380話:ハウンドウルフ作戦 2
翌日。俺と一緒に狩りをすることになったルドガーとホワイエットを引き連れて鍛冶屋を訪れていた。
「カミルさん。何時も世話になっております」
「いいってさ。あたしもあんたの依頼は断ったりなんてあり得ないって思うし。それに常に利用してくれている常連客を足蹴になんてできないからさ」
本当のところ。カミルさんはとてもだが忙しい身分なわけで。
「それでお店の方はどうなんです?」
「サンデーの鍛冶裁きのおかげでどうにかはなっているが。如何せん……最近のボルカノの治安と。武器の売れ具合で判る事がある」
「それは?」
「ここ最近になってポケットに仕舞える。拳銃タイプの武器を買い求めに来る一般客が増えているんだよな」
「それは珍しい話ですね。この街でそんなの欲しいって思う奴なんて一握りだったのに」
「みんな。自分たちの身を案じて守る為の武器を集めているのさ……いつからこの街はそんな風になっちまったんだろうな……」
「……そうですね」
全ての原因は魔人が引き起こす事件が所以になっている。この街の皆が夜の世界を怖がっているんだ。
――明日の新聞紙の一面に飾られる犠牲者の名前は自分であって欲しくは無い。
俺も戦える身であるが、リリィや息子の事を考えると穏やかな気持ちでいられるわけにもいかない。
「自分もできる限りの治安維持活動には参加するつもりです。魔人の事件を利用した便乗犯罪もあったと耳にしていますし。何よりもこの街は狩りの盛んな場所だった。またハンター達の人達やその人達を目当てにした人達で盛んな場所に戻っていって欲しいと願っているんです」
その為にも出来る事はいち早くネメシスとしての活動を円滑に進めなければならない。1度は身を引くことを考えたが。今までの出来事を傍観していられるわけなんてないんだと考えをあらためる良い機会にもなったと言える。
――それに。魔を狩るハンターっていうのも良い響きなんだよな……。カッコいいんだよこれがまた。
「それでサンデーの鍛冶裁きについては?」
「ああ、順調さ。いつかお前さんをバックアップする事の出来る職人に仕立て上げてやるつもりでいる」
サンデーが鍛冶仕事に勤しむ姿を想像しながら。
「そうですね。じゃあ、いつかは狩りの先で武器の応急修理ができるようになったら。将来は安心して強いモンスターと長期戦になっても。心置きなく全力を尽くせそうです」
「ご主人様。サンデーお姉ちゃんは頑張ってるよ」
「ああ。そうだ。サンデーは鍛冶仕事に得意な属性を持つスキル持ちの」
カミルさんの前でモンスターだと良いそうなるのを飲み込んで。
「素敵なお姉さんだよ」
ホワイエットが喜ぶのをニコニコと見守りつつ、ルドガーに話を振る。
「ルドガー。よかったらお前専用の狩猟具を注文したいと思っている。何か希望があればそこのお姉さんに話すと良い」
「んー、ご主人と同じ武具がいい」
となるとウーサと同類の武具である『弓』になるな。
次回の更新日は2月29日になります。よろしくお願いします。
 




