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狂化《バーサク》


「エンチャント――<筋力増強><脚力強化>」


 サナが二人にエンチャントをかける。

 身体強化か。


「なら俺も――」


 無詠唱で身体強化をする。

 そして<武具顕現>で魔道・神楽を顕現させる。


「では行こうか」


 鞘に収め、抜刀の構えをとる。


 先制は青髪の女の子だった。


「アマサ私が行く!」

「分かった。よろしくユウキ」


 ユウキというのか。

 そしてユウキは腰に差した刀を抜く。


「ほぉ魔道具か」

「·····」


 眉をピクリと反応させてから斬りかかってくる。

 速い。


「ん? すごい」


 ユウキは不思議そうに魔道・神楽を見つめる。


「お前のその刀·····なんだ?」

「これは妖刀、妖刀・政宗」


 魔道具とは聖剣エクスカリバーや俺の魔道・神楽と同じで魔力を込められた武具だ。

 その力は込められた魔力の差で決まり、妖刀というだけ、込められた魔力の量は測り知れないだろう。


「これに耐えられた魔道具なんて知らない。·····楽しくなってきた」


 口角がピクピクと動く。

 なんだ?


「アマサ、サナ。本気だす」

「·····分かりました」


  サナが覚悟したような顔つきで頷く。

 なんだ? 何を隠している。


「ふぅ、《狂化(バーサク)》」


 そういうことかッ!


「はァァ!!」


 ユウキが政宗を振るう。


 しかし、その太刀筋は先程とは比べ物にならない程に速いし重い。


 狂化(バーサク)とは狂戦士という職業の固有能力(スキル)だ。

 半人前の雑魚がこれを使えば見境なく襲ってくるが、使いこなせば人間としての思考回路は残しつつ、狂化(バーサク)状態に変化することができる。


 見たところユウキはそれを出来ている。


「アハハッ! 防ぐだけなのぉぉお?」


 口で三日月を描くユウキは、先程よりもテンションが明らかに変わっている。

 驚きはしないが豹変ぶりは凄いな。


「てめぇの剣が弱くてな」

「あらぁ、余裕なんだねぇ!」


 更に一段階速くなる。

 もはや神速の太刀と化している。が、素直に負けるつもりは無い。


 というか勝ちを譲るつもりもない。生徒たちが頑張ってるんでね。


「魔道・一閃」

「そんなものでぇ、私が負けるとでもぉ?」


  政宗の柄で俺の魔道・一閃を防ぐ。

 おぉ、すげぇ。


「じゃあ次は私。【縮地】」


  驚きのスピードで移動する【縮地】にサナのエンチャントが合わさり更に動きが速くなる。


「そこぉ!」

「ぐぅ!!」


 クソっ、目で追えねぇじゃねぇか。


 アマサとサナは遠くに避難しているように見えて俺の逃げ道を潰している。

 さすがだ。


 とりあえず、縮地を止めるか。


「<紅蓮爆裂(エクスプロージョン)>」


 ドゴォン!!


  激しい音が鳴り響く。俺の足元から半径100メートル範囲にクレーターができる。

 手加減しすぎたか。


「そんなもの効かない、効かないィィィ!!」


 黒き瞳に狂乱の光が宿る。


「<最大出力(フルバースト)>」

「ちょっとそれ以上はダメよ!」


  サナの言葉に耳を貸さず、ユウキは俺に突っ込んでくる。

 完全にのめり込んだな。


「確かに 《狂化》 は強い。が、それに頼りすぎるとお前の体がもたねぇな」


 余裕そうな言葉を言ってみたが、今結構ピンチだ。

 固有魔法が制限されていない今 《魔王装束》 使うのもいいがそれだとダメだ。


 誤って殺してしまう。

 なら、今のこの状態でできる限りのことをするしかない。それがユウキのためだ。


「アハハハッ! ヒヒヒッ<刹那>」


 軽くジャンプしてからユウキが恐ろしいスピードで俺に迫る。

 そして俺に一突き。


「ぐうぅ」


 なんとか反応し、逸らすことができたが左腕をかすった。

 回復するか··········なんだ? 回復しないだと!?


