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396話:対峙 機械兵器――シャーマン

 部屋を出た後にリックから告げられたのは。


『すまない。少しここでお前とお別れだ』


 何故と彼に問いかけると。


『俺もお前みたいにやりたいことが見つかったんだよ』

『具体的にどうやりたいんだよ?』

『そうだな……俺も。お前みたいにやれるだけの事をしたいんだよ』

『…………』


 鮮明には想像がつかない物言いに対し、曖昧な想いを感じるが。


『わかった。俺は自分のやらなければならない任務を背負っているし。とりあえずまたどこかのタイミングで合流できるなら。それにはこしたことはないだろ?』

『それも一理あるな。だが、俺もこの傭兵組織に属している人間だ。お前がこの先にある人を大量に殺戮のできてしまう兵器があるんだって言うからさ。俺も1人の人間でありたいんだ』


 それはつまり。リックなりの良心の呵責としての言葉だと受け取れる。


『仕方が無いか……なら。すまないが後から来る俺の上司達に伝えておいて欲しい』

『伝言だな。いいだろう。どのみち前区画で増援で編成された奴らを食い止める為に殿に務めるつもりいたんだ。服装とか詳しく教えてくれないか』


 リックにレフィアさん達の立ち姿について詳しく説明をする。


『いいだろう。まあ……間違って殺されてしまったらその時はすまん』

『念の為に後でレフィアさん達に連絡でも入れておきたいな』


 しかし、調べていくと。この区画には特殊な通信妨害施工を施された施設であり。この身に宿したナノマシンでのみしか相互に通信がとれない仕組みとなっている。


『そうなると。上の連中達にお前の会話が筒抜けだぞ』

『そうなるよな……』


 ここはハイテクに頼らずアナログでやりきるしか無かった。


『じゃあカリト。お前にこの言葉を贈るよ』


 リックは俺に背を向けて来た道を振り向くと。


『勝つこと以上に負けないことが大事だ少年』


 右手でサムズアップサインを送って走り去っていった。


『……勝つ意外に他の方法は無いんだよこの戦場では』


 命を掛けての任務だからこその際立つ彼の言葉だと思った。


――そして今に到り、俺は区画の深奥の兵器格納庫にたどり着いた。


「道中にいた兵士達の全員は始末したし。後はここの大掃除だな」


 本格的に手の掛かるような粗大ゴミがずらりと格納庫内の奥まで左右で縦にして並べられている。その数はというと。


「ざっと……多いな……戦車が18台も格納できるのって。相当な軍事力を持つ国とかの軍隊しか見かけないって」


 それこそ自衛隊の陸上部隊くらいに凄いことなので。


「戦車というか。よくみたらこいつら全部が砲塔付きの四足歩行も出来る戦車になるのか」


 金属の塊。無骨にして精錬された体躯を合わせたフォルムに、上半身は角張った形をもつ長身の主砲搭載の砲塔を換装しており、下半身は脚部と地面に設置するようにして、それぞれの4本の足の裏には履帯が設けられており、足を低くしていても履帯での平地走行が可能となっているので。


「歩いても、低姿勢でも履帯を用いて速やかに陣地転換が出来る機動力の高さがうりなのか」


 異世界に来てこんな未来的な物に出会えてしまった事が嬉しいと言うべきなのか。


「正直……この地この異世界では……」


 あまりにも極端すぎる代物であった。データで見ていた以上の秘めたる良くない可能性を直感的に感じる。


「人が持つには烏滸がましいな」


 それこそ。傲慢な人間がこの兵器を所有する組織を組みした場合に考えられるシナリオは。


「自然に根付いているモンスター達の生態系が脅かされる事になる……!」


 この異世界における人間は永くして大自然に根付く生き物たちと協調していく形で規模を抑えつつ共生の道を歩んできていており。このような兵器が広まってしまえばどうなるか。


「乱獲に繋がる」


 いままでハンター達でしか狩る事の出来なかったモンスターがいたとする。

 そのモンスターをこの兵器は簡単に倒してくれますとなればどうなるか。


「下手をすればモンスターも関係なく。人も戦争に巻き込まれる時代が訪れてしまうじゃないか……」


 そんなの誰も望まない。祈っても来て欲しくは無い。自然に対する冒涜だこんなのは……!


 俺は足早に機動兵器『シャーマン』の破壊工作を始めるのに取りかかった。

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