幕間 Princess past
お久しぶりです。
投稿を開けて申し訳ございません。
これから、またよろしくお願いします。
私はお母様が好きだった。
私の名前はサナ・アラン。
王家に生まれた長女。
私に兄や姉もしくは妹か弟という存在は居ない。
お父様はいつも政治とかで手が離せなくて、そんな時お母様はいつも私の隣に居てくれた。
生まれながらに病弱だったお母様は、いつもベッドに横たわっていた。
そんな中、お母様が語っていたのはいつも決まって恋の話だった。
お母様の出身は、平民。
故に王族なんて高嶺の花と言うよりかは、決して手の届かない存在である。
でも、お母様はお父様に恋をしたと言っていた。
「あの人はね、平民である私たちを良く見てくれて、それでいて人格の出来ている人だから人気があったのよ」
お母様が口を開く時は絶対にお父様の話題があった。
「そんなあの人に私は惚れたの。ふふっ今でも覚えてるわ」
そして語るのは初めてお父様と会った時のこと·····
「あの人がまだ王子だった頃は、いつも城を抜け出して王都で遊んでいたの。でね、あれはある雨の日だったわ。雨に打たれていた私を気遣ってくれてね、傘を貸してくれたのよ」
たったそれだけの事で惚れたらしい。
「別にそれだけで結婚しようだなんて思ってないわよ。もちろん他にも理由はあるけど、やっぱり遡ったら行き着く先はいつも決まってこの傘なのよ」
そしてチラっとお母様はベッドの近くに立ててある傘を見る。
すると、とびっきりの笑顔を見せてくれる。
その笑顔が好きだった。
「ねぇサナ。貴方が将来どんな方を私に紹介してくれるのか楽しみでしょうがないわ」
「でもおかあさま。わたし、おうじょだから無理だとおもう」
「ふふっ、人生は何があるか分からないわよ。私だって平民なのに今はこうして幸せな日々を送っているわ」
お母様は私を見て言う。
「だから、貴方はもしかしたら隣国の王子さまとじゃなくて、サナが惚れた男の人と結婚できるかもしれないわよ」
それはまやかしだと思った。
王女である私に自由はないと、そして今回で理解したそれは正解であると。
「お前には人間同士で協力関係になれるよう、帝国との婚約を命ずる」
お父様からの命令。
それは絶対的に必要なこと。
知っている者は少ないが、アルムドア学院に魔族が侵入してきた。
それは危機が訪れていることにほかならない。
決戦は二年後。
しかし、そのためにもこの運命は変えられないものであった。
人間大陸の二大勢力、王国と帝国が手を組むことは絶対必須。
でも、でも·····
「もしかしたら·····あるのかな·····お母様·····」
私だって好きな人と結婚をしたい。
私だって幸せな日々を送りたい。だけど、王女という肩書きがそれを許さない。
たった一人の我慢で世界を、人類を救えるのなら私はそれを選ぶ·····でも!
できることなら、私はお母様と同じ世界を見たい。
大好きだったお母様の気持ちを知りたい。
だから·····!!
「その婚約をどうか壊しては貰えませんか?」
これは希望。
たった一つのたった一度のわがまま。
彼一人に何が出来るのだろうか。
いや、もしかしたら成し遂げてくれるかもしれない。
だって彼は魔王なのだから·····
傲慢で不遜な悪。
けれども、その瞳には確かな優しさがある。
けれども、その心は、たった一本の鋼の剣が如くしっかりと折れない。
だから、もし貴方が魔王なのなら·····
私を王女という名の鎖から解き放って·····




