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七つの大罪《セブンス・ギルティ》


『魔法陣から魔族は何人出てきた?』

『十人です』


 結構な数揃えてきたじゃねぇか。

 俺がわざわざ破壊せずにおびき出したのは意味がある。それは魔族を捕縛するためだ。


 ロンの時なら百歩譲って見逃した(殺したままにした)が、ここまで絡まってくると目的を吐き出させる他ないだろう。

 オールには粗方聞き終わっているので、そろそろ新しい情報が欲しい。


『よし、分かった。お前は魔族を俺の場所までおびき出しとけ。後は俺がやる』

『御意に』


 よし、じゃあこっちもすることをしますか。


魔法陣破壊(マジックブレイカー)


 パリンっと音が聞こえたかと思えば、突如として偽造世界が崩壊を始める。

 もちろん、俺の仕業だが、突然の出来事に辺りはパニックになるだろう。

 そこで――


「魔族が襲撃してきたぞぉぉ!!」


 偽造世界が完全に崩壊仕切ったところで大声で叫ぶ。

  当然、今起きた出来事が魔族によるものだと思う生徒たちは驚きながらも避難を開始する。


 オールが魔族をおびき寄せる前に、こちらも戦いやすいようにしなければな。


『ツーレ聞こえるか?』

『はい、それよりも今の魔族の話は?』

『本当だ。だから俺が魔族を食い止めるから、お前らは避難を始めろ』

『で、でも――』

『任せろ。俺だけで充分だ』

『わかりました』


 よし、ツーレが動き始めたな。

  次は、と。


『クロム、お前らもさっさと逃げろ』

『わかりました』


 クロムへの指示も完了。


 数分もすれば魔法闘技場はもぬけの殻となる。

 気配感知を発動させても、しっかりと避難している事が分かる。


 さて·····


「こいつらどうするかな」


 足元を見れば倒れている三人の少女。

 本当なら<転移(ルーザー)>で避難させようかと思ったが、これから魔族がやってくる。

 魔法の使用は控えた方がいいからな。


 魔族は前も説明したとおり、魔法の申し子とも言われ魔法の使いが実に上手い。

 手応えのない雑魚でも、利用されてしまえば関係ないからな。


 しょうがない。このまま戦闘するか。


 念の為の<障壁>を五重構造で展開。これぐらいなら利用されないだろう。

 よし、準備は整った。


『オールまだか?』

『もう着きます』


 その連絡がくれば、魔法闘技場に十人の魔族が入ってくる。オールも一緒だ。


「クルムは?」

「あの方でしたらそこに」


 オールが指させばクルムは魔族たちの中にいた。


「学院長ともあろう奴が、魔族を手引きか?」

「あら、何を言ってるのかしら?」


 決して笑みを崩さず、クルムは俺と話す。


「まぁしらばっくれるのもいいが、後悔するのはお前だぞ?」

「魔族を十人目にしても余裕なのね?」


  ロンの時にも思ったが、魔族とは魔法が凄いだけでそこまで強くないぞ?


