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67話:ポリス組織『アマノジャク』の幹部を追え! その2


―――――――――――――――――――――――――――――――――

改稿のお知らせ。66話:ポリス組織『アマノジャク』の幹部を追え! その1

―――――――――――――――――――――――――――――――――


 若干の手を加えて改稿いたしました。

「どこに居る!」


 全力疾走をして30分が過ぎた辺りで闘技場に辿り着くことができた。身に纏っている支給品の黒服が自分のアジリティを強化してサポートしてくれていることもあり、これくらいの走りで体感的には10分くらい走ったのと変わらない感じだ。


 闘技場を見つけた方法はシンプルだ。建物の屋根に登って周囲を見渡せば良かったのだ。


「くそ……っ! 一足遅かったのか……?」


 現在俺のいる場所はあの幹部がいた特等席の部屋だ。リリィ先輩とロッソ先輩は既に闘技場にはいないようだ。それどころか闘技場にいた観客や、俺の狙っている的さえもおらず、もぬけの殻でシンとしている。


「手がかりはないのか!」


 腹の虫が治まらない。あの戦いで俺達に警戒心を抱いて逃げ出してしまったのか?


「くっそぉっ!!」


 思わず近くにあったイスに力強く蹴りを入れた。蹴りを受けたイスはその場で倒れずに、盛大な粉砕音と共に、粉微塵に砕けてしまった。


「…………」


 ついさっきまで戦っていたリング内を見下ろす。ゴルドデュエルベアの死体が放置されているようだ。


「どういうことだ……? デモンストレーションバトルが終わったらモンスターはそのまま回収されるんじゃないのか?」


 普通に考えてもその場に置いておくいみがないはず。あまりにも不自然な周囲の状況に眉をひそめた。


「情報が足りないな。ここはミステルさんに教わったハンターの追跡スキルを応用してみるか……」


 実際今回やってみるのが初めてだ。


「足跡の数と種類を見比べる事から始めるだったな……。なるほど。このつるっとした面の靴裏は高級品の感じがする。他のいくつかの靴裏にはグリップ保持の為の溝が掘られているみたいだな」


 車のタイヤの溝と同じように靴にも溝が掘られているのは常識だ。この異世界でも似たような靴裏の形状が多いことに気がついて初めて知った。


「この形……。リリィ先輩が履いていたヒールの形状と一致しているな。その側にあるブーツの靴裏だけどビジネスシューズみたいな形状のモノはロッソ先輩の奴かな。かなり履きつぶされて歪な溝とでこぼこ感があるな。てかこのひと踵から足を降ろす癖があるぞ」


 ロッソ先輩の靴裏はともかく、リリィ先輩のヒールの靴裏はまんべんなくすり減った形状をしていた。常に歩き方を意識しながら仕事をしているみたいだ。これも彼女が的を落とすために身につけたテクニックなのだろうか。気をつけなければ俺もやられてしまうな。


「残りの。特に扉の入り口に密になっている靴の後はなんだ?」


 分らない。でも大勢の人がこの特等席に押しかけてきたのは間違いないようだ。壁に弾痕や家財道具の破損など、部屋の様子をみて争ったような形跡は見受けられないな。多数の足跡の人数が把握できそうにない。多くあって実は3人だけという事もあり得るな。これが群で活動するモンスターの場合だと判断を誤れば命取りになりかねない。


「こだわりすぎるかもしれないけど。こういう時こそ注視して観察しろってミステルさんは言ってたな」


――10分後。


「あぁだめだっ! 2か3人くらいが押しかけてきたのはわかった。あとの足跡がはっきりと分からないな……!」


 似たような形状のモノが2つにあとはなんだ? 幹部の男の靴裏と似た形をしてやがる。だめだ。今の自分にこれ以上の推測は難しいぞ……。


「くそっ……!」


 俺は無駄足を踏んでしまったことを理解したのであった。そして。


「やっぱりね。どうやら2人共。幹部の男と何かしらのトラブルがあったみたいね」

「俺をバカにする為についてきたのですか?」


 ルナ先輩が入り口のドア縁に背中を預けて腕を組み。俺の事を見て話しかけてきた。


「いえ、貴方を手助けしようと思ったのよ。あなたのその若さに賭けてみようかしらと思ってね。うふふ」


 ルナ先輩の笑みと言葉に、期待の感情が含まれているのを俺は感じ取り、先輩に対する悪感情が吹っ切れて好意的な気持ちがこみ上げてきた。



次回の更新予定日は8月9日です。よろしくお願いいたします。

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