魔族VS元魔王 1
『さぁ、七魔武闘祭がいよいよはじまります!』
王城に転移が完了したのと同時にアナウンスが聞こえてくる。
ようやく、七魔武闘祭が始まったようだ。
気配感知を発動させれば、王であるトウタの気配が王都の方に感じる。
七魔武闘祭の会場は、王都に設けられたコロシアムであるからして、王城から感じられる気配は非戦闘員である、メイドなどの給仕だけであるはずなのだが明らかに人間でない気配が三つ。
見張り役であったとしても、おかしい。
どうやら、俺の予想は的中していたらしい。
だが、魔族の狙いがわからない今。下手に動くとまずい。
拘束してもいいが、そろそろ魔族側も俺の存在に気づいているだろう。何かしらの対策をしているかもしれん。
「<遮断>」
<遮断>を使用し、気配を遮断する。
固有能力である<気配感知>を発動する。
そして、王城でドンパチを起こすと、後々面倒だ。
遅延魔法で<偽造世界>をあらかじめセットしておく。
「よし、行くか」
王城の見張りの目を掻い潜って、潜入。
気配感知によると、この先にメイドに扮した魔族がいる。
多分だが、女。男よりかは楽に拘束することができる。
まずは、一人だけ拘束して情報を吐き出させた後、残りの魔族を罠にはめる。
「ここか……」
静かに扉を開けると、そこに魔族がいた。
都合よく辺りに人はいないので、ぱっぱとやってしまおう。
「おい」
「え? ひぃ──!」
後ろから、うなじに指を突き出し、魔力を高める。
「殺されたくなければ、質問に答えろ」
「だ、誰が! ──っ!」
綺麗な褐色肌の腕を撫でるように、指でなぞる。
爪に纏われた魔力が腕を切る。
端正な顔が苦痛により歪む。
「いいか? この場では俺の方が上だ。抵抗するな」
そして、俺は魔族の胸に手を押し付ける。
「んっ」
そのまま手のひらから、胸の奥にあるもの心臓にへと魔力を送り込む。
──魔法発動、<拘束>
心臓を拘束する。
ネタばらしをするとこれが、今まで使ってきた拷問である。
「答えなければ──」
「う、ウガァァァ!!」
コイツの心臓は今、俺の支配下にある。
握りしめたり、緩めたりして、ひたすらにアメとムチを繰り返す。
昔は、こんなのアメとムチじゃないなんて言われたが、俺からしてみれば生かしているのが最大の飴であり、殺すことが最大の鞭だというのに……
まぁ、この話は置いといて、
「で?」
「答える、答えるから!!」
聞き分けのいい子じゃないか。
「私たちが、ここに来た理由は勇者に洗脳を施すこと」
へぇ、それは、それは。
「他には?」
「もうない、もうないから──!」
……コイツはこれ以上は知らないな。
あとは他の奴に──!!
「<制御装置解除>!」
コイツ──ッ!
「<偽造世界>」
慌てて、前もって準備していた<偽造世界>を発動。
すると、魔族の女以外に新たな魔族が現れる。
「また綺麗に拘束されてんじゃねぇよ──ソアラ」
「うるさいわね。早く解除しなさいよ──カイト」
「二人とも静かにしてください! 相手の眼前なのですよ!」
こいつらが、オールから報告されていた奴らか……
「まぁ、そんなカリカリすんなって──ライ」
男の魔族が一人、女が二人か。
男がカイト、さっき俺に拘束されていたのがソアラ、そしてライね。
とりあえず、全員拘束するか。
「顕現せよ──《魔王装束》」
魔法陣が俺を抜き去って、俺の容姿が変貌を遂げる。
「ほぉ、そいつが噂に聞いた《魔王装束》か」
カイトが顎を撫でながら、魔王装束を鑑定する。
「面白そうじゃねぇか! やろうかァ! なぁエヴァン?」
やはり、バレているか。
しかし、関係ない。アイツらを纏めて拘束することに変わりないのだから──
「──さて、遊戯を始めよう」
次回から戦闘です。
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