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368話:引きこもり聖竜は驚嘆する。 2

本日は作者の体調不良(風邪)により、一日遅れての更新となります。

「こ、これは……」


――明らかにどうみても死んでる……。


 日中には視てはいけないモノを目の当たりにしてしまった。


『うむ……。我が感じた邪の気配はどこかへ過ぎ去っていったようじゃの……一体何者の仕業なのか、はてはて……』


 顎に手をやり思案をすると、ヴラドは周囲の野次馬に声をかけ始めた。


『なあ、そこのお主』

「え、いま頭の中で女の声がっ!?」

『あぁ、驚かせてすまぬ。我は元来声が出せぬ故。秘術の力で会話をしておっての』

「え、ええぇ……はい……」


――どう考えても怪しまれてるってのっ!?


 会話に割り入ろうと思って歩みを進めたが。


『とりあえずじゃ。つい先ほどこの場所にきて何やら騒ぎあったものだから。ちょいと覗いてみた次第で……あの雄の死体はなんというか……その……』


 居合わせていた野次馬の男に話しかけるヴラドの質問に、俺はじっと見守る事に決める。


――あの死体には噛み傷があった。それも四本の犬歯で急所に深く噛みつかれてるとくれば……。


 ラパンに動きがあったと視て良いだろう。吸血行為による殺人事件で動かなければならない。


『ふむ、なるほどの。その亡くなったモノは目の前で突然に驚愕したかと思えば。その後に地面に伏して倒れて死んでおったと』

「ああ……間違いない。俺はこの目で偶然にもそこの男が死んだ瞬間を見てしまったんだ……。まるで蛇に睨まれた蛙がそのままショック死したかのような顔をしていたのを覚えているよ……」


――ひと目には見えない何者かにおそわれて亡くなったのか……気になるな……。


 まるで謎解きをしているかのようだ。


「ヴラド。ちょっとこっちにこい」

『あぁ、すまぬ。パートナーが呼んでおるが故に。これで失礼する』

「あぁ、じゃあ」


 会話を中断させてこちらに来させた。


『やはり。これは件の怪人達による仕業とみてもよいじゃろう』

「ラパンが日中に吸血殺人をするなんてありえない」

『お主。その怪人と知り合いなのか』

「多少なりと過去には世話になって殺し合いに発展はしたかな。今は平穏に過ごしていると話を聞かせて貰っているが。こんなやり方で彼女が人殺しをするとは思えん」

『しかし、この街の水面下でうごく何者かの意思でこのような活動を行っておるというならば。死を管理するモノとして解せぬ行いじゃ』

「あんたの言う。神の定めた1度に死ぬ魂の数に対して帳尻が合わなくなるっていうやつか?」

『生き物は誰しも与えられた限りある寿命を削りつつ生きておる。それを狂わせるような掟破りをするような輩を我は許すわけには行かぬのじゃ。浮かばれぬ念の籠もった魂ほど。浄化をするのにはそれ相応の手間が掛かるからの』


 命の大切さを知る聖竜であるからこそ出てくる言葉だった。


「じゃあ、少し予定を変更してって言いたいが。今はレフィアさんの人命に関わる一大事だ直ぐにでもホテルに行くぞ。話はそれからだ」

『わかっておる。優先順位はそのモノの救済が先決であることも重々理解しておる』


 その後。俺達はその現場から立ち去り、ホテルに休んでいるレフィアさんの治療に専念する運びとなった。


次回の更新は1月4日です。よろしくお願いします。

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