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破壊の魔女


「ようこそ私の学院――アルムドア学院へ」


 腰まで伸びた赤髪に、まるで宝石をはめ込んだかのように綺麗な赤き双眸。そして、華奢な体には似つかしくないほどに実った豊満な双丘は世の男性を魅了するであろう魅力がある。

 そして彼女こそがアルムドア学院の学院長である。


「どうもカエデだ」

「アマサです」


 俺は自己紹介と共に右手を差し出せば、学院長も笑って握り返してくれた。


「私はクルムです。クルム・ハック。あなたがカエデさんですか·····ラナさんからはお話を聞いています。何でもその歳で詠唱省略ができるとか?」

「·····まぁそうだな」


 本当は無詠唱も行けますと言った方がいいのだろうか? まぁそれは追追ということで。


「我が校は代々『七魔武闘祭』で上位を誇る学院なのですが、近年はそれも叶わずめぼしい成果を挙げられないのです」


 伏せ目がちに語るクルム。


「今年こそはと思っていたのですが、私から見ても生徒たちには未熟さが残っています。と言うのことでラナさんからあなたの話を聞いた時はそれだァ! と思ったわけですよ」


 とりあえず上位まで導けということだな。


「ですが、私はラナさんの話だけでしかあなたの実力を知りません。我が校の教師は私が直々に見定めて判断しています。それはたとえ講師であってもです。ということでこれからあなたのことを()()審査しますがよろしいでしょうか?」


 こちらとしてもアマサの件もある。学院長であるクルムに実力を見せておくのも今後の信用に関わるだろう。

 と思い、先程からずっと黙りこくったラナを見れば整った顔は蒼白となっており、まるで恐ろしいことを聞いたような表情だ。


「ん? どうしたラナ」

「いやどうしたもうこうしたもないですよ! まさかカエデさんその勝負·····いや審査に挑むつもりですか!?」

「まぁそうだが?」


 ラナの顔の変化についていけない。困ったようにクルムの方を向けばイタズラをした子供のように無邪気な笑みを浮かべていた。

 どういうことだ?


「なぁアマサ·····」

「すみませんこればっかりは私も何とも·····」


 それもそうか。人間のことはさすがにアマサは分からんだろう。

 一体なんだと言うんだ? と思っていればラナが小声で説明してくれた。


「カエデさん·····学院長は世界で二人しかいない『魔女』の内の一人 《破壊の魔女》 の異名を持つ方なのですよ」


 魔女か·····その話は聞いたことがあるな。確か·····俺が魔王だった頃に風の噂程度に

 魔女とはステータスに示される最高職の内の一つで最高職とは『勇者』『剣聖』『賢者』『拳王』『神官』『聖女』そして『魔女』だ。

 最高職故にその魔法の力は勇者や魔王に引けを取らないと言われるほどだ。


 基本引きこもってばっかの老婆だって噂だったが噂とは信じられるものでは無いな。


「その破壊の魔女が俺を審査するって何を審査するんだ?」

「純粋な戦闘能力」


 教師に必要なのは教育力だと思うが、しかし学院長の言うことだしな素人が口を突っ込む訳にはいかないだろう。


「わかった。それは今からでいいか?」

「·····えぇ生徒たちは今日は休んでもらっています。この学院の教師である方々をお呼びしてそこで全員の判断と私の判断によりあなたが相応しいかどうかを決めますので、場所は『魔法闘技場』です。学院の一階にあるのでわからない場合はラナさんに聞いてください」


 クルムは一瞬呆けたような顔になったがすぐに戻り、内容を要点を掻い摘んで話す。


 ·····にしても魔女とは戦ったことがないからな。実に楽しみだ。


 そして、俺が学院長室から出ればラナの怒鳴り声が耳を貫いた。


「何で受けちゃったんですか!」


  耳に指を入れ防いでも防げないぐらいの音量を発するラナを諌める。


「落ち着けよ」

「これが落ち着いて居られますか!」


 なんだ? この反応·····


「いいですか? 学院長の 《破壊の魔女》 という異名の所以は全てを破壊する学院長の魔法にあります。今まで彼女に挑み、又は挑まれた者に残るものは何も()()のです!」


 全てを破壊だと? 聞いたことがないな。

 魔法には系統つまり属性がある。『火』『水』『木』『光』『闇』と、この五つであり、魔法発展期により複合魔法が開発され系統は増えていった。たまに俺が使っている瞬間発動魔法や遅延魔法はその複合魔法を利用した一種の技法だ。

 しかしそのどれもに破壊するという表現がされる魔法は聞いたことがない。しかも残らないものは何も無いか·····


「じゃあお前らはどうやって教師になったんだ?」


 確かクルムは自分が直々に審査してるとかどうとか·····。


「はい、確かに私たちの実力を見るために学院長は試験に戦闘を導入していましたが、誰とも()()()()()()()()()()()()()()()


 どういうことだ。ラナの言うことが真実なら彼女は普段の面接の時は戦闘風景をみて判断しているとなる。では何故俺と·····?


「学院長·····多分ですが、今年は本気なんだと思います。あの人の『七魔武闘祭』にかける熱は誰よりもありますから」


 それで本当に俺が相応しいのかってことでクルムが直々にか。


「分かったが、俺は戦うからな」

「どうしてですか?」

「いや認めてくれないとラナの頼みを実行することが出来ないだろ?」

「っ! そうですか·····ではこの場合私はありがとうございますと言った方が正しいのですね?」

「そうだな」


 それにアマサのあんな顔が見れたんだ。アマサを入学させるためにも学院長には俺の力をしっかりと見てもらう必要があるな。


「そういう事だ。アマサもラナと一緒に俺とクルムの戦いを見ててくれ」

「分かりました」


 そして俺は面接会場と言える魔法闘技場という場所に向かった。

次回、破壊の魔女と孤高の魔導王の戦闘です。

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