魔神ノ領域
日曜で、休みだったので時間が余った夜にですが書くことが出来ました。では、どうぞ!
神が神たる所以は、言葉による強制力──言霊。更に加えて【神域】というスキルがあることである。
【神域】とは端的に言うと一定範囲内に置ける自身強化スキルである。
単純であるが故に強力。魔法における身体能力上昇とは桁違いに伸びる身体能力は、かつて魔族よりも魔法適正があったエルフすら凌駕し、蹂躙した。
「神系統冥級魔法──〈魔神ノ領域〉」
それは広大な魔法陣。広大過ぎるが故にアマサたちには視認出来ないが、たしかに魔王城を包み込む程にそれは拡大した。
「冥級魔法とは魔法のルーツである。しかし、滅系統魔法や神系統魔法は魔女である二人が生み出した魔法だ」
クロクルの言ったことは本当である。創造の魔女であるサクラが、破壊改め破滅の魔女であるクルムがそれぞれ生み出した。それは、忌まわしい過去があった故である。
「しかし、現に神系統と滅系統の魔王は存在し、冥級魔法も存在している。その説明は『神』という言葉でついてしまう。さて、生物とはどういう風に生み出されたか、知っているだろうか?」
誰も知る由もないだろう。生物が生きている、産まれてくるのは必然で、この世の理である。
「答えは、神が生み出したである。では神は誰が生み出したか? それは、地球の者たちによる願望だ」
「「──ッ!」」
カエデと菜乃花が息を呑む。
「地球の人間たちは進化で生まれた。猿が徐々に徐々に、と。そんな人間たちは進化を続けた。二足歩行が可能になれば、両手を用いて他者を殺し、生きる術を磨く。そして、どんどん進化を続けていく内にある事実に行き着く。成長しても自然の物は言うことを聞かないという事だ」
風を起こせと言えば、魔法を使わない限り起こらないだろう。だからこそ、願った。
「自身が想像で生み出した空想の生き物。それは理想の生物であるとも言える。圧倒的な力を持ち、自然を意のままにし、全てを統べる完璧な存在──それが神だ」
完璧である種族──神は、願いから生まれ、そして願いから消えた。
「火の神に火を願い、水の神に水を願ったが、それによる信仰も凄かった。故に争いが起こり、その被害者である人間が願った。神が居なくなればいいのに、と。随分勝手な話だ。生み出したのはそちらなのに、簡単に捨てる。神たちは人間達から疎まれる存在となり、地球を離れた。そして、自分達だけの桃源郷を作ろうと、世界を構築した。それがここだ」
全員が固まる。その話のスケールがデカすぎるあまり、話についていけないのである。
それをクロクルは一瞥し、また語り出す。
「神たちはまず、自分に従順な人間を二人作った。それはまるでかつて自分たちを裏切った人間を、逆に遊ぶがように。その後、人間たちは二人の人間により増殖した。次に作り出したのが魔族だ。これは、人間たちを襲うようにプログラムされていた。なぜなら、その方が面白いからだ」
神にとって人間は復讐対象だったが、楽には死なせてあげなかった。敵を作り、それに対策をこうじ、向かい打つ。だが、更に神は強力な敵をどんどんと作り出す。それはまるで──遊戯だった。
「神はこの世界を遊戯盤の如く扱った。しかし、途中で失敗もしたのだ。エルフがその最たる例である。自分の脅威になりうる生命体を作り出してしまった。故に直々にエルフを根絶やしにし、人間たちの歴史からも消した」
「そんな事が·····」
クルムは握り拳を作る。深く握ったせいか、爪がくい込み血が伝う。
「しかし、順調だった神たちの遊戯も狂う事が起きた。それが魔法という存在だ」
地球の者たちが願ったように生まれた魔法は、神たちの予定を大きくズラしたが、逆に好機だったとも言える。
「神たちは魔法という存在を消すのでは無く、そのまま与え、更にステータスを加えることにしたのだ」
言うならばバージョンアップということだ。
「ちなみに竜が誕生したのはこの時だ。白龍は全ての竜の始祖だと言われているが、白龍を生み出したのは竜を司る神──龍神だ。もちろん冥級魔法は龍神をルーツにしている」
アマサの〈白龍ノ咆哮〉が冥級魔法でない理由がこれである。
「さて、話は変わるが、我は戦争中に生み出した冥級魔法に滅系統と神系統は存在していた。しかし使用頻度が少なかったため、人間たちの歴史には記述されていない。その事に神は恐れを抱くことになる。エルフみたく、我を抹消しようと考えたのか、神が数体我の元にきた」
「──ッ!」
どうやらカエデも初耳のようだ。まさか、神殺しが自分の他にいるとは思わなかったのだろう。
「まぁ、我の冥級魔法に結局は敗れ、このように知識が露出したのだが。さて、この事実を知った神が考えるのは遊戯、つまりゲームとして一番重要な役──ラスボスに任命することだった。サクラと言ったか? そいつに神系統の知識を脳内で生まれさせたのも、神。そこの魔女に滅系統の魔法を生まれさせたのも神だ」
「──ッ!」
驚くことしか出来ないだろう。驚愕としたクルムを見たクロクルは続ける。
「しかし、神も我らの考えまで見通すことは無理だ。せいぜい、記憶を埋め込むことぐらいか。まぁ、通常なら気づく変化も、怒りで我を失いかけている者たちなら利用するに決まっている」
サクラは神に、クルムは魔族に怒りを抱いていた。もちろんサクラが生き残っているのは神に知れていたが、神系統を生み出すにあたって最適な役だと考えた結果生かして貰えた。
「さて、ここまで説明したんだ。これからは滅、神、竜の冥級魔法も使っていこうか」
語りによって、完成させられた〈魔神ノ領域〉はクロクルに恩恵を与える。
「これは神のスキルを真似たものだが、威力は筋金入りだ。そこに束縛されているカエデも防戦一方だったしな」
「──ッ!」
そして、全員が構え、悟る。
つまり、ここからが──
本当の戦いだと──。
説明回みたくなりましたが、長くなるので前半と後半みたくわけました。サブタイに前半とは書いてませんが、説明回と戦闘回に分かれています。次話は遅くなるかもしれませんが、気ままに待ってて下さい。
あと、これで100話目です。自分が上げている小説の中で100話目突破したことはないので、近々100話記念の話を出すかもしれません。そんなことより続きを書けという方もいると思いますので次話と同時に番外編として投稿します。100話を越しちゃう形ですが、カエデの地球での高校生活(転移前)を書く予定ですので、そちらも楽しみにしていただければと思います。




