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397話:対峙 機械兵器――シャーマン 2

 戦車全ての機能を停止させるのにはそれほどの時間を要する必要はなかった。


「見た限りでやるなら。こいつらは人を乗せなくても人工知能で起動できるタイプの戦車らしいから。頭の部分にあたる砲塔の内部を損壊させれば。こいつらはただの鉄のプラモデルにしかならない」


 もし任務が終わって時間に余裕があれば、うちのモンスター牧場に一機だけでもお持ち帰りがしたい。


「平和利用には誰も反対なんてしないさ」


 そう思いながらも着々と目の前の砲塔内部にあるコンソールに対して、工具を用いて分解工作をおこなっていく。前世でプラモとかバイクを弄っていた経験が生かせたかもしれない。


(まっ、組み立てるより。ぶっ壊してストレス解消できるのはありがたい)


 とはいえ、人工知能で戦車隊を編成させるという考えの主がどれだけ頭の良い奴なのかが気になる。ユリアという奴が、おそらく配下の人間をこの傭兵組織に送り込まれた時から内部の指揮系統に変遷の兆候がみられたのだろう。だからリックは心配していたんだ。


「見た目はその組織だと思われていても。実際は頭がすげ替えられたそっくりさんってか。よし、これでいいだろう」


 いましがた作業を終えた。残す戦車は後一機のみとなる。


「よいしょっと――んっ? 何だ……」


 戦車の砲塔に設けられているキューポラから身を乗り出して降車するなり、辺りに充満する排ガスの臭いに疑問を抱く。


『見つけたぞ侵入者ッ!!!!』

「――っ!」


 いまあちらに向かって壊しに行くはずだった戦車から女の声が聞こえ、その後に砲塔が急旋回で動き、正面の主砲を俺に向けると発射態勢に入った。


『家族の痛み――思い知るが良いッ!!!!』

「来るっ!!」


――ズドンッ!!


 腹の底から震え上がる戦車の主砲から砲弾射出によって巻き起こって発生した衝撃破に身を竦ませ、できる限りの退避策で相手の殺意から掻い潜り抜け出す為に走り出す。幸いにも近くに同型の戦車が存在していたので、それを防護に用いる事で命だけは落とさずに済んだ。


「携帯ロケット兵器で対処してみるか」


 すかさず、正体不明の女搭乗者が駆る機動兵器『シャーマン』に有効だと思われるロケット兵器を亜空間から武装顕現の力で取り出す。


「パンツァーファースト武装完了」


 あらゆる中クラスの装甲を有するモンスターを相手する時に有効に扱える肩撃ち式の携帯ロケット兵器だ。射出機を肩に乗せ、相手に向かって射出する砲身先に専用のロケット弾を差し込んで装填をし、そのまま狙いを定めて反動に気をつけながら引き金を指で弾くことで。


『無駄だっ! この戦車でRPGなぞ自殺行為に等しいまで。お前が弄り壊した戦車でなければ勝機なんてないのよ!』

「なるほど。それならやるしか無いか」


 敵には塩を送った積もりだったのだろうが、こちらとしては違う意味で受け取れた。


「かくれんぼしながら戦車を動かせるように改造しますか」


 それが俺の第一のプランだった。

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