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393話:居住区画における対話 2

「まず……何でお前達はこんな建物に住んでいるんだ?」

「言葉の意味が判らないが。なんでこの街にそぐわない格好と建物を拠点にして傭兵稼業をやっているのかって言いたいのか」

「そうなるな」

「んなもん、上のリーダーが変わったからこうなったのさ」

「そのリーダーはどんな奴なんだ?」

「そうだな……ひと言で言い表すなら。常に石橋を叩いて渡る男と呼べば良いだろう。その言葉から奴のこの組織での名前は『ノッキング・ストーンマン』と。その男に会った人間達はそう声をかけてやり取りをしているんだ」


 ここでこのハウンドウルフのリーダーの名前が聞き出せることができた。


「その、ノッキング・ストーンマンはこの組織で何をしたいんだ? さっき遭っていた触手人間のイゾルデを見て……何かよくない計画を進めているんじゃないのか?」


 俺の重い問いかけに対して男は――


「フラジャイル計画っていうプランがいま。現在進行形で進んでいるんだ」

「フラジャイル計画? 脆いっていう意味だろ?」

「名前の意味はわからないが。恐らく繊細な計画の元で何かをしようと動いているんだ。ノッキング・ストーンマン――ノックスマンは人の常識を越えた兵器を産み出そうとしている。詳しくは知らないが。この計画の背後には遠い広大な大地を持つ冬国として知られているソルエト連邦も噛んでいるらしく。そのスポンサー窓口であるユリアと呼ばれている女がこの計画を主導しているらしいんだ」

「ユリア?」


 どっかで聞いた事のあるような名前だったが、今はその計画の全貌を把握する必要があるな。


「あの女はバケモノだ。若干10代にして傭兵集団を立ち上げたあげく。ソルエトのお抱え傭兵企業にまでのし上がり。年商10億をたたき出したヤバイ奴らの親玉なんだ。傭兵界隈ではこの企業に入れた人間は社会的にも地位の高い扱いを受けるらしくて」

「要するに一流傭兵企業に憧れる奴らで一杯なんだろ?」

「まぁ……そうなるな……俺は家族の事があるから。転職なんて安易にできない」

「俺も同じように家族がいる。この仕事に関しては了承を貰えている身だし。生まれた息子の成長とかを見られないのは山々だが。生きてくれているならそれでいいと思っている」


 互いに妻子を持つと、今まで出来ていた自由な行動が思うように出来なくなる。

 この時だけ俺と目の前で話を交わす男に対して同情心を抱いた。

 それ以外の事では特に仕事だと割り切る事にしておく。


「わかった。そのフラジャイル計画を進めている場所まで案内してくれないか?」

「ああ、お前も兄弟的な何かを感じる奴だしいいだろう。とりあえず拘束を解いてからだ」

「武器は……」

「いい。どうせ無線で何か言われても休憩中だとふざければいいさ」

「ははっ、面白いな」

「だろ?」


 こうして俺とリックはフラジャイル計画が進んでいる第二棟施設へと向かうことになった。

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