92話:プラントからの脱出 その1
プラント内の通路を道なりに歩いて行きながら話をしていると。
「ところでお主。モンスターを使役する意外に何か他の能力を開花させておるのか?」
「それ以外にって言われてもなぁ……。モンスターの気持ちを少しだけ読み取れたりとか」
「ふむ読心術じゃの。それは初歩中の初歩じゃ。まだ上達していないのであれば努力するのじゃ。お前の中に隠された能力はまだまだあるぞ」
「それがどうなるのか分らんが。やってみることにしよう」
こんどホワイエットにでも教えて貰うことにしようか。今頃元気にしているだろうか。
「それにしてもやたらと俺の能力に詳しいな」
「当たり前じゃ。このご主人様もモンスターテイマーの力を持っていた方じゃからな。相棒と対等に呼んでいたが、それでも心の中では尊敬するお方じゃった」
「いい奴に出会えたんだな」
俺もモンスター達にそう思われていると……いいな……。
「ん? なにやら奥の方が騒がしいようじゃの。銃声が聞こえておる」
「まずい。ちょっと迂回するぞ。多分こっちならいけそうだ」
「残念じゃがそっちには出口に通じる道はあらぬぞ。どのみち出る杭は打たれておるのじゃ。どれどれ久方の乱闘騒ぎを見物しに行こうでは無いか」
「死ぬのが怖くないのかよっ!?」
度胸の据わった竜人だなっ!? そう聞いて彼女は肩をすくめつつ。
「何度も死線を見てかいくぐってきた身じゃ。多少のドンパチなどで臆することなどせん。逆に恐れたら銃弾にやられるのじゃからな」
昔ばあちゃんがいってたな。刃物を恐れて使っていると牙を剥いてくるって。要するにビビってたらいつもの様な立ち振る舞いが出来なくなると言いたいのだろうな。実際にグリムは俺をおいていく形で前へと進んでいってしまった。
「まてよ。おいていくなって」
「足の遅い者は早死にしやすいのじゃ」
「それも過去の経験からか?」
「そうじゃ。だが戦争だと内容は変わっていくがの」
とっ掴みにくい会話を聞き流しつつ、俺は銃を構えて前方を集中的に警戒して歩いて行く。そしてしばらく進んだ後に。
「あっ、ルナ先輩!」
「んっお主の仲間か。男みたいな女じゃの」
まぁ、逆だったりもするんだけどな。とりあえず加勢しなくては。現状、ルナ先輩は大勢の警備兵に囲まれながらガンカタによるショットガンでの格闘術で戦いを繰り広げており、戦況は防戦一方にもみえる。状況を打開するため、俺はその場で狙いを定めて引き金を引いた。
「――っ! サトナカちゃん! 無事だったのね!」
「はい! 援護しますルナ先輩!」
すかさず警備兵を順番にダウンさせていく。急所は外している。
「何か手伝おうかの?」
「あんたは警護対象だ。むやみに絡まなくて良いからな」
「うむ。ではお言葉に甘えて見物させてもらうことにしょう」
そういってグリムは腰を下ろし、その場で俺達の戦いの見物を始めだした。
「あと5人か。あれくらいならルナ先輩が処理してくれるはずだ」
実際にルナ先輩は残された残存勢力に対し、弾切れとなったショットガンを鈍器として振り回して制圧してしまった。うん、強いです。
次回の更新予定日は9月2日です。よろしくお願いします。2日の更新分は少しボリュームを多めにして投稿させていただきます。




