王女からのお願い事
さて、決意を改めた翌日。
俺の休日も終わりを告げ、講師として学院に向かった。
道中道行く生徒たちが、共に登校していたアマサに軽い挨拶をしていたことからアマサも随分と慣れてきたなと実感した。
ここまで一生徒としてアマサが馴染んでいるならそのまま入学させたかったが、前も拒んだ通り、また拒否されてしまった。
「私は御主人様と共に歩き続けたいんで」
こう言われてしまったら俺も嫌とは言えないだろう。
まぁ、もとよりコイツを拒むことはしないが。
さて、今日する事と言っても2組に教えることは無い。
前も言った通り、代表クラスに2組が選ばれた今、俺が横から指図するつもりもないので、クルムに言えば――
「ならほかのクラスも見てくれる?」
などと言われてしまったので、今日は1組を見ることになった。
シルターとは色々とあり、めんどくさいなとも正直思っていたのだが
「貴方様の戦法、魔法技術など尊敬します!」
態度が180度変わっていたので、引いた。
まぁ、適当にあしらって俺は早速1組の授業を見る。
「ほぉ·····」
俺は思わず質の高さに感嘆した。
どうやらこの学院は教師が十人いれば十の勉強というのがあるらしく。
ラナとはまた違う、現代の魔法の知識を余すことなく伝えていた。
魔法の知識は魔王の頃とは少し違い、俺の知識と食い違う所もあったが、やはりこの学院は全体的に優秀らしい。
ということで俺は食い違っていた点をいくつか指摘して午前の授業が終わった。
「御主人様、お昼ご一緒して貰ってよろしいでしょうか?」
授業の終わりのチャイムが告げた瞬間、アマサが俺を誘う。
別に特に予定はないので、了承する。
「分かった。場所は?」
「出来れば人目のつかない所が·····」
ふむ。なんか心配ごとがあるのだろうか。
しかし人目のつかない所ね。
「屋上とかは?」
「屋上はダメですね。あそこは人気な場所です」
そうか。
なら、偽造世界でも発動させればいいか。
「じゃあ校舎裏に来てくれ、偽造世界を発動させる」
「分かりました」
数分後、俺が校舎裏に行けば、アマサとユウキ、そしてサナが居た。
「開け、鏡に写る偽造なる世界を――偽造世界」
誰にもバレないように魔法陣の改変を施した偽造世界を展開。
三人と俺は偽造世界の中にへと入る。
場所は教室。
机や椅子がないと飯が食えないからな。
「さて、どうしたんだ?」
「実は御主人様にお願い事が」
「その内容は?」
「それは私から話します」
すると今まで黙っていたサナがおずおずと口を開く。
「魔族の襲撃があった後、私はお父様に呼ばれまして魔族や魔王との戦いに備え、人間皆で協力する必要があると言われました」
なるほど·····。
確かに人間たちが一丸とならんと魔王や魔族には対抗出来んだろう。
「そして帝国の王子との婚約を命令されたのです」
まぁ、妥当である。
魔族につけ込まれるよりかは帝国と協力し、守りを固めてもらいたいものだ。
「その婚約をどうか壊しては貰えませんか?」
·····は?
「ちょっと待て、それは政略結婚だろ? 何でぶち壊さなきゃいけないんだ?」
「そ、それは·····」
ったく。最初この国に召喚された時は良い王女だと思ったんだが、政略結婚で渋るのは頂けないな。
まぁ、理由はあるんだろうけど、これは王女の務めと言っても過言では無いからな。
「御主人様、私からもお願いします」
「·····お願い」
アマサやユウキからも頼まれるが、理由を話してもらわん限りは無理だな。
姫としての責務をほおり投げるのにふさわしい理由じゃねぇと。
「サナ何でお前は婚約をしたくないんだ?」
「·····」
俯くサナ。
話したくないってことか。
言うのが恥ずかしいのか。はたまた、隠す理由があるのか。
「俺が手を貸すのは魔族からの脅威を退かせる時だ。その婚約に何か隠されてるのかは知らんが、姫としての責務ぐらいおう覚悟ぐらいあんだろ?」
「·····確かにそうですけど」
まだ食い下がるのか。
仕方ない·····か。
「はぁ、分かったよ。ぶち壊すのはまだ決めかねてるが、アマサやユウキに免じて協力してやる」
「――っ! ありがとうございます」
その後、幾分か表情が楽になったサナたちと一緒に飯を食い、偽造世界を解いた。
午後の授業に出席するため去っていく彼女たちを尻目に俺はオールを呼び出す。
「オール」
「ここに」
既に膝まづいた状態で現れたオールに俺は命令を下す。
「王族や王城における魔族の確認と帝国の今の状況を調べてきてくれ」
「御意に」
そして速やかに行動に移したオール。
さて、じゃあ俺は少し魔族について調べてみるかな。
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