、第四章である『デビルス大陸篇』開幕です。
デビルス大陸、中央に位置する。巨大な城。
名を──
――魔王城。
その、玉座の間にてクロクルが鎮座する。
クロクルの眼前には、少し程前、王国に襲来した魔族たちが集められていた。
「揃ったか」
低く、ずっしりと重りがのしかかるような威圧のかかった声が、魔族たちを震わせる。
「では、報告をしろ。まずは、ナチスから」
「はッ。今回の襲撃にて、最大の目標である『王女、サナの死』は後の報告にて、完了したと。そして、こちらの被害はララ。一人でございます」
「ララの死体は?」
「最後の転移時に奪われ、死体はエヴァンの元にあります」
「……わかった。次、王宮に潜入した者たちの報告を聞きたい。カイト」
ナチスから、一通りの報告を受けたクロクルは、カイトに尋ねる。
「はッ。目標である勇者の洗脳に失敗です」
ちなみに、カエデが召喚された日。やけにカエデに突っかかって来た兵士が、カイトだったりする。
だが、見事に返り討ちにあい、逃げられたのだから、カイトの顔は緊張が満面に表れている。それは、他の二人も同じ。
そんな三人に向けて、クロクルは言う。
「だろうな」
ビクッと、彼らの肩が震える。
「召喚されたのが、カエデだったらそりゃ失敗するわ」
笑いながらに言うクロクルに、全員が驚く。
「ば、罰は?」
「ない。それとも欲しかったのか」
クロクルの問いに、カイトたちが全力で首を横に振る。
「それに、カイト。お前の事だ。代案もあるのだろう?」
実は、この件が失敗をした時点で代案はあった。
それは──
「はい。帝国と手を組んだのには理由がまだございまして……」
「ならば、良し。だが、絶対にいらん事をするな。ララはもういないが、残り五人の配下たちに伝えとけ、洗脳しても手を出すなってな。アレは、カエデのモノだ」
「はッ」
その反応に満足いったのかクロクルが頷く。
「勇者にいらない事をした奴は吊るし首にした後、辱め、すりつぶすから」
最後、玉座の間から出ようとする魔族たちに言い。
そして、報告は終わったのだが。
「ナチス。何故、ここに残っておる」
ただ一人、ナチスだけ残っていた。
「魔王様。発言の許可を」
「うむ」
「貴方様は突然と姿を現し、私共から、魔王たる証である『冥級魔法』を吸収致しました」
「そうだな」
今から、約二年前。忽然と姿を現し、当時、魔王と言われていた十一人の魔王たちから、力を吸収した。
そして、力を無くした元魔王たちを配下に収めた。
「しかし、時の魔王がそれに反対し、魔王様は、それを一瞬で消し炭にへと変えました」
その出来事のお陰か、反発する者はいなくなり、残りの元魔王たちが配下にへとなった。
「なんだ? ナチス。お前はわしの武勇伝を語りに残ったのか?」
「いえ。違います。が、この話が今回、魔王様に訪ねたい事につながってまして……」
「……それなら構わん。続けろ」
「はッ。魔王たる証である『冥級魔法』が存在する系統は全部で十二。『火』『水』『木』『光』『闇』──」
この五つは、系統を代表する五大系統として有名だ。
「──『滅』『時』『影』『霊』『神』『竜』そして──『魔』」
この十二の系統に冥級魔法は存在する。
「このデビルス大陸に存在した。魔王の数は全部で十一人。その全てを吸収した魔王様の冥級魔法の所持数は十一。だからこそ、完全なる魔王を求め、エヴァン……いえ、サトウ カエデが所持する。魔系統の冥級魔法を欲しがっていると、そう思ってました」
「まぁ、そうだな」
「それは、今までは……の話です」
ナチスはずっと不思議に感じていた。
何故、行動を起こしたのが今なのか。と──
しかし、その答えは今のやり取りにあった。
「魔王様。貴方様は、カエデという人間を守りたいのですよね」
「……」
勇者の洗脳に置いて、あそこまでカエデの女を守ろうとする心。
それは、今ナチスたちに向けている心とは違う。
それは──
「愛」
クロクルがカエデに向けているのは愛情。
それは恋愛的でなく、親愛に近い愛情。
「魔王様……貴方様は、カエデに何を求めているのですか?」
ナチスの問いに、クロクルはため息を一つ。
そして、その顔つきは真剣なるものに変わった。
「カエデ……アイツは可能性だ……」
「可能性ですか……」
クロクルの真意が分からず、聞きなおすナチス。
「ああ。わしと、アイツが見出した可能性」
遠い目をし、クロクルはある頃の情景を思い浮かべる。
しかし、それも一瞬。
直ぐにいつもの目に戻ったクロクルは、ナチスに宣言する。
「そのためにわしは……いや、我は今一度──『魔神』として君臨する」
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