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391話:格納庫より先にあるモノ 2


 格納庫を抜けて潜入を再開した後にたどり着いた通路の先で――


《敵の状況は?》

《余り良くない知らせばかりで気が滅入るな……》

《このまま捜索を続けるとして。相手戦力についての情報が何か無いのか?》

《判らない。司令部の連絡通信では。この街の裏で暗躍を続ける組織の可能性があるとまでしか結論が出ていないらしい》

《表に出る情報のレベルならば。組織の名前くらいは判るんじゃ無いのか?》


――どうやら哨戒兵の部隊がこの先の区画で立ち話をしているようだ。


(先を急ぎたいが。相手の思っている事を探るのも必要だろうな)


 先のイゾルデとの戦いとは違って、無機質な相手じゃない人間の話は重要だ。

 意外と立ち話で行き交う会話の中に、俺達が探しているモノが見つかりやすくなるかもしれないからだ。

 ひとまず相手の話している事を聞き取りやすくするために、いま居る場所を移し替えて近くで潜伏する事にした。


(一応。バレたときの事も考慮して音が出づらい武器でも持っておくか)


 敵兵側では見えなくて、こちらでは見えている物陰に身を潜める。

 それから念の為にと思い、亜空間から消音器付半自動小銃を取り出して両手に抱えた後にしゃがみ込んで風景に同化する。

 銃の弾倉には即効性の高い神経系の麻酔ガスを充填したフランジブル弾を詰め込んでいるので、着弾時に砕け散る弾丸の効果で相手に打撃ダメージを与えつつ、破裂した中身から漏れ出たガスを吸い込むと、相手はふらついて昏倒した後に入眠する。     

 それから顔を少し出して除くと、敵兵士のひとりが無線機を用いて通信をしているようだ。


――傍受機で聞き耳を立ててみるか。


《HQ応答願う》

《こちらHQ送れ》

《現時点で哨戒行動による第三通路経由から居住区画においての異常は見受けられず。敵の痕跡などを調査したが見つからなかった》

《HQ了解。引き続き捜索による哨戒行動を続けろ》

《なあ、すまない。ひとつ聞いてもいいか?》

《なんだ?》


 どうやらHQと交信をする兵士側で質問があるみたいだ。


《例の兵器の件だが。あんなのを何処で取り寄せてきたんだ?》

《…………》

《俺達は今まで銃を片手に商売をする傭兵だった。それが俺達なりのプライドで。俺達なりの生き方だったじゃないか》

《…………》


 HQ側では黙りが続いている。


《イゾルデみたいにさ。機械の力を頼らなくても俺達はやっていけていたじゃないか。2年前。急に司令部の長官が変わってからだ。俺達のあり方を無理矢理に変えてしまったアイツがトップに立ちだして。俺達ハウンドウルフはおかしくなってしまった》

《内々の事情があったのだ。下級の兵に伝え聞かせるような話ではないのだ》

《だとしても。俺達には知る権利があったはずだ》

《軍務規約を忘れたのか?》

《……自分がもつ階級より上の人間からは情報を聞き出すなだろ?》

《わかりきった話だ。ハウンドウルフはこれから大きな組織として成長を始めているんだ。それを妨げたいとあるならば。貴君に対し、除籍による懲戒処分を下すことになるぞ》

《……俺には家族がいるんだ。そんな下らない事で職を投げ捨てるワケにはいかないよ……》

《ならば職務に励むが良い。HQアウト》

「……ムカつく野郎だ」


――なんか……仲間割れしているみたいだな……。


 すこし反発していた兵士に興味が湧いてしまった。

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