「妖刀で切られればそこは魔法では回復しない。妖刀に魔力と共に込められた呪いがァ、それを許さないから。アハッ」


 めんどくさい魔道具なもんだ。


「ったく。おしゃべりになったな」

「私には二つ顔がある。一つ目は普段の無口、二つ目はコレ! 今の私よォ!」


 再度ユウキは構える。

 ·····これは <刹那>か?


「残念【縮地】だよぉ」


 背後から声!?


「がハッ!」


 クソっ心臓を躊躇いなく刺しやがったな。


「今<刹那>だと思ったでしょう? アハハっ引っかかったぁ!」


 この俺がここまで追い詰められるのか。

  狂化(バーサク)以前にコイツ自体の力が凄まじいのか。


「<蘇生>」


 とりあえず、呪いを解呪してから<蘇生>をする。

 解呪したのは<解呪(ディスペル)>という魔法だ。呪いが回復を邪魔するなら解呪するに限る。


「お前に勝ちは譲らんよ」

「アハッ、まだ余裕そうだねぇ」


 コイツはフェイントが上手い。

 狂化(バーサク)に理性を奪われていない証拠だろう。が、体は思い通りには動かないか。


「魔道・神楽は俺が創った魔道具の中で一番の出来を誇る」

「ん?」


 突然語り始めた俺を不思議な目で見つめてくるユウキ。


「魔道・神楽は込めた魔力も尋常じゃないが、コイツの真価はコイツ自身にエンチャントした魔法にこそにある」


 付加魔術師のエンチャントでは俺の魔道・神楽は完成しなかった。

  だから俺はエンチャントを我流で学んだ。


  全てはこれをエンチャントするがために。


「《状態変化(モードチェンジ)》」


 魔道・神楽の材料は『魔力記憶変形鉱石』である。

 その名の通り魔力を記憶し、別の形にへと変形する摩訶不思議な鉱石だ。


 これを武器にするには世界中の鍛冶師には無理だった。しかし俺は創造で制作が可能だった。


 魔道・神楽は俺の言葉と同時に変形を始める。


 漆黒に紅色のラインが入った刀身に、鍔は刀よりも巨大にごつく変化し、黒と紅を基本にカラーリングされている。


 瞬く間に変形が完了し、刀状だった刀身は大剣にへと変貌した。


「なにそれぇ」

「魔道・神楽だ」


 まず大剣状に魔道・神楽を制作。そこに魔力を流し、魔力を記憶させ、そして創造で刀に変形させる。

 そこに《状態変化(モードチェンジ)》 をエンチャントをさせる。


 後はこの 《状態変化(モードチェンジ)》 を発動させれば、最初に記憶された大剣の姿に変形するということだ。


「込められた魔力量が圧倒的に違うんだけどぉ」

「当たり前だ。 《状態変化(モードチェンジ)》は俺のとっておきの一つだからな。この大剣状態の魔道・神楽の魔力量は先程の五倍以上ある」


 《魔王装束》 にもこの機能は組み込んでいるがそれはまたの機会に、俺は魔道・神楽を担ぐ。


「では行こうか。というかお前は今から一方的になる」

「ハハッ、さっきまでボロボロだったのに何を――ッ!」


 俺は神速のスピードでユウキの懐へ入り、横薙ぎする。


「グッ!」


 まだだ。


 俺は担ぎ直し、足に力を込める。


「<刹那>ぁ!!」

「意味が無い」


  迫ってきたユウキに魔道・神楽を一振。


「キャッ!」

「ゼイヤッ!」


 バランスを崩したユウキに攻める。

  さすがに殺すのはあれなので柄で思いっきしうなじを打つ。


「うっ」


 そしてユウキは気絶した。


「なんだぁ!?」


 すると突然視界が悪くなる。

 これは煙幕か。


 数秒という時間を要し煙は晴れた。


「逃げたか·····」


  気絶したユウキの姿がない。

 サナとアマサが回収したのか。


 さて今頃アイツらはどうなっているかな?


  そして俺は<遠見>を発動させ、シルターの方に目線を転じた。

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