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閑話 勇者の心中

クレアの心情です


 私の名前はクレア・ウォーカー。

 先祖であるアルテガ様の血を引くれっきとした勇者である。


 しかしかながら、私は生まれた時から『堕ちた勇者』というレッテルを貼られた状態であった。

 別にそれが私の心をどうとかという気持ちはなかったが、亡き私の先祖を馬鹿にしてきたのは苛立ちを感じていた。


 それもこれも全てが憎き魔王――エヴァンが原因だと幼い頃から両親に徹底して言われてきた。

 しかし、そんな両親も過度な迫害によりストレスで他界。


  私は孤独となった。


 友人らしい友人なんて居なく、両親すら居なくなった。


 私はどうやって生きていけばいい。


 毎日それを祈るばかりだ。

だからこそ幼い頃から教わってきたある語尾を付ければアルテガ様と同じ勇者として、振る舞えると「っす」という語尾を付けることにした。


◆◆


  月日が経つのは早いもので私が十六の時、転機が訪れた。

 たまたま訪れた冒険者ギルドにエヴァンと同じスキルを持つ青年と出会ったのだ。


 その時は色々と混乱していたこともあり私は見落としていたが、帰って書斎を調べれば、アルテガ様が調べたエヴァンのスキルと一致し、ようやく現れた仇にどうやって挑もうか思考を加速させていた。


 そしてある事を思い出す。それはウォル一族の事だ。エヴァンを倒したと言われるこの一族の子孫であるロンから前々からアプローチをかけられ、今まで嫌がってきたが背に腹はかえられない。

 結婚を条件に共闘を依頼した。


 結果惨敗。


 しかし、一度約束したものは勇者として変える訳にもいかず婚約をした。


  悔しかった。まるで私の人生をエヴァンによって操られているが如く、私の自由がない。


『僕から逃げても無駄だよぉ? 逃げたら市民に何があるか分からないからねぇ』


 ロンは私を束縛するために市民を人質にした。だが、彼ならやりかねない。

 分からなくなった。


  私は一体何をしたかったんだろう?


 ロンは私の体を目的としているのだろう。だから唯一の交渉材料である『女』を使ってまで私はエヴァンを殺そうとしたが負けた。


 しかも相手にすらされなかったのだ。


 私の努力を、私の力を、私の全てを否定された。

  私は今まで何をしてきて何を望んだのだろう。


 問いかけ続けた。


 そして披露宴の当日気づいたんだ。


 あぁ私は『普通』を望んでいたんだ。


 小さい頃窓辺から覗けば、私と歳が変わらない少女たちが友達と一緒に野をかけていた。

 今街を見渡せば男女のカップルが和気あいあいと楽しんでいた。

 オシャレをして、恋をして、私の持っていないものを他は全員持っていた。


 それが『普通』そして私は『異常』だと、気づいた。


 それはエヴァンのせいじゃなかった。そう異常なのは私なのだから·····。


◆◆


  そして訪れた披露宴。


 ドレスに着替えるために用意された個室で着替えようとした。

 でも、普通を望んだはずなのに·····。その気持ちが溢れ出てくる。だから私は剣で切り裂いた。それが私なりの八つ当たりだったのだ。



  そこに現れた魔王エヴァン。

  突然の事で気が動転し私は斬りかかった。


 だけど、彼が来た目的は私の裸体ではなく、誤解を解きに来ただけだった。

 それもそれでムカついたけど·····。



 そこから語られた真実は私の予想を大幅に超えたものだった。

 でも、私は嬉しかったのだ。


 アルテガ様は堕ちてなんていなかった。家族を守ろうとしたカッコイイ人なのだと教えられた。

 それが嬉しかった。


 そんな時私はエヴァンに問われた。


「お前は結婚するか?」


 迷った。


 魔王であるエヴァンに全てを告げ普通を求めるか、このままロンに束縛され続け、辱められるか。


 エヴァンに頼めばやってくれるだろう。私を連れ出し、ロンを倒してくれるだろう。

 だけど、市民のために、そして何よりそれは自分で掴み取るものだと思い私は結婚することにした。


◆◆


 それからロンが偽造世界に侵入してきた。

 戦況は一方的だった。


 魔王装束を纏ったエヴァン·····いやカエデは一方的にロンを攻めていた。

 そして私は彼の腕に抱かれていた。


 幼き頃何度か願った『お姫様抱っこ』で、それが嬉しかったのは内緒である。


◆◆


 カエデが孤高の魔導王を語っていた時は少し寂しそうだった。

 配下を要らないと言っていた彼の目は悲しげに揺れていた。


 それは迷える幼子のように。


  彼は共に歩んでくれる人を探していたのだろう。彼は普通を求めていたのだろう。

 しかし『力』があるが故にそれが叶わなかった。これを聞いた時は彼に親近感を抱いた。


 そこからは本当に一方的だった。

 結果ロンを倒し、私を救ってくれた。


 お姫様抱っこから解放された私は妙に頬が熱くなっていることに気づき、恥ずかしさから私はその場を後にした。



 エヴァンは私と同じだった。普通を探しているちょっと力が強い男の子なんだと気づいたのだ。

 それが私の頬を緩ました。私と同類だったのがこんなにも嬉しいなんて、そんなの私じゃないと思うがしかし体は正直だった。


 頬は緩む、赤く染る、彼の事を考えてしまう。


 あの一件以降私は街の人達に心配されるようになった。街を歩けば言葉を投げかけてくれるし、罵倒や嘲笑は何故か無くなっていた。

  私よりもロンに注がれていたが·····。


 そんなことより、私はこれから思考を悩ませる。私と似た彼を想う。


  ふふふっ、これからどうしよっかな。

心情描写には慣れてなく、見づらいかと思ったかもしれませんがどうでしたでしょうか?


あと一話閑話があります。次回の閑話が次章に繋がる話ですね。


あと、不定期と言った割に毎日投稿している理由は今世間を騒がしているアレのせいで予定されていたものが延期されたり中止されたりしているからでございます。

皆様もどうかお気をつけください。

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