「あなたの切り札 《状態変化(モードチェンジ)》 でしたっけ? たかが武器の形が変わったところで魔族に勝てるとでも?」


 《状態変化(モードチェンジ)》 をたかがで済ませるか。

  自信があるのか、それとも強がりか。


  じゃあ、試してみようか。


「<武具顕現>」


  現れるは魔道・神楽。

 真っ赤な刀身が煌めき、妖刀ではないが、それと同等いやそれ以上の禍々しさを放つ。


「《状態変化(モードチェンジ)》」


 俺が一言呟けば、その刀身は変化を始める。

 それが収まれば、俺の手が握っているのは大剣。それも真っ赤な刀身は漆黒へと変わり、放つ禍々しさは先程を優に超える。


「ゾクゾクするわね。その大剣」

「どうした? 汗が凄いじゃないか?」


 俺の魔道・神楽の大剣を見て、クルムの頬に汗が伝う。


「じゃあ魔族たちも揃って俺と踊ろうじゃねぇか」


  俺は魔道・神楽を虚空に向かって一振する。

 そこから飛来するは<天翔破月>


「<障壁・五重構造(シールド・ファイブ)>」

「そんなもんでアイツの技が敗れるかよ」


  着弾。魔族たちの三人は横に真っ二つとなった。

 次は後ろか·····。


「ほれ!」

「――っ!」


 後ろから剣を突き出してきた魔族の手を切り落とす。

 そして、無詠唱で<紅蓮爆裂(エクスプロージョン)>


 恐ろしい程の爆音が響いた後、魔族は焼死体となって姿を現す。

 これで四人目。


「これなら俺の教え子たちの方が数倍強かったぞ?」

「ふざけるなぁ!!」


 ほぉ、無詠唱で<水流五月雨(ディニッシュ・ダル)>か。

 しかも魔法陣の改変までされて·····。


 まぁ、後もう少しかな。


「《消え失せろ》」


 バリンっと音を立て魔法陣は崩壊する。


「これが本物だ――<水流五月雨(ディニッシュ・ダル)>」


 広範囲に<水流五月雨(ディニッシュ・ダル)>を発動。

 威力は通常の2倍だ。


「《消え失せなさい》」


 まぁ、クルムには効かないか。

 今のは魔法陣破壊(マジックブレイカー)ではない。アイツが今使ったのは滅系統魔法だ。


「ふふっ驚いたかしら? 今のは<破壊(ブレイク)>あなたのそれを真似して作ったの。あなたの下位互換だけど中々使えるわ」


 さすがだな。


 ますます不思議に思う。

 コイツが魔族と取引したものが·····。


 しかし、今のこの場を収める他クルムと話す時間はないだろう。


「さて、そろそろ飽きてきたな」


 今の<水流五月雨(ディニッシュ・ダル)>でやられたのは誰もいないか。

 なら、残ってんのは七人だな。


 いつも通り、残すのは魂だけでいい。


 しかし、相手にクルムがいるとなると、魔法の戦いは厳しいかな。

  <破壊(ブレイク)>も相手の手札にはある。なら、<天翔破月>も打ち破られる可能性はあるな。


  仕方ない。


 本日二度目だが見せてやるか。


「んッ――ぅうん」


  後ろで声が聞こえてくる。アマサたちの声か。

 だが、もう俺の正体は告げたんだ。


 躊躇うのもやめにしよう。


「顕現せよ――《魔王装束》」


 魔法陣が俺を中心に抜き去る。

 そして俺の姿は魔王エヴァンのものとなる。


「遂に使ったわね?」


 あの含みのある言葉。

 恐らく、俺のこの状態の対策をしてきたのだろうが。


「《状態変化(モードチェンジ)剣聖(ソードマスター)》」

「う、そ·····その姿にも 《状態変化(モードチェンジ)》 があるの·····?」


 《状態変化(モードチェンジ)》を魔道・神楽だけに付けるわけがなかろう。

 そして俺の纏った魔王装束の形状が変化する。


 今まではゲームなどに出てくる魔王みたく、ゴツそうなものだったが、これは違う。

 相変わらず黒や金を基調としたカラーリングではあるが、その形は鎧ではなく、軍服と表現した方が正しい。


 魔王だった頃に来た勇者の一人がこの格好しているのを見て、俺も作ったのだ。

 しっかりと帽子まで作った。デザインは多少異なるが。


「何その姿·····」


 この姿は剣聖というにはあまりにも不気味で、魔王というにはあまりにも軽装備なのだが、それにこそ意味がある。


 ゴツい鎧だと動きはのろいし、動きづらいしであまり剣を振るうには難しいのだ。もちろん、身体強化をすれば多少なりともマシになるが、なら最初から動きやすい服の方が数段振るいやすくなるだろう。


「勇者アルテガが考案した<天翔破月>が光の極みだとするならば、俺の魔道は闇の道」


 じゃあ全員死んで貰おうか。


「魔道を突き詰めた先にある極みの名を貴様らに教えてやろう」


 魔道・神楽で放つ、俺の最高の剣技。


「七つの罪に裁かれよ――<七つの大罪(セブンス・ギルティ)>」


 すると俺の数が増える。魔力で俺と瓜二つの姿を作ったのだ。俗に言う分身か。

 そして、俺を含めた七人がそれぞれ魔道・神楽を構える。


「<高慢>」


 一人の俺が切り掛る。

 魔族は為す術もなく斬られる。彼らは避けることが出来ない。

 何故ならばその罪を彼は犯していたからだ。


「<怠惰>」

「<色欲>」

「<暴食>」


  一人また一人と次々斬られていく。

 己が犯した罪を償う。

 それこそが俺の<七つの大罪(セブンス・ギルティ)>の技。


 これは魔道を突き詰めた技だ。

 よって剣技であるが、魔法でもある。七つの大罪を犯しているが故に彼らは防ぐことが出来ない。


「<嫉妬>」

「<物欲>」


 俺の分身が六人の罪人を切り裂き消滅する。

 残るは俺とクルムのみ。そして俺が最後の罪を裁く。


「<憤怒>」


 そして実に呆気なく魔族の襲来は幕を閉じた。

次回、クルムとユウキが明らかになります。

後、ブクマが100件を超えてました。ありがとうございます。

次は200件を目指して精進して参りますので、今後ともこの小説を楽しんで頂けたら幸いです。


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