魔王の証 2
内からあふれる魔力。
体がはちきれる。
『ありゃ、強すぎたかな? まぁ、主様ならコントロールできるよね』
舐めたことを言ってくれるな。
もう、コイツがなんだかなんてどうでもいい。
ただ、コイツの力を利用すればいいだけだ。
……落ち着け
精神を統一し、この魔力を支配下に置く。
『おぉ、やるぅ』
あふれる魔力を俺の魔力で押さえつける。
はちきれん量の魔力を、上手くいなしながら同調する。
『すごい。さすが、ボクの主様だ』
魔力が落ち着いたところで改めて、目の前の少女を見る。
「コイツ……魔法か?」
『正解! よくわかったね』
彼女に内包されてる魔力の感覚が、生命体とはまた違う。
気配や魔力は種族により異なる。
わかりやすく言うならば、魔族の気配と人間の気配が違うように、生き物の魔力と魔法陣に流れる魔力はまた違うということだ。
そして、コイツは後者。
つまり、魔法の類なのだ。
「お前はなんだ……」
俺の知識にない。
『それを語るには、この場じゃあ無理かな。もうこの状態を維持するのも辛いからね』
そういえば、周りはなんか固まっている。
いや、時が止まっているのか。
それに、俺も喋れている。
『まぁ。語るのはまた今度ということで、簡単に一言で、魔系統の魔法を説明すると──<支配>だよ』
支配?
おい、その説明じゃあ──
『ごめん、もう無理だ。最後にボクの名前は「ネロ」……じゃあね』
そして、一瞬にして姿を消したネロ。
まぁ、ネロの事はまた今度だ。
今は、サナの救出に向かわなければ。
ネロが消えたことにより、俺は時系統魔法に拘束されている。
言葉も発せないし、頭の回転も遅いことから魔法の使用も困難。
だが、内にあるネロの魔力が訴えかけてくる。
──<支配>しろ
と……
なら、信じてみるしかあるまい。
「さぁカエデ行くか」
爺さんが俺に近づいてくる。
恐らく転移を発動して、俺をデビルス大陸に連れて行く気だろう。
そうなるとめんどくさい。
信じるぞッ、ネロ!
感覚はネロの魔力を押さえつけた時のように、この魔力で爺さんの魔法を押さえつける!
「魔系統中級魔法──<魔法支配>」
時系統の魔法にネロの魔力が覆い尽くした。そして、そのまま押さえつけ支配下に置く。
──壊れろ……
ビキッ、ビキビキ……バリンッ! と時系統の魔法が破壊した。
「なんだと……?」
爺さんの顔が驚きにまみれている。
多分、俺も似たような顔をしているだろう。
「その黒い魔力……そうか……」
微笑む爺さん。
「今回、わしらは引かせてもらおうか。さすがに今のカエデとやり合うのは分が悪い」
なんとかなったか……。
「カエデ……デビルス大陸に来い。この続きをしよう……」
「おいおい爺さん。我を殺す気か?」
「それはお前も同じだろう?」
「当たり前だ。我の大切を奪うのなら守るまでよ」
「変わったなカエデ……」
「まぁ、な」
転移が始まる。
青白い魔力が、爺さんたちを包み込む。
「さらばだ」
そして、完全に彼らは姿を消した。
さて、サナを助けに行かなくては、な。
恐らく、俺が王城に来ることはあちら側は分かっていた。
カイトたちが俺の相手をしている間に、爺さんはサナを狙った。
だが、サナは恐らく拘束されただけで、デビルス大陸には連れて行かれていない。
アイツらの目的は人間側勢力の崩壊。
なら、殺すのが狙った理由。
クソ、急がねぇと。
「<転移>」
──間に合ってくれッ!




