401話:対峙 機械兵器――シャーマン 6
『くそったれぇぇぇ……!!』
「シールド展開っ!!」
「おっけー!」
武器を機関砲に依存する対面に対して、自分たちは完全装備のMBRである為、戦況的にはこちらが武のある状況である。
「カリト君。シールドの耐久性ってどれくらいあるのかな?」
「そうだな……」
頭の中で覚えている情報を元にして、ざっくりとした結論を出す。
「機関砲程度の攻撃で装甲が剥がれるような程。シャーマンのまた盾は伊達じゃないさ」
「おーっ、つまり。シールドを前に抱えてタチの悪いタックルを仕掛けてもいいんだよね?」
「えっ?」
「ほら、距離を詰めて突撃するよ! 早く!」
「あっ、えぇ……??」
リリィが持つ、突然の思いつきからくる行動の指示に対して、頭の中で渦巻きがぐるぐる巻き、何故にとは言わず、特に反論する理由もなかったので――
「やってみる価値はあるわよ! 何とでもなるの!」
「わ、わかったから! いっ……いきます!」
軽口を絡めた雑談をしつつ、2人で息を合わせた肉迫をしかけると。
「なっ――くそっ、動け、動けよこのポンコツがっ!!」
「プランその2。追い詰められていると感じると、相手には金縛がかかるように細工を仕掛けておきました! やったね、これで私達の勝ちだよ!」
「痛っ! おいバカ、やめろ! 足で俺の頭を蹴ってくるなってばぁ!?」
作戦が上手くいき、リリィは童心に返るようにしてガシガシと俺の頭を蹴り上げてくる。
(頭が冴えてるのか……そうではないのか……)
「リリィ。このまま近接戦闘に入るぞ。戦車砲の砲身でアッパーをお見舞いしてやるんだ!」
「それって飛び道具としての使用価値はあるのかな」
「ふふっ、それは戦車砲とロボットは使いようだよ」
「んー、カリト君の伝えたい事は判るよ」
「じゃあ、やるからにはとっととやろうぜ!」
「あーい」
そうこうとやり取りをしている間にも、相手の金縛りが解けているのが言葉で伝わってくる。
『なんて姑息な手段をとるのだあいつらは……!』
「急ぐぞ」
リリィの返す言葉を遮ぎ、シャーマンを前進させる。
「タイミングを合わせるぞ」
「うん」
「カウントダウン」
「おけー」
「さん――にい――いち……今っ!!」
肉迫からの戦車砲を用いたアッパーカットを仕掛けるのに成功した。
『あぐっ!? まずい……やられ……』
「終わりだ!」
「せーの!」
――ズドン!!!!
『――――ぁ!!!!』
さらに追撃として押し当てている戦車砲に装填されている砲弾を撃ち込んだ。いわゆる杭打ち攻撃でトドメをさした事になる。
『……ゆ…あ…さま……ばんざい……』
イザベラは聞いた事の無い名前の人物に万歳を唱え、大破した機体と共に爆散をして最後を迎えた。内部に充填されていた弾薬や燃料に、直撃弾の破片が飛散して引火したようだ。
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